一 ノーシュタルトの花嫁③

 エレナの部屋は二階の東の角にある大きな部屋だ。

 ノーシュタルトのひめとついでくると聞いたミレットがユーリにたずねたところ、好きにしろと言われたので、使っていない部屋の中で一番広くて日当たりのいい部屋を用意することにしたのである。

(それにしても、一体どういうことなのかしら?)

 エレナをともなって階段をのぼりながら、ミレットは考える。

 ミレットはノーシュタルト一族について多くを知っているわけではないが、気に入らなければ異能の力をりかざすあの一族は、非常にやつかいな存在だということはにんしきしていた。

 嫁いでくるおさむすめだという姫も、相当あつかいにくいはず。異能にたいせいのないミレットたちは、ノーシュタルトの姫をおこらせることだけはけなくてはならず、本日とうちやくするという先ぶれを受けて、朝から胃がキリキリしていたほどだった。

 だからエレナを見たときは申し訳ないが、その何とも不格好なドレス姿も相まって、姫の使用人かと思ってしまった。いつしよに来ていたもう一人のノーシュタルト一族の娘が持参金を持ってさっさと帰って行ったというから、使用人を押しつけて本物はげたのではないかと思ったのだ。そして、今でも疑っている。それほどまでに、エレナはミレットが想像していた「ノーシュタルトの姫」の様子とかけはなれていた。

「こちらが奥様のお部屋になります」

 もう少し様子を見る必要がありそうだと思いながらミレットがエレナの部屋のとびらを開けると、彼女は、部屋を見るなり入口で放心してしまった。たましいが口から飛び出しそうなほどにおどろいている。

 サファイアのような瞳を見開いたままぴしっとこおりついてしまったエレナは、なまじ顔立ちが整っているためにせいこうな人形のようにも見えた。そんなことはあるはずないのに、このまま本当に人形になってしまうのではないかとミレットは心の底からあわてる。

 そんなミレットを、エレナの荷物の片づけをしていた二人のメイドがおもしろそうに見ていることに気がついたが、今は二人を注意しているゆうはなかった。メイドがしらであるミレットがどうようしたのをはじめて見たからだろうが、これは仕方がないだろう。まさかエレナがちようぞうのように固まってしまうなんて、どうすれば予想できたと言うのだ。

 ミレットはもともとおうの護衛の任務にいていた女兵士で、王妃にたのまれてこの離宮のメイドになった。ミレットはだんからぴしっと姿勢を正し、主人が不安に思わないようにたいぜんと構えているように努めている。主人の前で決して動揺を見せてはならないとミレットに教えられてきた二人のメイドにとって、今のミレットの様子がこの上なく面白いのだろうとは思うが、揶揄からかうネタができたとばかりに、手を止めてミレットと、それから離宮の主人の奥方だという新しいあるじを観察するのはやめてほしい。

