第2話 美魔女先生
正午前
二学期初日ということでお昼で学校が終わった。
部活のある生徒達は教室で雑談をしたり、食堂にいったりしていた。
部活がない生徒達は即座に家に帰る人もいれば、図書室で本を読んだり、友達と帰り道にゲーセンによったりする人もいるのだろう。
青春だねぇ、眩しいよ。
俺には到底無理そうだな。
そんなこと思いながら秋は職員室に向かっていた。
にやにや顔だった後ろの席の子は、もう帰っただろうか。
あの人も青春を謳歌するタイプだろうな、きっと。
「失礼します」
職員室の扉を開くと美人が台無しになるくらい怒っている元担任がいた。
日本一の美人さんと言ってもよいレベルの顔立ちに加え、
身長も高くスタイルまでいい。
多くの女子生徒には憧れを抱かれ、告白までされている。
しかし、男子には厳しい。特に去年は俺に対する扱いが酷かった。
今年もこの人が担任らしい。
「片瀬。私のH.R中に幸せそうに寝てたなぁ。気持ちよく眠れただろう?」
「どうだ反省の言葉はあるか?」
とても美人な人が出せるような雰囲気ではなかった。どう見ても恐ろしい魔女が発するようなドス黒い雰囲気だ。
「悪いとは思ってますが、反省する気はないですね」
「ただ人間の本能に忠実なだけですよ」
若く美しい魔女の雰囲気がさらに濃くなった。
これが世に聞く鬼の形相ってやつか。
あぁやばい。
「あ、嘘です。ごめんなさい、寝てしまい申し訳ありませんでした」
「春休みの自堕落生活が招いた自業自得な結果です」
秋は即座に謝罪した。
心に鬼を飼ってる魔女には逆らわない。去年、秋が自分で決めていたルールの一つだった。この魔女には嘘と冗談は通じない。力も男子高校生並みに強い。そして秋だけになぜか厳しい。
「はぁぁ、片瀬。お前は学習しないやつだな」
「まぁ今回だけは許してやろう。次はないと思えよ。」
「おぉ、ありがとうございます」
「当然ペナルティは課すけどな。内容は後日だ」
「今日はもう帰れ」
一瞬でも優しいと感じたのが馬鹿だった。
「魔女め。」
心の中でそう呟いた。
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