第523話 女神の怒り6

「国を覆っている壁を全て砂に変えるなど、普通の人間に出来るわけがない!

 帝国の王として口に出したくはなかったが、あえて言わせてもらう。

 誰ぞ、神に怨まれるようなことをしたのか?」


 最後の言葉には嘘など絶対に許さないとの脅しが込められていた。


 王の指摘に数人の重鎮の心音が乱れる。


 王はそれを聴き逃さなかった。


「お主、何を知っている?

 正直に話せ。」


 王はゆっくり立ち上がると指摘した人間の元に向かう。


 王に指摘されて者はガタガタと震えだす。


 王がその者の横に立つ。


「何をした?」


 直ぐにでも首を刎ねられそうな殺気を放つ。


「何も‥。」


 この期に及んで嘘をつく。


「そうか‥。」


 王は一言発するとその男の首を切り落とす。


 ちなみに王だけはこの部屋での帯刀が許されている。


バタッ


 頭を失った身体が床に倒れる。


 誰も何も言えなかった。


 王は剣につい血を払うと、別の人物の元に向かう。


 見に覚えのある者は緊張のあまり歯をカタカタと鳴らす。


 王がその者の前に立つ。


「話せ。」


 王は剣に手をかけるといつでも斬れる体制に入った。

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