第16話 報告

 私の名はバロン、町長をやっている。美人の妻、3人の可愛い子どもたちと過ごす毎日はとても充実している。

 元は騎士団で町のために活動していたが父の引退を期に町長の役職に就いたのだ。町は平和で、遊んでいた子どもが窓ガラスを割ってしまったり、お婆さんの入れ歯が無くなっただの、お魚咥えたどら猫を裸足で追いかける奥さんがいたりと事件らしい事件も無かった。

 しかし今回の魔物?の出現は非常事態である。町は九尾様の結界によって守られ魔物は怖れて寄ってこないはずなのだ。

 子どもたちの証言によると黒い炎は姿を変化させたと言う、魔術も簡単に破られたとなるとかなり強い事になる。

現場には地面が深く抉られた跡があったが黒い炎の痕跡は発見出来なかった。正体不明の存在に警戒するにしても出来ることは限られている。

 もうひとつ気になるのは、ミーアとルディアの2人だ、明らかに妖力が強くなっていた、まさか倒したのはあの子達か?アイナとリオンでも勝てなかった相手に?まさかな……。


 とにかく今は国王への報告と王都騎士団にも連絡して対応策を検討する必要があるな。

はぁ、国王に会いたくねぇなー。


 ◇◆◇◆


 私はミーア泳げるようになったのでたっぷりと楽しんだ私は満足です。


「ねぇねぇミーアちゃん、わたしもね成長したみたいなの」

「成長?なにかあったの?」

「うーん、なんかね力が強くなったみたいだよ、ちょっと見ててね!」


 力が強くなった?そんな漠然な感じなの?そして大きな木の下で何をするのかな?


「ぱーんち!」

 バキッ!

 可愛いかけ声と裏腹に大きな木は折れてしまった。なんだこれは?


「ね!力が強くなったでしょ?」

「うん、そうだね、強くなったね、すごいよルディアちゃん……。」


 ルディアちゃんを怒らせないようにしようと心に誓った。この日を境にルディアちゃんは武術を習い、町では敵なしの強者になり、『天使笑顔の悪魔』と呼ばれる事となる。

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