第41話 いざ、顧問探しへ……!
「昨日、廃部を通告されたばっかりなのにもう最終勧告なんてずいぶんと急だね。おにい? 部室も閉まってるみたいだし、これから私たちどうすればいいの?」
全面対決開始の次の日は、前と同じようにやってくる。今回は流れを全て理解しているから、俺はそこまで驚きはしない。しかし、桐葉は前回同様突然の廃部通告の張り紙に呆然と立ち尽くしていた。そして前回と同じタイミングであの二人が再び登場する。
「……桐葉ちゃん、一体そんな紙を見てどうしたの? なにか凄いことでも書いてあった?」
「凄いどころの騒ぎじゃないですよ! もう隷属部に生徒会から最終勧告が出たんです! 私はもう……、どうすればいいのか………」
「なるほどなるほど……、そういうことね。今の状況はよく分かったわ……。でもね桐葉ちゃん、まだ諦めるには早いわよ……」
颯爽と? 現れたつもりの遥はうんうんと頷きながら桐葉を慰める。なるほど、こうやって行動力のある部長として振る舞っていたのか。俺は改めて遥の能力を目の当たりにして少し感動していた。そして、遥は少し間を置いて雰囲気たっぷりに続ける。
「最終勧告とはいっても、ちゃんとここに書いてある条件を満たせば隷属部は存続することができるわ。つまり、私たちは顧問と副顧問の先生と部員を一人見つければいい。ただそれだけのことよ」
「……でも、顧問の先生なんて見つかるんですか? 生徒会と全面対決してる部活なんて誰も関わりたくないんじゃ……」
桐葉はますます憂鬱な顔になり、声も元気がなくなっていく。しかし、遥は一点の曇りもない自信と笑顔を見せながら桐葉の肩を景気良く叩いた。
「大丈夫! あてがなきゃ、ここまで自信たっぷりに慰めたりしないわ。私は頼れる隷属部長なんだから、全部任せておきなさい!」
「遥さん……。私、一生ついて行きます……」
桐葉は救世主に深く祈りを捧げるように、遥の目の前でひざまずいて両手を組む。そんな茶番を見ていると、案の定、俺と同じような思考回路の男は少し呆れたようにそっとため息をついた。
「悠斗、なんでそんな人を馬鹿にしたような態度になってるの? 今から隷属部が一丸となろうとしているのに、アンタはそれを邪魔しようっていうわけ?」
「いや……、邪魔をするつもりなんてない。ただ、遥の自信がありすぎて逆に胡散臭く感じたんだ。」
遥に激しく責め立てられて、思わず悠斗は本音を呟く。すると次の瞬間、悠斗の体は宙に浮いていた。
「……悠斗さん、今私の救世主様のことを胡散臭いって言いました? いくら同じ部活の先輩でも、言って良いことと悪いことがありますよ?」
桐葉は異次元の腕力で力いっぱいに悠斗を持ち上げながらも、怖いほど冷静に語りかける。謎の自信に溢れた教祖様とそれを盲信する教徒。今まさに胡散臭さマックスの構図が完成していた。しかし、ここ数ヶ月で恐怖に飼い慣らされた悠斗はツッコむこともできず、ただ頭を下げて謝罪する。……こうして、隷属部は一致団結して職員室へと向かった。
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