第6話 家に起きた異変
「とはいえ、やっぱり我が家の財政状況はキビシーわねぇ……」
がらんどうになった食品庫の棚を手に持った
最後にここへ来たのは確か、お母さんの命日にお墓へお供えするモノを探しに来た時だったっけ。
「あの時も最後に残っていた小麦粉でクッキーを一枚焼いて終わったんだっけ……うう、泣けるわ」
そのクッキーも砂糖も無しの
最近では砂糖や蜂蜜、バターや果物を混ぜ込んだクッキーが人気らしい。
私は一度も食べたことなんてないけれど、素クッキーを半分こにして
「しっかし、どうしましょう。これじゃあレーベンに分けられる食べ物が無いわ」
ここに食料が無いとなると、他に思い当たる場所は二か所しかない。
だけどそこは開け方の分からない金庫や、開かない扉で封印されている地下室だったりする。
初めて我が家を訪れた大事なお客様だから、出来る限りのおもてなしをしてあげたかったのに。
(まったく、我が家ながら謎が多すぎるのよ……んん?)
腕を組んでムムムと悩んでいると突然、家中でブゥンという異音が鳴った。
「やだ。私が文句を言ったから、家が怒ったのかし……キャアッ!?」
突如、近くに雷が落ちた時のような衝撃が私を襲った。
あまりのことにビックリして、手に持っていた貴重な蝋燭を落としてしまった。
だけど、今はそれどころじゃない。
落ちた衝撃で火が消えてしまった蝋燭をそのままに、私はレーベンの居るキッチンへ駆け出した。
「ちょっと、貴方!! どういうことなのよコレは!!」
猛ダッシュでキッチンへと戻ると、レーベンは何食わぬ顔で突っ立っていた。
私の焦りようなんて
ちがう、そうじゃないし、全然大丈夫なんかじゃない。
私にとって一大事が起こっているのだ。
「良いから早く、なんで私の家が
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