偶然、痴漢を捕まえるのに協力した少年が、その日の授業中に不思議な夢を見て、なんでも願いを叶える不思議なアプリを手に入れるお話。
日常に少し不思議な何かが混ざってくる現代ファンタジーです。
ごく平凡な主人公が、急に身の丈に合わない何かを手に入れてしまい、その結果として痛い目を見るお話。
と、語弊を厭わずざっくり要約するならそういう構造のように思えるのですけれど、でも本質はまた別のところにあるようなお話でした。
作中、そこかしこに散りばめられた意味深長な言葉やモチーフが印象的です。
いろいろと読解のとっかかりになるというか、そっちが作品全体を貫く軸(というか実質的な主人公)のようでもある。
視点保持者の少年はただ偶然それに関わっただけの舞台装置でしかなく、つまりはもっと大きな何かを描いた、独特の味わいのある作品でした。