第372話 シャドウ


フェリス王女に紹介された人物は「彼女は」って言うのだから女性なんだろう。


某怪盗のようなレオタードのような衣装をきているが、あまりに凹凸がないので明確に女性ぽっさはなかった。


布のような物で頭をぐるぐる巻きにして目元に少しだけ隙間があるので、そこから見ているのであろう。


フェリス王女はアサシンメイドと紹介したが、アサシンなのはわかるがメイドの成分は1ミリも感じなかった。


俺がアサシンメイドを凝視しているとフェリス王女がさらに言葉を続けた。


「彼女の名前はシャドウ。

 私が生まれてからずっと一緒にいるわ。

 何でもお願いを叶えてくれる優秀なメイドさんよ。」

「彼女の名前はエルちゃん。

 気がついたら近くにいたの‥

 本当は仲良くなりたいのに全然会話してくれなくて寂しいの‥」


クッ

全然言ってる事違うじゃん!


見るからにシャドウじゃん。

エルちゃんの要素はないよ!


「シャドウは訓練されているから何をされても喋らないのよ。

 ちょっと試しに胸で揉んでみなさい。」

「エルちゃんは生まれた時から喋られないみたい。

 会話出来たらいいなぁ‥」


おっと、また情報が違うよ。


う〜ん、フェリス王女からお許しが出たから少し触ってみるかな。


俺はアサシンメイドに手を近づける。


『き、汚い手で触るな!』


フェリス王女とは違う声が聞こえるのであった。

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