八十万人記念放送をするお姉さん 前編
「みなさんこんばんは……」
「こんばんは~」
ついに始まりました八十万人記念の生配信、ただ真白さんのテンションがかなり低いことに俺は苦笑する。まあその原因を作ったのはほぼ俺なんだけどね。
:待ってました!!
:八十万人突破!!
:おめでとうございます!!
:おっぱい!
:たか君もこんばんは!!
:なんかマシロテンション低い?
:だな。どうしたんだ?
やっぱり普段と違うし何より、俺が隣に居るのにこの元気の無さは少し気になってしまうようだ。とはいえガッチリ俺の腕を抱きしめていることから、すぐにその部分を揶揄うコメントも見受けられいつも通りの空気になるかなって感じだ。
とはいえ、この後に待ち構えていることがあったとしても記念すべき瞬間だ。真白さんはすぐに明るいいつもの姿へと切り替えるのだった。
「……よし! 切り替えたわ。まずはみなさん、本日の朝になるのかな? 私のチャンネルが八十万人を突破しました! ありがとうございます!!」
「おめでとうございます真白さん!!」
笑みを浮かべる真白さんに向かって俺も手を叩いて祝福した。相変わらず俺の顔は映っていないが、声からでも視聴者の人に俺が喜んでいることはこれでもかと伝わることだろう。
真白さんの言葉に反応するようにコメント欄が大変賑やかになった。視聴者の数も既に二万人を突破しており、多くの人がこの配信を見るために集まっているようだ。
カッパさん
:10000¥ 記念にケーキでも買ってたか君と食べて下さい。あ、ファーストバイトの練習でも可♪
っとと、早速赤いのが流れてきてしまい目を奪われてしまった。ていうかファーストバイトって流石に気が早すぎるだろう!! 赤面してしまい上手く言葉を返せなかった俺の代わりに、物凄い満面の笑みを浮かべた真白さんが答えた。
「カッパさんさん? ありがと♪ うふふ~、これはケーキの食べさせ合いの配信もその内しないとかしら♪」
……あ、これはやるな確実に。
嬉しいのやら恥ずかしいのやら、よく分からない気持ちになったがやっぱり期待してしまう自分が居る。くそ、このスパチャによくやったとちょっと思ってしまった。
:もう結婚する勢いやん
:してまえしてまえ
ユルクルスト
:8000¥ 80万人おめでとう!!結婚式でも砂糖を撒き散らしてください!
ryouya0506
;8000¥ 結婚式生配信してください
yamamoto_aloe
:8888¥ 登録80万人おめでとうございます!次回結婚会見お待ちしています!
:怒涛のスパチャないすぅ!
:結婚式場はここと聞いて
「あ……あぁみなさん無理をなさらないでください!」
「たか君、たぶんだけどこの配信もっと荒れると思うわよ私は」
荒れると言うのは悪い意味ではなく、もっとこう言った感じの高額なスパチャが送られてくることに関してだろう……ヤバい、本当に無理をしないでって気持ちとお金が怖く感じてしまうんだが。
「やまもとさん、りょうやさん、ユルクルストさんありがとうございます。どうしてみんな結婚式ばかりなんだ……でも、凄く嬉しいですねこれは」
「っ!?」
真白さんの記念配信なのに完全に俺まで主役級の扱いを受けてしまっている件について、何となくこんな感じのことは予想していたんだ。でもまさかここまでの大事になるとは思ってなかった。これ配信終了まで持つかな、そんなことを考えていると俺を真っ直ぐに見つめる真白さんと目が合った。
「真白さん?」
「……今のたか君の笑顔、さいっこうに可愛いわ! お姉さんキュンとしちゃう!」
「ぶふっ!?」
配信中なのにお構いなしのおっぱいホールドが俺を襲う!
ainohara
:10000¥
バルブァン
:5000¥ いちゃいちゃ生放送と聞いて
:スパチャがエグイぞ
:たか君がまた疲れてまう!
:マシロしっかり包んであげるんだ!
