第6話●2021年7月20日 選択の多い、スポーツ観戦
暑い夏が続いている。
とにかく暑い……
こちらの世界と向こうの世界で家電のランキングを調べてみる。
1位、2位は冷風扇、エアコンは一緒なのだが3位からが違う。
こちらでは3位は携帯扇風機、向こうではVRゴーグルとなる。
向こうの世界でシェアエコノミーを加速させているのはVRゴーグルなのだ。
オリンピックをVRゴーグルで視聴できると発表されてからVRゴーグルの駆け込み需要が高まり、あっという間に市場から消えてしまった。
手に入れられるとしたらGEOやTSUTAYAなどのシェアエコノミーか、ネット喫茶だけになってしまった。
メルカリなどは高額すぎて定価の10倍近くになってしまっている。
東京オリンピック予選中継は2021年6月から少しずつ視聴が始まっていて「選手と寄り添った映像」というテーマで映像方法が議論されていった。
今までのスポーツ映像はAチーム、Bチームがあるとしたら見る国によってどちら側からの映像とコメンテーターによる解説だったのが大きく分けて4つの視点で見られるようになった。
1.Aチーム視点
2.Bチーム視点
3.チームに依存せず公平な視点
4.チームに依存せず多く点数を入れている方、勝っている方視点
陸上競技のように多人数で行う競技でも8人の走者が居れば8人別々の視点で競技を見せていく、そのためには膨大なデータを預けるデータセンターが必要となったのだ。
翻訳と音声解説という部分でもこだわった。
音声を自国の音声解説で字幕を対戦相手の翻訳字幕でゲームが相手国からどう捉えられているのか、立体的に観戦できるようになった。
スポーツ観戦が飛躍的に面白くなった。
翻訳をapple、Google、Microsoftから選ぶ形だが将来的にはそれらをまとめたAI翻訳の見通しもついてきた。
さらにVR視聴では見る位置を任意で決められる機能が付いた。
コート内でなければ、観客席ではなく審判の居る近くまでの距離でスポーツ観戦できるのだ。
ゲーム会社の技術とAI技術により補完された映像は今までに無い映像体験ができるようになった。
膨大なデータをデータセンターが引き受けてくれることにより、期間中の終わった試合を世界のあらゆる所で見られるようになった。
有料で見る視聴者を2億人と試算した。
オリンピック予選でシステムが4回アップデートした。
予選中に5回目もあるかもしれない、オリンピックが俄然面白くなってきた。
東京オリンピック全体では約600台のカメラが使われている。
そのほとんどが8K(7680×4320)、120fpsの360度8Kカメラで空中からドローンを使っての撮影している。
それが単なるドローンではなく、定点で完全固定でホバリングして、しかも48時間無着陸で飛び続けることが出来るのだ。
ただし、不格好極まりない1台のドローンは360度8Kカメラを搭載した撮影用で、もう一台は水素エンジンを積んだドローンだ。
2台のドローンが繋がってデュアルドローンとなっている。
360度8Kカメラを搭載した撮影用ドローンは各国が開発した物を改造して作ったが、水素エンジンを積んだドローンはトヨタが開発した国産のドローンを電力提供用に2台を繋げて48時間無着陸ホバリングを可能としていた。
一台のドローンにできなかったのは従来のドローン改造はカメラとアンテナの載せ替えで済んだが、それでは10分と飛んでいられないのを水素エンジンで随時電力を生産することで48時間無着陸ホバリングを可能とした。
オリンピック本番まで3日と迫った。
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この物語はフィクションです。実在する人物、団体、事件等とは一切関係がありません。
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