 ひとまず二人のメイドは無視することにして、ミレットは、何とかしてエレナの反応を引き出そうとやつになった。

「奥様、こちらへ。そんなところにお立ちになっていないで……」

 ミレットがソファをすすめようとするも、エレナはぎこちなくこんいろに星をちりばめたかのような細かな刺繍がほどこされているソファを見ては、またぴたりと動作を止める。

 ミレットの顔色がだんだん悪くなって、不安にれていた瞳がさぐるような色に変わった。

「奥様、お気にさなかったでしょうか? すぐにとはいきませんが、内装を変えることはできますので……」

 お願いだから動いてほしいとこんがんすると、エレナは「内装?」と首をひねりながら顔をあげた。

 エレナがちょっと反応を見せてミレットがほっとしたのもつかの間、エレナが部屋の中にゆっくりと視線をわせたあとに、また固まってしまう。

 ミレットは頭を抱えた。

 エレナは何が気に入らないのだろうか。ユーリが好きにしろと言ったから、この部屋は、ミレットがこれから仕えることになる奥様のためにこんしんの力をもって仕上げた。

 大きなてんがい付きのベッドに、可愛かわいらしいはながらうすピンク色のカーテン。大きなだんの前には、奥様がくつろげるように揺り椅子いすも用意した。紺色のソファカバーにしゆうをしたのはミレットをはじめとする三人のメイドたちだ。内扉でつながっている浴室にも、いいかおりのするシャボンやろうそくを用意して、バスタブもねこあしの可愛らしいものに変えた。好みがわからなかったからドレスは用意していなかったが、あれほどけんとうちがいのサイズのドレスを着ていると知っていたらいくつか用意させていた。

 これの何が気に入らない。何がいけなかった。ミレットは泣きたくなる。

「奥様、どこがお気に召さないのでしょうか。直しますので……」

「気に入らない……?」

「カーテンの色でしょうか? かべがみですか? ソファですか? それともベッドカバーの色でしょうか?」

 ミレットに訊ねられて、エレナがこんわくしたようにひとみを揺らす。そして、とうとつにこんなことを言った。

「あ、あの……、お部屋はとても可愛らしいと思います。ええっと、……ミレットさんは先ほど、わたしのお部屋に案内してくださるとおっしゃいましたが、部屋をおちがいではないですか?」

「やはり気に入らないのですね?」

「き、気に入らないなんて、ええっと……」

「どこが気に入らないのですか? はっきりとおっしゃっていただいて構いません。ここは奥様のお部屋ですから。奥様がお好きなお部屋をご用意する義務がわたくしにはございます」

「ああ、ここは奥様という方のお部屋なんですね」

 なつとく、とうなずくエレナに、ミレットはとうとうさけんだ。

「奥様はエレナ様です!」

「ぷっ」

「ぷくくっ」

 その様子をだまって観察していた二人のメイドが、まんできないとばかりにき出した。

 ミレットはそこではじめて二人の存在に気がついたとばかりに振り返り目をり上げる。

 年若いメイド二人は、ミレットの視線に表情を正した。

 こほん、とミレットがせきばらいをしてメイド二人をしようかいする。

「奥様、この二人は奥様つきとなるメイドたちです」

 エレナは「奥様つき」のメイドによほど驚いたのだろう。エレナはサファイア色の瞳をこれでもかと見開いて、またまた固まってしまって、ミレットは額に手を当てててんじようあおいだ。


   ***


 ミレットが紹介したメイドが、エレナに向かって順番におをする。笑うとえくぼができる、ふんわりとした赤毛のがらな女性がケリー。十八歳。かたで切りそろえたはちみつ色のかみくろぶちの眼鏡をかけている知的そうな長身の女性が、十七歳のバジルだそうだ。

 メイドがつけられると聞いたエレナの困惑は最高潮だった。ノーシュタルトの地では、父のやしきで働く使用人たちよりも下の立場だった。それなのに、メイドがつくなんて、どうしていいのかわからない。

