業火

▽▽▽



 ひまわりが群生する場所で、



 手に握られた、子供の抜け殻。



 赤髪の青年は、泣きながらそれを抱える。



「恨めしいか、不条理であろう。ならば燃やせ。何もかも灰にしてしまえ。さすれば彼のものは救われよう」



 どこからか降る、闇の声───。



 彼にとっては到底受け入れることはできない、この現実。



 白昼夢の幻と思ってしまいたいが、かつて愛したものは幻覚では言い表せるものでない。



 故に────幻ではない。



 赤く強かに燃える体に宿るは憎悪の影。



 白百合のような白炎が、立ち昇る。



 真面目の瞳に映った、鬼の姿は美しく儚げに笑う。



 左手には握られた荊の紋様が掘られた一振りの刀。


 

 その切先に、己が心に誓った使命がある。




 「お前を────斬る」




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