第8話
露天風呂は囲いがあって、周りの景色が見れないが…遠くに見えるホテルのライトアップや夜空がとても綺麗に見えた。
あとは、柵の外には男風呂ではなくプールがあるようだ。
「お、船だ。」
「ちょ…アンタ、見えちゃうから止まりなさい。」
柵の上の方にぴょこっとヨットの先端のようなものが見える。
簡単な説明の札のようなものが柵にはってあり、どうやら夏をイメージしたプールらしく…ヨットの他に滑り台など子供が楽しめるよう工夫されているようだ。
「オオダは、泳ぐのが好きなんだし…行ってみる?」
「ウチは、一人で無心に泳ぐのが好きだから泳ぎたくなったら市民プールにでも行って泳ぐよ。」
ヨットの謎が解けると興味を失ったように湯船に戻り浸かる。
ふーと幸せそうな笑みを浮かべるオオダ。
彼女の持っている水着は競泳水着。
あの体でそれを着て泳いでいたら、思春期の男の達の心を砕きそうだから時間を選べと言いたい所だけど…本人が気にしなさそうだしいいか。
今は交通の方法などいくらでもあるし、市民プールより遊ぶ場所のいっぱいのプールに行くだろう。
「…さて、このホテルのお土産も見たいし上がりますか。」
「せやね、バスの時間も見なくちゃだし。」
2人はそういうと、風呂場を後にした。
髪を乾かすのに時間がかかる為、ミナトはオオダより遅れて出てきた。
あの方向音痴が迷子にならないか心配だが…そんなに離れていない場所に土産屋があるから問題ないだろう。
因みに、彼女が駅を出て直ぐにあるビルを見つけられなかったのをミナトは知らない。
…それはまた別のお話。
「なんかいいのあった?」
「んや…特に惹かれるものはないなぁ。」
フルフルと柔らかく首を横に振るオオダの後ろから、お土産屋のラインナップを眺めた。
子供向けの施設が多い為、玩具が多い気がする。
あとは、浴室にあったアメニティーとか美容室アイテムとご当地のお菓子。
後は、北海道ではお馴染みのジンギスカンキャラメル。
人によっては吐き出してしまうような衝撃的な味らしいが…口にした事はない。
「そういえば、学生時代流行ったけど…美味しいのコレ?」
「試してみる?
ウチは食べないけど。」
あまり宜しくない評価の物を食べるほど、好奇心は強くない。
どうせ食べるなら、未知の味ではなく未知の食べ物を食べたい。
ミナトは、ジンギスカンキャラメルから目を離す。
後は赤いハチミツと呼ばれる赤い色の瓶に入ったハチミツを使ったお菓子。
赤いハチミツは心躍るが、こうゆう系統のお菓子に良い思い出はない。
この辺で有名ならご飯を食べながら調べて明日買ってみるのもいいだろう。
「ミナトー、バスきてるよー。」
「今行くよ。」
土産屋に飽きたオオダは、バスがくるであろう入り口の近くにある椅子に座っていたようでバスがきたのをミナトに教えてくれた。
あの方向音痴に呼ばれるとは…。
そんな事を思いながらオオダと一緒にバスに乗り込む。
時間的に、宿泊先のお風呂より先にご飯だ。
ご飯を食べてお風呂でもう一回さっぱりしてから…お酒。
いいじゃない。
思ったより良い流れに満足そうに笑みを浮かべるミナトを乗せてバスは宿泊先の宿に帰っていく。
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