 エレナは泣きそうになって、ミレットを見上げた。

「わ、わたし、屋根裏部屋でいいです。メイドさんたちのお手をわずらわせることもありませんから、だから……」

「何をおっしゃっているのですか奥様!?」

 ミレットが悲鳴をあげて、ケリーとバジルは腹をかかえて笑い出した。

「お、奥様、面白い……!」

「ミレットさんが困ってる……!」

「あなたたち! 笑っている場合ではないでしょう!」

 ケリーとバジルはぷくくと笑いながら、左右からエレナの手を取った。

「さあさあ奥様、立っていないで座りましょう」

「旅の間にれてしまったのかしら? 手にクリームをぬりますね!」

「夕食まで時間がありますから甘いものでも用意しましょうか?」

「お茶は何がいいですか? おすすめは蜂蜜たっぷりのミルクティーです」

「それ、ただケリーが飲みたいだけじゃないの?」

「あら、バジルだってミルクティー好きでしょう?」

 エレナがぼうぜんとしている間にも、二人はエレナの手を引いて強制的にソファへ座らせてしまう。そして、ケリーがうでを組んで、うーんとうなった。

「奥様、ドレスのサイズがあっていませんけど、急激にお瘦せになったんですか?」

「ドレスを新調する必要がありますね」

「クローゼットにおさめたけど、あのドレスは処分した方がよさそうね」

「ミレットさん、マダム・コットンはいつ来るんですか?」

「お荷物にほうしよくひんがなかったので、ついでに宝石商も呼んでほしいです」

 まるでたきのような勢いで話す二人に、エレナが口をはさすきはない。

 鏡台からクリームを取ってきたバジルがエレナの手にていねいにぬり込んでいく間に、ケリーはせっかく片付けたドレスを、クローゼットからばっさばっさと引っ張り出していく。

 ミレットは少し冷静さを取りもどしたのだろう。あごに手を当てて答えた。

「マダム・コットンへはだん様に許可を得てかられんらくするから、早くても来られるのは二、三日後ではないかしら? 宝石商はドリアードから呼ばないといけないから、時間がかかるし、あとにしましょう」

 マダム・コットンは歩いて一時間ほどのところにあるリリッタという町で仕立て屋を営んでいる女性らしい。王都へも出店していて、社交界でも人気が出はじめているそうだが、リリッタの町が気に入っているマダムは、王都の店はおいに任せていて、自分が作ったものだけを届けているそうだ。

 リリッタの町は小さいために宝石商がおらず、宝飾品を仕入れるには、ここから馬車で丸一日かかるドリアードという町の人間を呼ばなければならないらしい。

 ミレットから説明を受けるもエレナは自分がおかれているかんきようについていけず、くらくらと眩暈めまいを覚えたが、先ほどのケリーの発言は無視できなかった。

「あ、あの……、そのドレス、捨てちゃうんですか?」

 エレナのサイズにはあっていないけれど、上質なで作られたドレスだ。捨ててしまうのはもったいない。

 クローゼットのドレスを全部引っ張り出したケリーがきょとんとした。

「え、だってサイズがあっていないじゃないですか」

 確かにそうだが、とエレナはベッドの上に山積みにされたドレスに視線を向ける。

 ミレットはエレナがサイズ直しをするのはダメだと言った。ならばほかに使い道はないだろうか? ミレットもケリーもバジルにも、このドレスは大きいだろう。エレナほどではないが、三人もほっそりとしている。ふくよかだったバネッサのドレスはぶかぶかだ。

 エレナは無意識にソファの上のクッションを抱え持って、ハッとした。

「クッションカバーを、作りたいです」

 エレナは名案を思いついたと瞳をかがやかせたが、かんじんな主語がけていたために、メイド三人には伝わらなかったようだ。

「え……、クッションカバーですか?」

「使っていない布、あったかしら?」

「ドレスを注文するついでにたのめばいいわ。奥様、どんな色がお好みですか?」

 なぜか新しい布を買う話になってしまって、エレナはあわあわと首をった。

「そ、そうではなくて……、そのドレスで……」

 メイドたちの視線がドレスに注がれた。きゅっとまゆを寄せたのはミレットで、ケリーは腕を組み、バジルはドレスを一着手に取った。

「まあ、生地は悪くないですからね」

「でもわざわざ捨てるものを使わなくても」

 このままだとドレスが捨てられると思ったエレナは、必死になって頼み込む。

「だ、だいじようです、ドレスで作ります! だって、捨てるのはもったいないから……」

「「「もったいない?」」」

 メイド三人の声が見事に重なった。

 三人が三人ともにがくぜんと目を見張っている。

 エレナは何か間違えたのだろうかと不安に思ったが、ドレスを捨てられてはたまらないと言葉を重ねた。

「さ、さいほう道具を、貸していただけますか。苦手ですけど、ちゃんとしゆうがんって、できるだけえのするものを作りますから……!」

 メイド三人は、ぜんとした。


   ***


「で? どういうことなの?」

 エレナの世話をケリーとバジルに任せたミレットは、ダイニングでくつろいでいたライザックの前でこしに手を当てておうちになった。

 たびしようぞくを解いたライザックは、黒のシャツとトラウザーズの楽な格好になって、もぐもぐと料理長カールトンの作ったクッキーを食べている。料理長と言っても、このきゆうにいる料理人はカールトンただ一人だ。だからもれなく料理長なのである。

