第3話 新しい遊び

 ルディアちゃんの意外な一面を見た翌日、今日は教会でお勉強です。

 勉強と言ってもそこは5才児、文字と計算、歴史など難しいことはない、私は前世の知識あるから解るけど、ルディアちゃんとニゲラくんは素で優秀だと思う。

 先生は神父のニゲラくんのお父さんです。


「今から100年前、狐人族、人族、魔族はそれぞれ争っていました。しかし戦いから20年後、狐人族に九尾の英雄が誕生しました。英雄は狐人族をまとめあげ、人族と共闘して魔族と戦い、魔族を封印したのです。しかし魔族は封印される際に呪いを世界にばらまいたのです。その後は魔族の呪いによって世界に魔物が溢れてしまったのです。それからは狐人族と人族は共に手を取り合い魔物の脅威に立ち向かってきました。」


 戦争はこの世界でもあったみたいです。争いの無い世界は無理なのかな?


「ねぇねぇニゲラくん昨日はなにしてたの?」

「あぁ、授業が終わったら教えてあげるよ、良いもの作ったんだ」

「良いもの?なんだろー?」

 考える私の横で授業を聞き流しているルディアちゃん、5才児には難しいから仕方ないけどね。


「我々狐人族は魔力を使い魔術を妖力を使い妖術を使えます。妖力が高いほど尻尾が増えて強力な妖術を使えるようになります。九尾様の妖力は凄まじく今も我々を守ってくれています。日々九尾様への感謝を忘れずに過ごしてくださいね」

 神父様の熱弁が続きます。


 ◆◇◆◇


「はやくーはやくー」

「まぁ待てって今出すから」

 授業が終わりニゲラくんの部屋です。

「これだよ、作った物」

 ニゲラくんが取り出したのは四角い板にます目が書いてあり、円くて小さい板が沢山片面は黒く塗られている。これって…

「オセロ!?」

「「オセロ?」」

「これを知っているのかいミーア」

「うん、えっとまぁ知ってるよ」

「そっか、すでにあるものだったのか、新発明だと思ったんだけどな」

「自分で考えたなんて凄いよ、よく思い付いたね」

「あぁ、一昨日のミーアの水泳練習の時に突然頭の中に作り方が浮かんだんだ、まさしく閃いたという言葉がピッタリくる感覚だったよ、それで家に着いてからずっと作ってたんだ、みんなで遊ぼうと思ってね」

「ねぇねぇ、どうやって遊ぶのこれ?はやく遊ぼうよー」

 ニゲラくんの説明したルールは私が知っているルールと同じだった。挟んでひっくり返して最後に多い方が勝ち。単純そうで結構難しいのがオセロだ。新しい遊びを思い付けるなんてニゲラくんは発明家の才能がありそうだ。

 さてさて、それでは勝負です。素人のルディアちゃん、発明者のニゲラくん、経験者の私、私が有利ですね。


 ◇◆◇◆


「「まいりました」」

「やったー私の完全勝利だね」

 結果はルディアちゃんの圧勝でした。この子無茶苦茶強いんですけど、そしてニゲラくんは弱すぎる。発明者なのに一勝もしていないよ。

「ルディアは勝負となると強いならなー」

「とっても楽しかったよー」

「ニゲラくんこれ売り出したら大人気になると思うけど、お父さんにお願いしてみない?」

「えっ?もうある物じゃないのか?」

「ううん、私の勘違いだったみたい、だから新発明だよこれは」

「そうなのかい?売れるならお父さんの役に立てるかな?」

「もちろん喜ぶよ!」

 お金があれば、教会の運営費の足しになるからね。

「じゃあお願いするよ」

「よーし、任せて!お父さんに売り込みに行くよ!」

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