第12話 土曜日
薄明
随分早く目が覚めてしまった。
基本週末は明け方まで趣味に没頭するので、久しぶりに規則正しい生活をしているのだ。悪くはないが、他人に行動を制限されるようで少し癪だ。
なぜ心地よい朝に苛立ちを感じているかというと。
昨日のことだ。
「明日は遅れちゃだめよ!時間厳守だからね。遅刻は柊先生に報告だからね。」
悪魔の様な囁きと、それに似合わぬ天使の様な微笑み。
声色最高。笑顔最高。内容最悪。
前者二つによって世の男たちは気付かない。いや気付けないでいる。
騙されるのは男の定めなのか、いや違う。俺はそうならない。
今日はたまたま早く目が覚めただけで、別に怒られたくないから集合時間に間に合うように着替えているわけではない。
~~
しかし、集合場所があの家なのは少し残念だが。駅前だろ普通。
まぁ別に、香久山さんの家に入るわけでなければ、玄関先まで行くこともない。
近くで待つ。それだけだな。
「おはよう、片瀬君。約束ちゃんと守れたね。偉い偉い」 ニコニコ
「はいはい。おはよう」
なんというかうん、可愛いぞ。
私服・髪型・笑顔これらの要素により知能が格段に下がる。
ついつい眺めてしまう
「なに?いきなり見つめちゃって~。私服姿にやられちゃったの?」
「そうだな、似合ってるな。もの凄く」
感想を素直に伝える。姉からの教えだ。
「へぇっ?」
なんとまぁ間の抜けた声だ。顔まで赤くして褒められた経験がないのか?
「なぁ、行く場所決めてあるの?」
「あ、うん。ショッピングセンターにしようと思う。場所知らないんだけどね」
「案内役・荷物運びか。今日は大変そうだな」
「よろしく頼むよ、相棒君」
「ああ。」
~~
少し遠くに大型のショッピングモールがあり、そこに行くことになった。
着いたのは昼前だった。
ひとまず休憩がてらカフェに入った。
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