第4話 手続き2
「面白い坊やだね。わかった、バスも転移してやるよ。ちなみにどんなバスがいい?最新鋭のかい?」
「本当ですか?やったーーーーー!!!!」斗馬がガッツポーズをとって喜ぶ。
「バスはいつも運転していた相棒がいいです。」
「豪華なバスじゃなくていいのかい?」
「ハイ」
斗馬は即答する。
「お前、気に入ったよ。その欲が無いところが良い!!今時珍しい!」
おばさんが満面な笑みを浮かべる。
「私のプライドにかけて素敵なバスを用意してやる。楽しみに待ってな。」
「ありがとうございます!あなたに出会えて良かったです。」
斗馬は深々と頭を下げる。
おばさんは焦っていた。目の前の青年に惚れてしまっていた。この仕事について数万年、こんなに心をときめかせたの初めてだった。どうしよう、このまま異世界に行かせたくないと思い出した。しかしここは涙を飲んで送り出すことにする。
「この部屋を出たら緑の線の上を歩いて行きなさい。」
「分かりました。最後にあなたのお名前を教えて頂けないでしょうか?」
おばさんは固まってしまう。どうしよう、本名を教えたいけど‥。ここは我慢しよう。
「おばさんでいいわ。では、また逢いましょう!」
カッコつけたつもりだったが本音が漏れてしまっていた。
斗馬の寂しそうな顔を見て、もう我慢の限界がきてしまっていた。おばさんは時を止めて斗馬にキスをする。
「私の特別な加護をあげるから、絶対に死んじゃ嫌よ。休暇取ったら逢いにいくから。」
おばさんは斗馬に何度もキスをする。
「いつまでやってるですか!!」
天使の格好した女の子が飛び込んでくる。
「だって‥、好きになったから‥。」
おばさんだった女性はいつの間にか、金髪でスタイルの良い、物凄い美人になっていた。
「だってじゃないですよ、女神さま。どんだけチョロいんですか!!」
「チョロくないもん。私の初恋だもん。」
天使がジト目をする。
「チョロいっていうか、重いです‥。」
「とにかく早く時を動かして下さい。もう一週間も止めるなんて‥。あと、服着てください。もちろん彼にも着せて下さいね!」
天使が本気で怒っている。
「わかったわよ。では、おばさんに戻ります。」
その後、女神はおばさんに戻り、天使は姿を隠して、斗馬を見送った。
その後、天使はあることに気がつく。
「この部屋、匂いませんか?」
「な、何のことかしら?」
女神は多少動揺したが、力を使って部屋を綺麗にする。
ファーストキスを捧げた女神が二人っきりで一週間も部屋にこもっていたのだ。この部屋で何が行われたかは、女神のみぞ知る。ちなみにこの後、天界を巻き込んだ大騒動が勃発するが、それはまた別の話。
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