触ってもいいし揉んでも良いのはお姉さんだけ
更科林檎さん、隣に引っ越して来た人はおっぱいの大きな綺麗なお姉さんだった。
「……この紹介の仕方はやめいやめい」
部屋に入った林檎さんだが、また後で挨拶に来ると言っていた。あの様子だと真白さんには会ってないようだし、どんな人が引っ越して来たかは伝えておこう。
「ただいま~」
……何というか、この部屋にただいまって言って帰るのも慣れたものだ。ドアを閉めたタイミングで真白さんが現れ、俺を見て嬉しそうに笑みを浮かべながら熱い抱擁をしてきた。
「おかえりたか君!」
あ~、毎日これがあるから頑張れるんだろうなぁ。
真白さんの背中に腕を回し、彼女の存在を確かめるように俺も抱きしめる。そうして真白さんと顔を合わせ、どちらからともなく顔を近づけてキスをした。これが基本的に学校から帰って来た時のやり取りだ。
「熱かったでしょ? アイス買ってあるから食べましょ」
「はい」
こうやってお互いに抱きしめ合ってキスをしてる時点で既に体は熱い。だからこそアイスを食べてクールダウンだ。真白さんに手を引かれるようにリビングに向かいアイスを手渡される。真白さんがイチゴ、俺がチョコだ。
「あむ……う~ん美味しい♪」
「冷たくていいですね。やっぱり夏はこれが一番だなぁ」
火照っていた体が冷えていく。そのタイミングで俺は真白さんに聞いてみた。
「あぁそうだ。真白さん、隣に引っ越して来た人には会いました?」
「まだよ。もしかして会ったの?」
「えぇ、ついさっきですけど」
さっきのことを真白さんに伝えると、真白さんはだからと何か納得したような表情になった。
「だから女の臭いがしたのねぇ」
「……臭いって」
以前にもこんなことがあった気もするが、そんなに匂いって移るものなのか? つい服を嗅いでしまったが当然分からない。そんな俺を見て真白さんはクスクスと笑みを溢す。
「そんな気がしただけよ。大好きなたか君の匂い、そこに何か別の臭いが混じればすぐに分かるわ。でも嫉妬はしない、だってたか君が私以外の女の元に行くなんてあり得ないでしょ?」
嫉妬しないと言う割には声に圧がありますが……まあでもその通りだ。俺は真白さんが本当に大好きで、どうしようもないほどに愛している。傍に居たいと願うのは子に人だけだし、居てほしいと願うのもそうなのだから。
当然です、そう答えると真白さんは嬉しそうに頭をコトンと肩に乗せてくるのだった。
「たか君が後三年早く生まれるか、私が遅く生まれてれば一緒のクラスメイトだったかもしれないのよね。ふふ、気にしても仕方ないけれど一緒の学校生活っていうのは憧れるわ」
「……ですね」
この問いかけも以前にしたと思うけれど、真白さんと一緒に学校生活を送るなら果たしてどんな風になるんだろうな。案外、学校の中でも遠慮なしに誘惑してきたりしそうだけど流石にないかな。
「学校でも隠れてエッチなこととかしそうよねぇ」
「……………」
はい、どうやらするみたいですこれは。
真白さんの言葉に苦笑していると、あっと声を上げて真白さんは立ち上がった。ちょっと待っててと言って衣装部屋に向かったけどどうしたんだろう。しばらく待っていると真白さんは戻ってきた。
「……そ、それは!?」
「残ってたわ。でも……パツパツだわこれ」
戻ってきた真白さんだが、さっきまでの私服ではなかった。衣裳部屋に向かったということで何かコスプレをするものだとは思ったが……真白さんの今の服装は制服である。真白さんがパツパツと言ったように胸とかかなり苦しそうだ。
「たか君と会った時、中学三年の時の制服ね。背はともかくとして、胸とか本当にキツイわ。よくボタン止まったけど……あ」
パシンと、大きな音を立ててボタンが飛んだ。
その瞬間、ぶるんと音を立てるように胸の部分が揺れた。なるほど、中学の頃に比べて格段に成長しているのは間違いないらしい。でも胸と……後は腰辺りが苦しそうなだけで普通に着れてはいた。外には到底出れないだろうけれど。
「これを着て同級生プレイとか良さそうね」
「……真白さん、取り敢えず刺激が強いので着替えてもらっても?」
「うふふ~♪ そうね、これは今度する時に着て楽しみましょうか」
真白さんは再び衣装部屋に戻り、さっきまで来ていた私服になって戻ってきた。
まあさっきの服装が刺激が強いとは言ったけど、普通にこの私服も胸の谷間が見える形になっているのでどっちにしろ刺激は強いんだけどさ。
「あぁそうそう。お隣さん名前は何て言うの?」
「更科林檎さんって言ってました」
「……林檎……か」
あぁ、そう言えば何か引っかかると思ったけど真白さんのSNS上の友人に林檎さんって居るな確か。ちょくちょく連絡は取り合っているみたいだけど、俺が持つ林檎さんの情報って体の写真を投稿していることくらいなんだよな。真白さんと違うのは配信者ではないってことくらいか。
「……偶然よね? でも……たか君見てみて」
「え?」
真白さんが見てと言ったのはスマホだ。画面に映されていたのは林檎のSNS、そこにはこう書かれていた。
“新しい新居に引っ越して来たけど大きな部屋で良いところね! セキュリティもしっかりしてるし最高だわ”
「これは……何ともタイムリー過ぎると言うか」