 離宮のあるじであるユーリはけいかいしんが強く、人をなかなか信用しない。それはユーリがその身に受けているのろいのことを考えれば仕方のないことだ。だが、そのせいで広い離宮にいる使用人は、しつのマルクスをはじめ、料理長のカールトン、ユーリの護衛でおさなじみでもあるライザック、そしてメイドのミレットとケリーとバジルのたった六人。少なすぎる。

 エレナが離宮に来るまで同行していた兵士たちは、国から借りていたライザックの父リヒター男爵の部下で、離宮の住人ではない。彼らは今頃、ライラをノーシュタルトの地へ送り届けている最中だろう。

 ライザックはクッキーを口にくわえたまま顔をあげて、「何が?」と首をひねった。

「何が、じゃないわよ。奥様は本当にノーシュタルトのひめぎみなの?」

 ミレットはライザックの真向かいの席に腰を下ろす。

 ライザックはごくんとクッキーを飲み込んで「ああ」とてんしたようにうなずいた。

可愛かわいいだろう? ほんわかおっとりしていて。殿でんにはあのくらいのふんわりした女性があうと思うんだよね」

「そうじゃない!」

 可愛いというライザックの意見に異論はないが、ミレットが言いたいのはそういうことではないのだ。

 エレナは腰までの月の光のような銀色のかみに、サファイア色のれいひとみをした、おどろくほどの美人だ。かんそうしてはだが荒れているが、整えればハッと息をむような美少女になるにちがいない。だが同時に、エレナはあまりにも細すぎた。ぶかぶかのドレスで体の線がはっきりわからない状態で細すぎると思うほどだ、がせればそれ以上だろう。

 それに──

(あの手……。おひめ様の手じゃなかったわ)

 大切に育てられた姫君なら、あれほどまでに手が荒れているはずがないのだ。エレナはまるでこくな労働をいられていたかのように手が荒れていた。旅の間に傷はふさがったのだろうが、赤く走った線を見れば以前がどんな状態だったのかはすぐにわかる。

「予想していた姫と違いすぎるわ」

「じゃあ、ミレットはみんなが予想していた通りごうまんわがままな姫君が来た方がよかった?」

「そうは言ってないわ」

 少し会話をしただけでも、エレナの性格はなんとなくわかった。ほんわりおっとりした姫君だ。だれかを傷つけることに躊躇ためらいのないのがノーシュタルト一族だと思っていたが、エレナはその辺を歩くありを殺すことすらちゆうちよするのではないかとまで思う、本当にやさしそうな女性だった。いい意味で期待外れ──だが、だからこそ疑問に思う。

 ライザックは手元のコーヒーを一口飲んで、テーブルの上にほおづえをついた。

「ノーシュタルト一族なのは間違いないと思うよ。ただ、おさむすめかどうかまではわからない。いつしよにいたじよがずいぶんおうへいだったからね」

「じゃあ──」

「うん。俺もさ、エレナちゃんがしようかいされた時に、あの子が本当に約束通りのノーシュタルトの姫かどうかを確かめようかと思ってたんだけど……、エレナちゃんを見ていたら、なんかどうでもよくなったんだよね」

