第3話 買い出し
お昼過ぎ
秋は帰り道に本屋に立ち寄った後、スーパーに寄った。
今は姉と二人で生活をしているため、食買い出しは秋の役割だった。
秋は夕食も担当しているのでとても憂鬱な気持ちで食材を選び始めた。
なぜ二人暮らしをしているかと言うと、両親が仕事でいないから二人暮らしをしているわけではない。両親はもういない。亡くなった。
秋の両親は高校入学前に交通事故で死んだ。即死だったそうだ。
事故の原因は脇見運転だった。加害者も即死。
何が起こっているのか分からなかった。理解出来なかった。
昨日まで生きていた人が、急にいなくなったのだ。
警察の人から電話で伝えられた時は、何かの冗談かと思った。
病院に行くと姉が泣いていた。
姉の泣き叫ぶ姿はあまり見ていられなかった。
看護師の人に霊安室に連れて行かれた。
そこでやっと両親が死亡したことが分かった。
言葉が出なかった。唖然とした。
涙も出なかった。悲しくて仕方ないのに涙が出なかった。悔しかった。
両親は人に好かれる人達だったらしい。
葬儀には多くの人が来てくれて、泣いている人もいた。中には、姉と自分に声を掛けてくれる優しい人もいた。
加害者の親も来ていた。沢山謝罪された。
この人たちも自分たちと同じように大切な家族を失っていた。辛いだろうに。
相続の手続きも終わった。
家族で住んでいた家は売ることになった。学生2人では維持が難しいらしい。
幸運なことに、加害者の親が経営しているマンションに住むことになった。
3LDKの部屋だった。姉と住むには少し大きかったが無償で借りれるという契約だ。姉は断固反対した。しかし大学のこともあったので、しばらくは住むようようだ。仕事が見つかればこのマンションから出ていくらしい。
秋は食材を買い終えた。
楽をしたい秋は、日持ちのいいカレーを作るそうだ。
週のほとんどがカレーである。
きっと姉さんに嫌味いわれるだろうな。
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