『耐熱性人類』

やましん(テンパー)

『耐熱性人類』


 これは、ほら、である。


 (すべて、フィクションです。医学的、あらゆる科学的な根拠はありません。)



……………………………… 🐪



 『年がら年中、気温が最低でも40度を越えるようになり、いわゆる春から秋までの夏場は、50度をさらに上回るようなことになりました。


 こうなると、人類も、身体を合わせなくてはなりません。


 海水も、かなり高い温度になりますが、それでも、大気中よりましで、人類は、両生哺乳類という方向に進化したのです。


 映画の半魚人というよりは、見た目は人間です。


 生理的にも、暑さや、また、逆に異様な寒さにも耐えなければなりません。


 身体全体に、脂肪を蓄えて、水に変換する、らくださんのようなシステムが出来たのですが、おかげで、みな、ハンプティダンプティみたいになりました。


 運動不足というわけではありません。


 オリンピックは、相変わらず開催されていました。


 走るというより、転がるのです。


 ところが、ぼくは、ちょっとした病気があり、進化前のような状態にありました。


 つまり、まあ、病気がちだけど、お腹の出方なんかも、千年むかしの基準からしたら、そう、特別ではなかったのですが、これが、いじめの対象になりました。


 つまり、医療用語では、『未進化体』、『先祖帰り』という呼び方になるのですが、これ自体は差別の用語ではないけれど、みんなから、気味悪がられ、仲間はずれになりました。


 法律上は、こうした差別は違法です。


 なのに、いじめは、差別ではない、とか言ったりしている方もありました。


 いじめではなく、ケアだ、と、主張する方もありました。


 みな、同じですよね。


 大切なことは、個性を尊重し、お互いが、大切にし合うことでしょう。人類はそれは、できなかったのです。』



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・



 これは、一万年前の地層から発見された日記の一部です。


 このあと、壊滅的なカルデラ噴火や、津波が世界各地を襲い、ホモサピエンスは、絶滅しました。


 彼らだけではなく、地上の多くの種が、大量絶滅しましたが。


 ぼくたち、ギボシムシ属が、その文化遺産を受け継いだのですが、なぜ、そのようなことが起こったのかは、はっきり分かっていません。


 たしかに、ホモサピエンスの遠いご先祖さまは、ぼくたち、ギボシムシの祖先と共通していたようですが、だからと言って、突然、ぼくたちが高知能化した理由は、まだ、わからないのです。


 いま、太陽さんが、予想よりもはるかに早く、膨張しだしています。


 しかし、ちょっと、停滞しているのです。


 これには、なんらかの、先進的な知恵が働いていると主張している、オカルトギボシムシ学者さまもありますが、証拠はありません。



  ・・・・・・・・・・・・・・・・


 

 『こちらの宇宙は、気に入らないわ。終わりね。』


 女王さまが言った。


 『お姉さま、どの宇宙の生き物も、生きているのです。大切になさいませ。』


 『そうだなあ。まあ、ここは、予想外の進化をしたの。なにか、与えた栄養素に、問題があったかも。』


 『ブラックマターのやり過ぎですか?』


 『バランスが難しいの。宇宙の培養は。』


 『マンガみたいですね。たしか、そういうのがありましたわ。』


 『まあ、人類も我々も、似たようなものだ。サンプルを集め、実験する。あなた、今度は、ここに行って、人類絶滅実験をし、代わりを立てて、観察しなさい。』


 『たまには、ご自分で、行かれましたらいかが?』


 『あなたの、役目です。』


 『いじめの感じがしますわ。』


 『とんでもない。そんなこと、あるわけがないですわ。お〰️〰️〰️〰️ほほほほほほほ。』


 『………いまにみてなさい、お姉さま。・・・では、行って参りましょう。』


 『ごくろさま。ん? あれー、宇宙ミミズさん。苦手〰️〰️〰️〰️😱』


 

      ・・・・・・・・・


             おわり

 

 

 


 


 

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『耐熱性人類』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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