第43話 禍々しいオーラ


「ア゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!」


 地鳴りのような咆哮が続く。


 時間を止めたら楽に倒せるんじゃないのか?


 ポーチから時間停止の剣を出して、さっそくと空間に傷を付ける。



 静止の空間に化け物が入ると止まった。でも禍々しいオーラは静止することは無く。


 静止の空間がオーラにより、ボロボロと亀裂が入った。


 そして静止の空間が壊れた。


「アァァアァ、ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙!!!」


 すげぇな。俺は静止の空間を斬って攻略したけど、あの化け物は静止の状態からゴリ押しで抜け出したぞ。


 まぁ、俺の血と時間の力を持つ神の血もシャリルは飲んでいるから、耐性があったのか?


 そんなことは別にどうでもいい。


 神器が効かない。テトナの刀なら効くかも? いや、生と死が曖昧になっている巨人には効果がないだろう。


 で、化け物は神の力の名残りを使ってきそうだ。そしたら俺は俺の剣を使おう。


 レクシアの剣をポーチから取り出すと、身体の中からドロドロと濁った力が溢れてくる。相当に莫大な力だ。


 そして禍々しいオーラが俺の身体から出てきた。そのオーラは俺のマナに満ちている身体を食らい、肌が壊死していく。


 チッ! と舌打ちして、レクシアの剣をポーチにしまう。


 効果をリセットしても、ズキズキと全身が痛む。マナも淀み、マナの身体強化が機能していない。


「呪いか」


 レクシアの剣で真似る物じゃないな。


 身体の中で湧いてくるとてつもない力を感じた。それは曖昧に強力な呪い力か。


 化け物は呪いの力を力に変えれるんだろうが、生きている俺には無理だったわけか。


 ポーチから杖を出す。杖を出した瞬間から壊死した肌が治っていく、そして呪いを癒す。


 俺はこの杖に助けられているな。



 マナの強化もスムーズに出来るようになった。杖をポーチにしまう。


 あぁ、あぁ、うるさい化け物は、俺の準備を待っているかと思っていたが。


 空に黒い矢が星の数ほど展開されていた。


「マジかよ」


 その矢は全部俺に狙いを定めている。


 ゴクリと喉を鳴らして、ポーチからタダの剣を取る。



 俺は集中する。黒い矢が飛んでくる気配がした。俺はニヤリと笑い、「チェンジ」と呟く。

 

「ギャガャガァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙!」


 俺は結界の上で無数な黒い矢に刺されながら、のたうち回る化け物を遠くから見ていた。


 あの黒い矢は光の矢よりもが異次元ぐらいに速かった。


 チェンジと言った瞬間に黒い矢が目と鼻の先にあった。



 のたうち回っていた化け物が、俺の方へ飛んできた。


 着地した時には地面が揺れ、風が勢い良く俺の方に逃げ出してきた。


 俺は剣を構えてから化け物の懐へ入り、俺の真上を剣で勢い良く振り上げる。その振り上げられた衝撃波で化け物の巨体が浮く。


 一発、二発、三発と衝撃波を飛ばすと、「あぁ」と言いながら、何も出来ない。


 まぁ、神の知識を持っても、神器を持っても、俺に勝てなかったのに、巨大化して勝てたら俺だって巨大化する。


 ポーチから弓を取り出し、矢を巨人の周りに展開する。


 弓をポーチに戻し、レクシアの剣を手に取る。


「よし、最終ステージだ」



 チェンジと言った瞬間に空へ浮遊している。


 チェンジは、ほんの少しの間だけチェンジした物の動きと一緒の動きをする。


 光の矢とチェンジした俺は、ほんの少し間だけ浮遊する。



 レクシアの剣で禍々しいオーラが俺の身体を襲う。二回目で気づくことは、ない。


 何でここでレクシアの剣を使ったのかは、巨人の呪いのオーラは強力だ。しかもただ斬っても殺せない可能性が高い。


 同じ力だったら効くだろうということでレクシアの剣だ。レクシアの剣なら曖昧な死を取り除けるだろう。


 簡単だ、俺が呪いで動けなくなる前に倒せば勝ちだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る