もしかしてあの更科林檎さんとこの林檎は同一人物? そうでない可能性の方が圧倒的に高いだろうけれど……そう思っているとインターホンが鳴った。
真白さんよりも早くカメラで外を見ると、今話の話題だった更科さんが包みを持ってドアの前に立っていた。たぶん隣に引っ越して来たからお近づきの印にってやつだろう。
「真白さん、更科さんです」
「……この人が」
さっき会った時は髪を結んでいたが、今は解いてその長い黒髪は背中まで伸びていた。とりあえず、こっちに来てくれたのだから出ないわけには行かない。まず俺が更科さんを出迎えることにした。
「こんにちは工藤君」
「さっきぶりです更科さん」
「これ、お近づきの印にどうぞ♪」
「ありがとうございます」
って、家主は真白さんなんだけど……。
お土産を受け取った段階で俺の後ろから真白さんが現れた。更科さんは突然現れた真白さんに驚くも、やっぱりその美貌にポカンとしていた。真白さんという存在が傍に居るからこそ目が肥えているのかもしれないが、更科さんも本当に綺麗な人だと思っている。歳もそこまで離れて無さそうだし、こんな人が傍に居たら近くに居る男は放っておかないだろう。
「ありがとうございます更科さん。それと初めまして、高宮真白です」
「……マシロさん!?」
真白さんの自己紹介に大きな声を上げた更科さん……どうやら真白さんの予想はまさかの的中らしい。
「林檎ちゃん……なのねやっぱり」
「……本当にマシロさんなんですか?」
取り敢えず玄関でこうしてるのも何だし、中に入ってもらってはどうかと真白さんに伝えると頷いた。更科さんに中に入ってもらい、麦茶をコップに淹れて差し出した。
「ありがとう工藤君」
「いえいえ」
それにしても……この人が林檎かぁ。真白さんと林檎が実際に出会ったのも凄いけど、俺の目の前にネットの世界で有名な二人が居るというのも妙な感動がある。
「まさかリアルで林檎ちゃんに会えるなんてねぇ……何があるのか分からないわ」
「本当ですよ。でも……なるほど、この子がたか君なんですね?」
「そうなのよ~♪」
ギュッと真白さんに抱き着かれた。
林檎……更科さんは真白さんに好きな人が居ることは知っていたらしく、ついで付き合うことになったのも当然知っていた。だからその相手が気になっていたようだが俺を見てどんなことを言われるんだろう。
「優しそうな子ですね。高校生とは聞いてましたけど……うんうん、真白さんが好きになったのが分かる感じがします」
「でしょでしょ! 流石林檎ちゃん見る目があるわね!!」
「……………」
悪いことは言われていない、でも……なんだこの気恥ずかしさは。
「あ、赤くなってる……可愛い」
そりゃ誰でも照れるに決まっている。そんな俺の顔を胸に抱いた真白さん、彼女は低い声で口を開いた。
「あげないわよ?」
「真白さん瞳孔開いてるから! 怖いから!」
どうやら少しだけ嫉妬したらしい。
それから真白さんと更科さんを中心に話が展開され、俺はそれを傍で聞いているだけだったが……何というか、世の中の汚さと怖さを知った気分がする。
そもそも、どうして林檎さん……そう呼んでいいと言われたのでこれからは林檎さんと呼ばせてもらう。彼女が引っ越したのかだが、単純に職場でのセクハラがあったかららしい。この見た目とスタイルで上司に目を付けられたらしく、抱かせろ云々と脅しを掛けられたとか……それで、色々と文句を付けて林檎さんは会社を辞めたらしい。
「まあ、会社勤めしなくてもお金は稼げてるので良い機会でした。フォンティスもそうですし株もやってるので」
「へぇ」
フォンティスというのは所謂パパ活サイトだ。SNSで宣伝し、そちらのサイトに登録してお金を払うともっと際どい写真が見れる、そんな風にファンを獲得しているのだろう。
「辞める時に色々言われましたけど清々してます。まだまだ二十歳、これから頑張っていきますよ」
あ、林檎さんは二十歳だったのかそれは知らなかった。
それからしばらく話をして林檎さんは部屋に戻っていった。真白さんは林檎さんに会えて嬉しかったのか笑みを浮かべてこう言った。
「ふふ、林檎ちゃんったら凄く美人でビックリしたわ」
「真白さんの方が美人だと思いますけど」
「うふふ~♪」
嬉しそうに笑って真白さんは俺を押し倒した……え?
「ねえたか君、チラチラ林檎ちゃんの胸元見てたわね? 頻度はそこまでだったけどお姉さん気づいてたわよ~?」
「それは……」
いや、事あるごとに目の前で揺れるんだから仕方なかったんだ。真白さんは別に怒っているわけではなく、むしろ挑発するように舌を舐めて言葉を続ける。
「たか君、お姉さんの胸を触りなさい」
言われた通りに触る。
いつも感じる至高の柔らかさ、ずっと触れていたいと思わせる不思議な力がある。
「揉みなさい」
揉んでみる。
確かな弾力を感じるも簡単に指が柔肉の中に沈んでいく。ビクっと震えた体、顔を赤くした真白さんが悩ましい吐息を俺の耳に吹きかけてくる。
「いつでもどこでも、触ってもいいし揉んでもいいのはここなの。だからたか君、あまり目移りしないでね?」
その問いかけに俺は頷くのだった。
さて、この嫉妬深いお姫様の相手をこれから頑張ることになりそうだ。
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