第7話
案内に従い、温泉に進むミナト。
華やかな馬車のような物を進み、休憩場の場所にたどり着く。
休憩場にはハンモックがあり、ホテル全体的ななあ内装が近未来的といったらいいのか…なんだか、美術館に来たような感覚にミナトは陥った。
ハッと我に帰り、オオダを探す。
彼女も彼女で雰囲気見たらながら先に進んでいたのだろう、ミナトがいないのに気がついていない。
「ごめんね、ちょっと施設の雰囲気に夢中だったよ。」
オオダが見えた為に、申し訳なさそうにそう口にしたミナトだったが…思わず目を見開いた。
キョロキョロしてて見えていないのか、男湯の方にゆっくりと進んでいたからだ。
咄嗟に走りだしたミナトは、オオダの肩を掴んで彼女の動きを止める。
「ストーーーップ!」
「どうしたん、ミナト?
いい歳してはしゃぎすぎやん。」
ケラケラと笑うオオダを引っ張って、少し離れた所で指を指す。
そこには男湯を示す暖簾がかかっていた。
それをみてやっとオオダは察する。
あちゃーっと。
「なんでゲームのマップはちゃんと把握できるのに、現実ではできないのよ!」
「ミナト、それができていればウチは方向音痴を自称してないさ!」
ドヤァァと両手を腰に当てて胸を張るオオダ。
まぁ、自分が目を光らせていれば問題はあるまい。
せっかくの旅行にそんなガツガツ言ってもしょうがないでしょ。
ふぅ…と息を吐き出して女湯を示す暖簾をミナトは通り抜けた。
更衣室は清潔感が高いくらいで他に特質するものはないだろう。
オオダは軽い足取りで、自分の使うロッカーを探す。
710。
納豆が好きだからと言う理由だけで、靴箱とかもその番号を選んでいる。
アレルギーが多くて食べるものが少ないためらしいが…。
偶然空いていて、オオダは嬉しそうにロッカーを開ける。
ミナトもオオダに続くようにロッカーを開けて服を脱いでいく。
髪の毛が短いオオダの支度は早く、パパパーっと服を脱いでタオルを用意する。
サイドポニーに纏めた髪を下ろしているとそんなオオダの姿が見えた。
白い肌、華奢な体、短くも艶のある黒髪、目はやや細めだが化粧のノリが良さそうな顔つきをしている。
そして彼女の悩みの肩幅は…彼女が悩むほど大きくはない。
寧ろ、彼女の持つ大きな2つの膨らみを支えるせいではないのか?
ギリッ…っと悔しい気持ちを抑えてミナトも準備を済ませる。
浴室に入ると大きな水車のようなものが目についた。
ほーんと、思わず声が漏れた二人だったがとりあえず体と顔を洗う。
化粧化がない二人は他の人達より早く体を洗うのを済ませて湯船に入る。
久しぶりで念願の温泉。
ふぅぅうと声を出しながら2人は湯船に浸かった。
体に染み渡る…!
なんて年寄りみたいな事を言うのをグッと堪えて辺りを見回す。
特に温泉の種類はなく、普通の湯船に打ち湯、露天風呂があるようだ。
「そういや、髪が伸びたねミナト。」
「そーね…もう少し伸びたら切ろうかしら。」
美容室に行くのは面倒だが…髪が長くても手入れも大変だし重たい。
やれやれと困った様子で頭の上で纏めた自分の髪を触る。
「体も暖まってきたし、露天風呂にいこうか。」
「せやね、ウチも風にあたりたいし行こ。」
2人はペタペタと外に向かっていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます