第537話 切願

 アリアの弓矢のせいで、敵襲かと勘違いしたリアさんとレアさんが剣を抜いてしまい一時はパニックが起きてしまった。


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「大変申し訳ございません。」


 俺はアリアの頭を下げさせながら、自らも頭を下げて2人に謝った。


「べ、別に気にしてないので大丈夫ですよ。」


 リアさんが眉をピクピクさせながら許してくれた。


 アリアは機嫌が悪いのかずっと顔を背けている。

 よし、アリアは会話に参加させないでおこう。これ以上揉め事を大きくさせたくないから‥。そう決意するのであった。


「それで、何か御用でしょうか?」


 街中で声を枯らせて俺の事を探していたのだ、何か良くないことでもあったのだろう。


バン!


 突然、リアさんとレアさんがテーブルに頭をぶつけながら頭を下げてくる。


「どうか、パトラ様をお助け下さい!!」

「「お願いします!」」


 2人は頭を何度もテーブルに擦り付けながらお願いしてくる。


 2人の様子からパトラ王女に何かあったのが推測出来る。


 それから2人からパトラ王女の話を詳しく聞いた。


「え?

 王様とパトラ王女が処刑されるの!?」


 さすがに異世界とはいえ、一国の王が殺されるはずがないと思っていた。


「それが事実のようで‥

 本来であればあり得ない事なのですが、国境の壁が砂に変わってしまたせいで騎士団がほぼで払ってしまい‥

 それに便乗してロドス騎士団が画策したようなのです。

 しかも向こうには第一王子が加わっているようで、我々も迂闊に手が出せません。」


 2人は泣きそうな顔で説明してくれた。


「それで、処刑はいつあるの?」


 裁判のことを考えると一ヶ月ぐらいは猶予があるはず。

 まずは城内の地図を手に入れて‥

 頭の中で今後の予定を考える。


「それが、今日の夕方には刑が行われるようで‥。」


 2人の言葉に固まってしまう。


「イヤイヤ、あり得ないよね?

 裁判もなしに殺すって!」


 理不尽さに思わず声が大きくなってしまう。


「お願いします!

 もう時間がありません!!」


 う゛

 時間がないのは致命的だ。


 あと数時間で王様とパトラ王女を助け出さなければならない。


 正直、助けるのは無理な話だ。


 ここは普通は断る。


 断るのだが‥


 馬車の中で見たパトラ王女の事を思いだす。


 まだ全然若かったよな。


 そんな子を見捨てて良いのか?


 ここはアリア達には残ってもらって‥


 自分1人で助ける事を決意しているとアリアが急に抱きついてくる。


「死ぬ時は一緒だ。」


 アリアは俺が残そうと考えているのに気がついたようだ。


 俺はアリアの独特な香りを嗅いで心を落ち着かせると決意する。


「俺たちで王様とパトラ王女を助け出しましょう!

 さぁ、ここからは時間との勝負です!

 すぐに城に向かいます!」


 俺は仲間全員で城に突入する。


 今回はミーも葵さんもNo.9さんにも参加してもらうつもりだ。


 さらに‥


「うちらも参加するのだ!」


 魔女っ子三姉妹の参加も決まるのであった。

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