第5話 お姉ちゃんお兄ちゃん

 私の朝はテラスの紅茶から始まる、自然豊かな景色を眺めながら小鳥たちと語らう令嬢、その姿は一枚の絵画の様に美しい。

 ……と言う妄想をしながら私はベッドで自分の尻尾をもふもふしながら惰眠を貪るのです。寝る子は育つ、私はまだ5才です。


「ミーアただいま、起きなさい!」

「ミーアの寝顔はやっぱり可愛いなー」

「確かに可愛いわ、でもそれじゃあ遊べないわ、可愛い声が聴けないわ」

「確かに聴きたいな、よし起きてもらって、お帰りなさいお兄ちゃんと言ってもらおう」

「私もお帰りなさい大好きなお姉ちゃんと言ってもらいましょ」


 ……うるさいのでしょうがないので起きますか。

「おはようございます。お帰りくださいお兄ちゃん、お帰りください大好きなお姉ちゃん」

「「ミーアは可愛いなー!」」


 さて朝の優雅な時間もしばらくお預けですね。お姉ちゃんとお兄ちゃんが学校が休みになったので帰って来ました2週間毎日起こしに来るでしょう。


 ◇◆◇◆


 朝食を取ったら今日は朝稽古の時間です。学校の成果を見るためですね。お父さん、お母さん、お姉ちゃん、お兄ちゃんと家族揃いました。


「さてアイナ、リオン力を解放してくれるかい?」

「「はい!火衣!」」

 2人の体が火に包まれ赤く光る、尻尾がもう1本生えて二尾になった。狐人族の戦闘モードです。格好いいなー。

「うん良い妖力だ。しっかりと訓練しているようだな、次に操棍を構えて妖術展開!」

「氷術!」「土術!」

 アイナお姉ちゃんは氷、リオンお兄ちゃんは土が得意魔法なのでそれぞれの術を発動、操棍が形を変え穂先に氷の刃と土の刃が出来上がった。

「よし模擬戦を開始する、双方互いに力を尽くせ、模擬戦開始!」

「「やぁぁ!」」

 互いに突きを繰り出していく、


 キン!キン!キン!


 武器がぶつかり合う、お姉ちゃんが回転して横凪を繰り出す、

 お兄ちゃんはガードしつつ操棍を軸に飛び上がり上から振り下ろす、

 お姉ちゃんの操棍は形を変え氷の盾が攻撃を防ぐ、

 お姉ちゃんの操棍が更に形を変え槍状になる、最初より長い!

 着地したお兄ちゃんにお姉ちゃんの追撃が決まった。

 お姉ちゃんの勝利です。

「勝負あり、勝者アイナ!」

「やったー!」

「ぐっ参りました。」

 2人とも8才児の動きじゃない気がするよ。


 狐人族は妖力が高いほど尻尾が増えて強力な妖術を使えるようになるようで、三尾、四尾の人が結構多いらしい。ただ一尾でも魔力が高く強い魔術師もいるので尻尾の数=強いとはならないらしい。魔力と妖力両方が高い人はほとんど居ないそうです。


「さてと、私が勝ったから先にミーアを独占させてもらうわね」

「しょうがない、約束だからね、明日は僕の番だからね」


 おっと私が知らないうちに私が景品になってました。

「良いけど、何するの?」

「まずは湖に遊びに行きましょう、ミーアまだ泳げないんでしょ?夕方からはオセロやりましょ、学校でも人気でみんなでやってるのよ」

 へぇー学校にまで浸透してるんだ。やっぱりオセロは凄いなー。




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