都会のトム&ソーヤ⑤ IN塀戸
刊行日:2007年07月26日(上巻、下巻同時発売です)
おまたせしました。今晩も始まりました「はやみねかおる、全部読む。」
今回は都会のトム&ソーヤの第5巻、IN塀戸なる巻のご紹介です。
前作のラストで「ゲームの新作を作ってあの二人にぶつけるぞ!」と栗井栄太チームが何かしら動いていたと思うのですが、それの内容が今作となります。なお、上下巻に分かれていますが、両方とも同じ日に発売されていますので、一冊として扱わせていただきます(ページ分けたら面倒くさいですしね!)
□小ネタ
・いきなり、意表を突くガンアクション風のOP、夢か、ゲームの設定か……
・お婆ちゃんのサバイバル知識「慣れない武器を使うもんじゃないよ……」いや本気でお婆ちゃん、もと伝説の傭兵だったりしない???
・小麦粉……これは……粉塵爆発か?
・やっぱり粉塵爆発しましたね。もしかしてこれが粉塵爆発を初めて知ったきっかけだった!って方もいらっしゃるのではないでしょうか?あなたの粉塵爆発はどこから?私はARMSから!
・スターウォーズネタ来ました。
・ここで紹介されている、アンブローズ・ビアスですが、「悪魔の辞典」や、短編「アウル・クリーク橋の一事件」で有名な作家です。
・アップローダーのパス、一昔前のネットだと凝ったのありましたね。いや、今でもか。
・そう言えば、ルージュ・レーブはもう世間に発表されたんでしたっけ?(記憶が曖昧)
・保育園が人手不足……タイムリーなネタだ!
・「長生きしたかったら気を抜くな」婆ちゃん、やっぱ傭兵(以下略)
・「山で土砂崩れに気をつける」主人公、絶対平凡な中学生じゃないですよ!
・黒色火薬の匂いが分かる中学生もヤバい。
・創也がサンリオSF文庫版の「万華鏡」を読んでます。これはレイ・ブラッドベリの短編集で、表題作を含めて名作揃いの短編集で、超オススメです!サンリオSF文庫自体がプレミア付いているので高いですが……。あれ?でもこの本が鍵になる……のか?あとで確認してみましょう。
・PCの名前が「春」これは、「2001年宇宙の旅」のコンピュータ「HAL」からきた ネタですね、創也にはそのネタが分かったので笑っているということなのでしょう。
・栗井栄太が複数人のチームだってもうバレていいんでしたっけ??テレビ局のスタッフとかいるしな……。
・パンチの風圧でハエを落とせる、矢吹選手も相当強いと思います。
・ナイフ一本で山に入れるお婆ちゃん、格が無限に上がっていく……。
・バオー来訪者(荒木飛呂彦先生の超名作漫画)ネタだと……!?はやみね先生、荒木先生の漫画読んでたんだ……!じゃあ、二巻のBTみたいなネタも意識してたり!?(興奮)
・首筋チリチリで狙われていることに気がつく中学生……やっぱり普通じゃないよ!
・ゲームのタイトルがインベイドってところから「スペースインベーダー」を意識したものだと思ってましたが、まさか「遊星からの物体X」ネタでくるとは……
・起こるイベントを予期している真田女史、なんなんだよ!!怖いよ!!
・と、ここで上巻は終了。謎を残して下巻に進みます。
・思わず高速で下巻を開いてしまいました。続きが気になりすぎる。
・「はてなダイアリー」ソース元として信用して良いのか??
・重力をコントロールするトリック、パッと思いつきませんね。
・三つ子に亜衣、真衣、美依とつけるような……というセリフ、夢水清志郎シリーズが出てきて嬉しくなりました。
・『大学祝典序曲』知らなかったので調べてみました。なるほど、こういう曲か……。
・「若さを吸い取るカメラ」ウルトラセブンの回であった記憶があります。でも今調べてもどの回だかあやふや……解った方いたら教えて下さい。
・松明を製造するのはいつもの流れ。ほぼノルマですね。
・めちゃくちゃ重い石、金鉱石か、ウラン鉱石か……。
・重力コントロールのネタ、豪快ですけれど、しっかり筋が通ってますね!!!
