でこぼこで正反対なカップルが同棲を始めたそうです。
江宮りゐ
0 君とぼく
第1話 ツンとデレ
「あ、千紗ちゃんおかえりー」
1週間ぶりに出張から帰宅すれば、マンションの重工のドアの向こうには洋服やゲーム機が散乱した部屋。
あまりの驚きにぽかーんと口を開けたまま唖然としていると、キッチンからひょいっとエプロン姿の雄太が顔を出し、玄関まで駆け足でやってきた。
『いやいやおかえりじゃないでしょ』
相変わらず雄太のだらしなさに千紗は絶句した。
ヘトヘトで帰宅した矢先がこれじゃあ、早々呆れてしまう。
「いや、俺が散かしたんじゃなくて、服がここに居たいって言うから」
『嘘つけ。服がしゃべるか。』
全く、ひどい誤魔化し様に千紗は一つため息をついた。
嘘が下手にも程があるだろうに。
千紗が頭を抱えて呆れた顔をすれば、雄太は潤んだ目でじっと見つめてくる。
まるで何かを訴えかける子犬のような。
散かした雄太が悪いとはいえ、千紗は少し言い過ぎた気がしてなんだか申し訳なくなった。
『…ごめんね?』
珍しく千紗が素直にそう言えば、
「え、なんで千紗ちゃんが謝るの?」
と、先ほどの子犬のような表情とは裏腹にどこか嬉しそうにニヤついて見せた。
どうやら千紗の謝る顔が見たかっただけらしい。
『それが目的か』
ぷんぷんと拗ねる千紗に、
「ごめんごめん、おかえり」
雄太は優しく微笑んで見せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます