第2話 練習

 気持ちいい風が吹く草原を私は走り回る。この世界に生まれて5年が経ちました。狐人族は身体能力が高いらしく速く走れるし木登りもすいすい出来る。金髪金眼尻尾の生えた狐人族のミーアです!

 バロンお父さんとエリナお母さん、3つ離れた双子のアイナお姉ちゃんとリオンお兄ちゃんの5人家族小さい町に住んでます。お父さんは町長さんなので忙しいみたい。お母さんは料理上手で優しいです。お姉ちゃんお兄ちゃんは学校で寮生活していて数ヶ月に一度帰って来ます。

 自然豊かで山も川も湖もある、学校は違う町に行かないと無いけど7才になったら私もお姉ちゃんお兄ちゃんと通えるから今から楽しみです。今は週2回教会で勉強してます。

 学校でしっかり勉強して働いて、将来は世界一周旅行とかしてみたいな。


 最近の日課は湖で泳ぎの練習です。


「ミーアちゃんはやくー」


 練習に付き合ってくれるルディアちゃんが呼んでます。


「ごめんね、今いくよー」


 彼女は教会で一緒に勉強している同級生です。


「今日はニゲラくん一緒じゃ無いんだね」

「うん、誘ったんだけど用事があるからパスだってさ」

「珍しいね、いつも一緒に出掛けるのに」


 ニゲラくんは教会の神父さんの息子さんでルディアちゃんは孤児で教会で一緒に暮らしている。ニゲラくんも私たちと同じ年だけどしっかり者で、ルディアちゃんのお兄ちゃん的存在なのです。ひょっとして意識し始めて恥ずかしくなったのかな?


「用事があるなら仕方ないよ、今日は私一人でもしっかり教えてあげるからね」

「うん、お願いするね」


 湖に着くと2人で服を脱ぐ、全部です。水着?ありませんよ。すっぽんぽんのポンです。5歳なので恥ずかしくありません、開放的で良いですね。

 全裸のルディアちゃん狐耳と尻尾が映えて可愛いです。

 しっかりと足のつく肩くらいの深さのところで練習します。


「けど、運動神経が良くて、魔法も使えるミーアちゃんが泳げないのには驚いたよ、私だって泳げるのに」


 前世でも泳ぐなんて無理だったし、水に苦手意識があるのかな?尻尾が水を吸って動かないんだよね。


 しばらく練習したあとは遊びの時間です。

 この世界には魔法があります。火水風土の基礎属性から氷雷光闇に派生していきます。そして狐人族特有の妖術が使えるそうです。


「水の精霊たちよ、我願う奇跡の力を顕現させたまえ、ウォーターボール 」


 私は水魔法で中を空洞にしたボールを作ってボール遊びです。


「さすがミーアちゃん何でも作れるねー私も魔法使えたら良かったのにな羨ましいな」


 魔法はイメージ力が大切らしく想像と妄想で私は色々と形を作れる。病院生活の副産物です。


「いっくよーそーれ!」

 ルディアちゃんに向けてボールを上げる。

「はーい、くらえ!」

 ルディアちゃんのアタック

「はい!」

 レシーブで返球

「もう一度、くらえ!!」

 ルディアちゃんのアタック

「まだまだー」

 レシーブで返球

「そこだ!シネー!」

 ボールが地面に突き刺さり魔法が解けてしまった。

「……」

「ボール遊び楽しいねミーアちゃん」

「……やりたかった遊びと違う!」

 ルディアちゃん勝負事となると性格が変わる、恐ろしいこの子!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る