・「さて――」を教えてくれるお婆ちゃん、最強か。
・〇〇が犯人、という禁じ手をまさかこうやって料理してくるとは、流石ですね。
・ハーミット・パープル、突然のジョジョネタ。前の巻あたりから荒木先生ネタが増えましたね。
・今回の犯人、意外と強いよ!以前、「探偵ものにはカラテが強いものがでてくる。なぜなら、クローズドサークルの場合、犯人にとっては全員を皆殺しにするのが最適解だから」なんてことをネタにしていたことがあるんでうが、そんな感じです。早く来てくれ!拓也さん!
・ラストシーン、横溝正史先生の『獄門島』ネタですね。
・実は他にもイベントがあったのでは?と思わせる終わり方、含みが会って好きです。
□総評
いや~~~~~!!すっげー面白かった~~~~~!!!
正直、前作までは「R・RPGって言ってもな……本当に面白いのか?」という思いで見てたんですが、「実際の村を一個まるごと使ったTRPG謎解きゲーム」という、これだけで大発明になりそうな題材を掴んだのが良かったのか、今までのシリーズの謎解きゲームとミステリががっちり噛み合ってとんでもない完成度になっています。
冗談抜きでこの設定エポックメイキングだと思うんですよ。
今回みたいな「犯人は宇宙人!」みたいなトンデモネタも処理できますし、キャラ同士の掛け合いも描ける。
以前、はやみね先生は、夢水清志郎シリーズ「魔女の隠れ里」で、マネキンを死体に見立てることで児童書で連続殺人事件を描くのに成功していまして、凄いアイディアだ!と感心したんですが、それをさらに進化させてきたという感じです。
「魔女の隠れ里」は実際の連続殺人ではなくて、推理ゲームということを活かしたトリックがあるんですが、今作もそんな感じのどんでん返しがありました。(まさかの犯人は〇〇!)こんな禁じ手までできるんだから、アイディアの大勝利です。
何よりも。「ただのお遊びかと思ったゲームに、実は本物の犯罪者が紛れ込んでいて……」という流れは先が一気に読めなくなってとてもいいスパイスです。。(そこも含めて実は全部ゲームだったんじゃないか?というオチも見どころですが)
途中の「もしかして宇宙人は本物じゃないのか?」なんてついつい読者も思ってしまうような、トリックは、20面相シリーズに代表される江戸川乱歩の匂いを感じます。20面相も「もしかして透明人間や宇宙人はトリックではなくて本物ではないんだろうか?」なんて思わせてきますからね。
今シリーズ「都会のトム&ソーヤ」では、「ゲームづくり」が重要な要素として出てきますが、この作品を読むと「究極のゲーム。それは犯人と探偵の知恵比べのことさ!」みたいに栗井栄太サイドと、ゲームを通じて何度も何度もぶつかるみたいな展開に落ち着いても良いのでは?とか思ってしまいます。
さて、そろそろ締めに入りたいのですが、その前に。
サンリオSF文庫の「万華鏡」を読んでいる創也に、内人が「ずいぶん古い本だけど、おもしろいのか?」と声をかけた所、「ああ、これか――バグはどこにでもあるよ。ゲームの世界に限らずね」と内人には理解できないセリフを返すシーンがあるじゃないですか。
このシーンが気になってまして……なにか含んだセリフなんですよね。で、実は私このサンリオSF文庫の「万華鏡」(表題作、万華鏡を含む短編集です)をたまたま持ってましたので確認してみてるんですが、うーん、さっぱり分かりません。レイ・ブラッドベリには、中古の宇宙船と立体映画で子どもを宇宙旅行に連れて行くフリをするお父さんが出てくる話とかあって今回の話っぽいな……とか思ったんですが、それはこの短編集には収録されていませんし……。
大体なんでサンリオSF文庫版なのかが分かりません。というのもこれ短編集で、収録作のいくつかはもっと手に入りやすい版でも読めるんですよ。表題作の「万華鏡」は超名作ですけれど、これじゃなきゃダメってことでもないですし……
本の内容とは関係なく、つぶやいたってことなんでしょうかね。
謎を残してしまいましたが、とりあえず先に進みましょう!また次回!
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