第6話

北湯沢は、紅葉で有名だ。

涼しげで透明度が高い大きな川と、ナイアガラのような形をした小さな滝と三階滝。


水辺が多いから避暑地で人気で川下りや山を使ったアクティビティーが夏場では行われている。


そう、つまり時期外れだ。




オオダの話だと海が近いと記載されている所もあるらしいが…騙されてはいけない、けっっこう遠い。



とはいえ、自分達の目的はのんびり温泉に入ることで海の距離など気にはしない。

そう考えていると予約した宿に到着した。



結構道が狭く運転が上手くないミナトはビビリながらもなんとか駐車させる事ができた。



長い車移動で少し固まった体を伸ばして荷物を車から取り出して宿の中に入る。

この宿にはドッグランがあるようで犬も一緒に泊まれるようで、一階で一般用とドッグラン利用者用との道が分かれていた。


ロビーに犬がいるのは何とも新鮮だ。

犬が好きな二人は自然と目で追ってしまう。



「予約来ていたミナトです、チェックインをお願いします。」


「いらっしゃいませ、ご確認いたしますので少々お待ちください。」



係の人がカタカタとパソコンを操作して確認を始める。


ミナトは、確認してもらっている間に辺りを見回した。

ミナトから見て左側が犬を連れていない一般の客室に続く廊下、後ろがドッグラン利用者用の客席に続いて廊下、右側に小さな売店と温泉に続く廊下がある。


確認が取れたと、係の人から言われてホテルの利用について説明を簡潔にされた。


とはいえ、何処の説明も同じだろう。

夕食と朝食の時間、お風呂の利用時間、チェックアウトについてなどなど。


後は、同じ観光グループだからできる無料送迎バス。

車があるから利用できなくても問題ないが…駐車場の都合などめんどくさい事を考えなくても良い。


こういったものの利用も旅の醍醐味だろう。

バスの発車時刻は、客室やロビーにあるそうなので後で確認してみよう。




話を終えると係の人は、特典であるなめ茸を出してきた。

種類は、ノーマル、明太子、ニンニクなだ種類がありオオダはノーマルのなめ茸、ミナトは料理で使えそだとニンニクをもらう。



なめ茸を貰って手続きが終わり部屋に案内された。


基本的にミナト達は、畳の香りがする和室を選ぶ。

普段、フローリングばかりみているのだこの時くらいは違う雰囲気の空間に居たい。


どこか懐かしさを感じる部屋に入って二人が行ったのはまずは飲み物を冷やすこと。

お酒やソフトドリンクをガボガボいれて、机の上には摘みをおく。


そして、襖を開けて浴衣のチェック。

アニメやドラマ、漫画で温泉地を浴衣で見て回る姿を見て真似したい気持ちもあるが…現在は冬。


この時期の山の中の北海道では自殺行為だろう。

ここの温泉に入った時にでも着よう。



そっと襖を閉めて、貴重品とタオルを持って部屋の外を出る。

運が良くすぐにバスに乗れるようで、二人は慌ててバスに乗った。


淡々としたトーンの案内で出発するバスは近くにあるホテルに向かう。

ミナト達が泊まる旅館が落ち着いた雰囲気に対して、たどり着いたホテルは対照的に明るく華やかな雰囲気をしていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る