1 ぼくらの出逢い
第2話 2人の出逢い ー 雄太side ー
それは、今から丁度3年前の桜が舞う季節のこと。
「えー、彼女が今日から一緒に勤めてもらうことになった、桜井千紗さんです」
大きなあくびをしながら適当に部長の話を聞いていた俺だったが、彼女が目に入った瞬間、まるで雷が落ちたかのように目がシャキッと覚めた。
小柄な体系に、くるくると毛先まで巻かれたポニーテール。長い睫毛に、くっきりとした二重。
一言で言うと、和風美人さん。お着物が似合うような。
あれはきっと、一目惚れだったんだ。
そう、きっと。
一日中、ぼーっと桜井さんを見ていた。
仕事が得意みたいで、初日にも関わらずバリバリ業務をこなしていた。
仕事のできない落ちこぼれの俺とは、まるで正反対だったんだ。
「あの、桜井さん」
定時過ぎ、みんなが帰宅して行くなか、
勇気を出して話しかけてみる。
『なんですか』
が、向けられた視線は驚く程冷たかった。
え、なに、もしかして俺嫌われてる?
そんな不安が頭をよぎる。
「あー、いや、その」
どうしよう。
特に用も無いのに話しかけてしまったものだから、とっさに理由を考える。
『用が無いなら帰ります』
「え、あ、待って!」
引き留めたものの、桜井さんは帰ってしまった。
「あちゃー、冷たいよなー、桜井さん」
落ち込む俺を見ていた先輩は、どんまいと肩を叩いてくれた。
決して冷たいわけでは無いのだろうけど、ちょっとだけ傷ついた気もする。
もしかして、俺が何か無意識のうちに桜井さんの気に食わないことをしてしまったのか。
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