「は?」

「だって、エレナちゃん、可愛いんだもん。変に傲慢な姫をよこされるより、本物かどうかわからないけど可愛い女の子のほうがいいと思わない?」

 ミレットはこめかみを押さえてため息をついた。

 ライザックの言う通り、ミレットも、ノーシュタルトからどんなえらそうな姫が来るのだろうかとけいかいしていた。正直なことを言えば、エレナを見るまで、主人の奥方になる人に仕えるのは気が進まなかった。せっかくへいおんにすごしていた毎日をぶちこわされるのだけはかんべんだと、そう思っていたのだ。

 だから、ライザックの言い分もわかる。でも、それとこれとは話が別だ。

「もしにせものなら、ノーシュタルト一族は陛下との約束をにしたことになるわ」

「だろうね。でも、相手はノーシュタルトだ。約束を反故にされたからと言って、こちらも強くは出られないよ」

「……あの一族は本当にやつかいだわ」

 世界でゆいいつ、どこの国にも属さないとくしゆな一族。それがノーシュタルト一族である。

 それが許されてしまうのは、彼らが絶対的な力──異能の力を持っているからだ。

 二百年ほど前に、とある国がノーシュタルト一族の力を求めて戦争をけたことがあったが、その国はノーシュタルト一族の返りちにあい、ほろびてしまったと聞く。どんなにじんなことをされても決して逆らってはならない一族、それがノーシュタルトなのだ。

「ある意味、あの一族に対して責任をついきゆうしたチェスター陛下はすごいと思うよ。いくらいかりくるっていたとはいえ、戦争かくだったはずだし」

「そうね……」

 ミレットはそっと息をつく。ユーリがその身に呪いを受けたのは、彼が生まれてまもなくのことだった。ノーシュタルト一族の長の目の前で、ノーシュタルト一族のじよが呪いをかけたのだ。チェスター国王は怒りくるい、一族の長に対して責任を取るように命じた。ノーシュタルト一族の長はチェスター国王のけんまくに、ユーリの呪いを解くことを約束し、解くことができなかった場合はせめてものつぐないとして自分の娘をとつがせることをちかったのだ。その結果、嫁いできたのがエレナである。

 ユーリと同じ歳のライザックはその時の様子をもちろん知らないだろうが、当時すでにおうの護衛としての任務にいていたミレットは知っている。だんおんこうなチェスター国王が、あの時ばかりはれつのごとくおこっていた。息子むすこが害されたのだから当然だろうが、ノーシュタルト一族の長をりつけたあの時のことを思い出すだけでミレットはきもが冷える。

「だから、むしろエレナちゃんでよかったって考えようよ」

「そう、ね……」

 ミレットはそっと息をつく。エレナが本物のノーシュタルトの姫であろうとなかろうと、すでに受け入れてしまったのだ。いまさら追い出すことはできないし、するつもりもない。姫としては変わっているが、あのおっとりとしたふんきらいではない。

「でも、もう一つ言いたいことがあるのだけど」

 ミレットは新しいクッキーに手をばそうとしたライザックの手元から皿をうばい取った。ライザックがうらめしそうな目をする。

「言いたいことって?」

「ドレスよ」

 ライザックがエレナと合流したのは一か月と三週間前だ。エレナを見て、サイズ違いのドレスを着ていることがわかったのならば、どうして早馬でしらせをよこさなかったのか。そうすればせいひんにはなるけれどドレスの数着は用意できていた。

 じっとりとにらみつけると、ライザックはへらへらと笑った。

「あのぶかぶかドレス、可愛くない? 殿下に見せたくってさあ!」

「あなた、わざとれんらくしてこなかったの!?」

 ミレットは心の底からあきれた。

 ライザックがミレットの手からクッキーの皿を奪い返して、口の中にほうり込みながら頷いた。

「あのエレナちゃんを見た殿下が、エレナちゃんにこいに落ちるに一票!」

「……あなたをむかえにやったのは失敗だったわ」

 ライザックを向かわせず自分が行けばよかったと、ミレットは本気でこうかいした。

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