「あいのはらさんありがと♪ バルブァンさんありがと♪ そうね、もっとたか君とイチャイチャしちゃうわ!」
「ま、真白さん息が……っ!」
「ひゃん! もう、たか君ったら大胆なんだから♪」
いや、息を吸うために胸の中である程度暴れてしまうのは仕方ないんだ。なので暴れてしまわないように大人しくすると、それはそれで真白さんがクスッと笑って俺の頭を抱いて離さないのだ。
「たか君はお姉さんのおっぱい大好きだもんね」
「……あい」
「うふふ~♪」
……もういいや、しばらくこのままで居よう。
相変わらず柔らかくて温かくて、いい香りがして顔面が幸せなのだ。これに勝る感触というか、心地よさはこの世には存在しないんじゃないかなぁ。
こうやって真白さんの胸に包まれている俺だが、本当に上手い感じにちょうど見切れるようになってて見えてないんだよな。なので、真白さんの胸を枕にするようにして俺はパソコンの画面に目を向けた。……ものすっごい速さでコメントが流れていて目で追うことが出来ないぞこれは。
wistalia0821
:10000¥ 結婚報告、待ってるゾ♪
「うぃずさんかな? ありがと♪ 結婚報告ねぇ、すぐには無理だけど数年以内には必ず出来ると思うわ。楽しみにしててね。ね? たか君」
「あはは……はい。そうですね」
何年先になるかは分からないが、真白さんが言ったように必ず報告はしたいかなって思っている。それと同時に、真白さんに頼られるくらいに大きく立派に成長していかないとな。彼女に支えられるだけでなく、支えていけるそんな大人になるためにしっかりと頑張らなくちゃ。
「それにしても今日は凄い勢いでスパチャが来るわね」
「……みなさん本当に無理をなさらないように」
高額ばかりで胃がキリキリしてしまいそうだ。
:少しは自重しろよお前ら
:は? 日々の感謝を伝えるのはファンとして当然やぞ
;せやせや、こういう形でも二人に貢献したいんやぞ
:……なんかさぁ、もうたか君が居て当たり前になったな
:それな
:嫉妬するけど……でもやっぱりマシロが幸せそうだしな
あぁ……本当にコメント欄が温かいんだよね。真白さんを今まで見てきたファンからすれば俺は異物に他ならない。でもそんな俺をこんな風に受け入れてくれる人たちが大勢居る……本当に真白さんのファンの人たちはみんな良い人たちだ。
「……あったけえなぁ」
:あったけえいただきました
:……今の声いい!
:たか君は何かボイス系の配信しないの?
:俺おっさんだけど聞きたいんだが
:えぇ……まあ俺もだけど
:俺も
:私も
:たか君って年上にほんと好かれるなぁ(笑)
あはは、そうだとありがたいんだけどな。
「林檎ちゃん……コホン、確かにたか君は年上の人には好かれるわね。まあでも、私が傍に居るから絶対に誰にもあげないわ。たか君はずっと、私の傍に居るんだから」
wanpannnnnnnnnn
:3000¥ タカくん迎えに来たよっ!!
「来なくていい帰りなさい」
辛辣ぅぅぅぅぅ!!
ワンパンさんかな? 取り敢えずあなたには心の中で俺が謝っておきます! それからも俺と真白さんは雑談をメインに視聴者の人たちと会話を続けていく。スパチャの方は途切れることなく送られているので、その都度心の中で大きな感謝を抱きつつ丁寧に言葉を返していった。
丹波熊八
:8888¥ 80万人おめ~。素朴な疑問だが、普段の生活の中で主導権を握ってるのはやっぱりマシロ?それとも意外にたか君?
「丹波さんありがと♪ 主導権かぁ……特にどっちがどっちってのはないかな。あぁでも、エッチの時はたか君が完全に主導権を握ることも――」
「はい次に行きますよ!」
「ああん……」
お願いですからあまり刺激の強い発言は控えてもらって……。
noboon
:10000¥ 二人とも末長く爆発してください
「のぼーんさんかなありがとうございます。爆発は勘弁してください」
「ふふ」
リア充爆発しろって言葉はあるけど勘弁してください本当に。
まっちゃん
:10000¥ 真白さんかわいい。真白さんかわいい。とっとと結婚しやがれ。たかくん漢見せろ~。
「まっちゃんさんありがと♪ たか君はいつだって優しくてかっこいいの。だからいつも漢を見せてもらっているわ」
「……………」
「こうやって照れるたか君も好き、可愛い、早く配信終わらせて二人でイチャイチャしましょうね♪」
もう既にイチャイチャしまくっている気がしますがそれは……まあでも、こんなに盛り上がっているわけだが始まって三十分も経っていない。この後には試しに過去の動画を見返すコーナーもあるし、まだまだ今日の配信は続いていく。
Y・K
:$158.800 これらは翻訳を使っています。あなたの動画はベトナムで使えると人気です。これからも頑張ってほしい
「わぁ見てたか君! 外国の人も見てくれてるのね」
「おぉ……あ、ありがとうございますY・Kさん」
使えるってなんだ使えるって……。
まあでも、いつだったか視聴者の国別表を見たけど色んな国の人が見てくれているのも確かである。やっぱりエッチなのは共通なのかもしれないなぁ。
「ところで真白さん、そろそろあれ行っちゃいますか」
「……あい」
そんなに落ち込まないでくださいってば!
これから何をするつもりなのか、後半に向けてその趣旨を俺たちは視聴者のみんなに説明するのだった。
【あとがき】
多くのコメントありがとうございます!
ただ一話に全て纏めきるのは無理でした。なので次で出来るだけ全部拾えるように構成したいと思います!。
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