第3話 手続き1
その後、手続きは順調に進み斗馬の番がやってきた。
「この紙にお名前、年齢、ご職業、住所を記入下さい。」
指示に従って書いていく。
「伊集院斗馬さまですね。残念ですが、あなたも今回の対象者ではないです。あなたには異世界と地獄‥『異世界でお願いします。』」
聞くのが面倒なので話に割って入る。
「話が早くて助かります。では、スキルを選んで頂きたいのですが、選ばれた者ではありませんので『勇者』『賢者』『剣神』などのチートスキルは選択出来ません。」
受付の人からスキルの一覧をもらい一通り目を通すが、これといったスキルが見つからない。
「すみません、ここに載ってないスキルはダメですか?」
「えっ?ユニークスキルですか??それだと私では判断出来ないので担当を呼びますね。」
斗馬は何故か別室に案内されて、担当者を待つことになった。何分かするとノックもせず扉が勢いよく開かれる。
「我儘言ってるのは、どいつだい!!」
怒鳴りながら、さっきのおばさんが部屋に入ってきた。
斗馬はおばさんが怖かったので、思わず土下座してしまう。
「さっきの子かい。で、どんなチートスキルが欲しいの?」
おばさんがやれやれと言った感じで椅子に腰掛けながら問いかけてくる。
「戦闘力はいらないので、バスを持って行きたいです。」
斗馬が真面目な顔で答える。
おばさんが一瞬固まる。
「バスと言ってもお風呂じゃないですよ。」
「わかっとる!」
おばさんがキレる。
「お前さんは、バスで何がしたい?」
おばさんが真剣な表情で聞いてくる。
「異世界をバスで旅したい。あと、気に入った場所があれば定期便とかしてみたいかな。」
おばさんは斗馬の心を読むが、どうも本気のようだ。
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