あやかし修学旅行 鵺のなく夜
刊行日:2003年07月19日
さーて、今回はついに修学旅行編です!学校生活における山場、それが修学旅行!ということで実際に読んでいきましょう。
この作品ですが、実は昔読んだことがありました。(前巻は読んだことがなかったので。一巻抜かして読んでいたんですね)ので、再読になったわけです。
まあ、かなりの部分忘れているので新鮮な気持ちで読めたんですがね!さて、小ネタを拾いつつ見ていきましょう。
□拾われている作品
○本
・『ドイツ国際氏名法の研究』
・教授が読んでいる本。実際にある本のようですが、関連は不明。
○音楽
・植木等の曲
・怪談が苦手な女の子が部屋でかけるCDとして登場。それはそうとして、昭和ネタ多くないですか???
○映画
・「JAWS」
・お菓子を食べる教授を評して
□小ネタ
・修学旅行先はO県T市、日本にあるO県は、OKINAWA、OITA、OKAYAMAの3つなのでここは、名探偵の聖地(本当か?)OKAYAMAとみた!
・OKAYAMAにあるT市は、「津山市」「玉野市」「高梁市」なので、このどれか?
・
・今回修学旅行で行く「
・「不気味な手毬唄や、落ち武者の祟り」、これは「悪魔の手毬唄」「八つ墓村」のネタでしょうね。
・UMA捕獲に情熱を燃やす川口君は、水曜スペシャルの「川口探検隊」ネタですね(そういう人気番組があったのです)
・川口君は自分のテーマソングを持っているらしい。すごいキャラだ。
・夢水清志郎は一千万円の小切手をもらっていますが、行方不明に。このシリーズの三年間で稼いだお金が主にこれだとすると、年収300万円ぐらいの生活をしていることになります。
・亜衣の時給は、356円と明らかに最低時給以下、児童労働ですよ!岩清水刑事!それはともかく、社会勉強みたいな感じで許されているって設定なんでしょうね。
・「これは超能力ではありません!手品です!」と出てくる、科学者のおじさん。おお!あなたは、二巻で出てきた大槻教授をモチーフにしたプラズマおじさんじゃないですか!!こういう再登場良いですね。
・超能力者対策に常に封筒を持ち歩くおじさん。いいキャラです。
・おじさんが書いていた数式、分布っぽい感じ……と思ったらこれポアソン分布ですね。なお、夢水清志郎はこの数式を「少数の法則」と言っていますが、少数の法則でググると「サンプル数が少ないので偏る(大数の法則の逆)」という意味の方が多くでてきます。
「ポワソンの少数の法則」というものがあって、この式が関係してくるんですが、多分より正確に書くなら「ポアソン分布に従う確率変数の式」とかになるんでしょうか?(ちょっと自信ない)
・教授とレーチのペテンに退散するプラズマおじさん。落ち込まないで!……まあ、前作で超能力者出てるんですが。(しかも透視能力)
・毎度おなじみ謎クラブ、『治乱(治にいて乱を好む)』が初めて出てきます。なお、天丼ネタであった『超常現象研究会の会長、中村巧さんを研究する会』に関して、実は『中村巧は超常現象研究会の会長が代々受け継ぐ名前』という衝撃の事実が明らかになります。シリーズを通してネタにしていたので、拾われると嬉しいですね。(読んでいたはずなんですが、本気で忘れていました)
・枕投げ同好会(PTA)も初登場、キャラ立ってるんですよね。
・修学旅行に行きたい教授、一体どうやって同行させる気なのか??と思っていた所、思いも寄らない方法で同行することになります。
・それはそうと、「脅迫に屈しない」という校長のスタンスは大事ですね。世の中脅迫に屈すると大変なことになりますしね。(色々と)
・水に溶ける紙、昭和の昔に流行った探偵・スパイセットに入っていたものですね。
・ていうか、修学旅行のしおり、完全にスパイセットなんですよね。消えるペンとか。
・怪談が苦手な女の子が、怪談が嫌いになったきっかけの絵本はおそらく「寝ない子だれだ」かと思われます。
・黒魔術に手を出すM太郎、バスの座席表とか見ると誰かわかるのかな?
・『鵺のなく夜に気をつけろ』これは、横溝正史の『悪霊島』のキャッチコピーが元ネタ。
・鵺伝説、「T小学校6年総合学習の聞き取りより作成」ってのが懐かしくなります。いまでも総合的な学習の時間ってあるのかな?
・ドボンのルールが詳細に説明されています。これ昔からあるゲームなんでしょうか?
・O県への道筋、Fインターチェンジから高速道路に入り、IパーキングエリアとGサービスエリアで休憩をはさみH県へ、Aインターチェンジで高速道路を降りて、S市のコミュニティセンターへ(ここでそば打ち)、再びAインターチェンジで高速へ、Eサービスエリアで最後の休憩、Tインターチェンジで高速を降りる(もうO県に入っている)という道筋なんですが、どこに対応するのかはさっぱり。
はやみね先生は三重県伊勢市出身なので、そこからのルートだと思われるのですが……
H県は、HYOGO、HIROSHIMAの二県(なんと両方ともOKAYAMAの隣!)なので、おそらく三重側からHYOGOに入ったものと思われます。
地元の方、ここらへんの位置関係が分かったら是非教えて下さい。
・エレキ小僧、「悲しきエレキ小僧」という歌があるので、それ関係のネタだと思います。
・『風船のセロハンテープ剥がしゲーム』は、「人形は笑わない」でも言及されていましたね。(皆伊藤さんの運転で気絶して出来なったけれども)
・伯爵にお土産を買っていこうとする教授。よく覚えてましたね。それはそうと、伯爵元気かなぁ……ミステリの館とかやってた時に特別ゲストで来てくださいよ!マジシャン繋がりで、師事関係にあったとかのネタもできそうじゃないですか!
・ここでも出てくる12色ボールペン。なつかしー!
・「11人いる……」のセリフは、名作SF漫画「11人いる!」からかと。
・現場となる山は石灰岩で出来ているとのこと。岡山県で石灰岩が算出するのは、高梁川流域だそうなので、今回の舞台、T市は高梁市で確定か?
・お弁当で謎を解く名探偵、こんな安っぽい動機の謎解き、中々みまへんで!!
・夢水清志郎が言及している「群盲象を撫でる」の逸話。そういえばこれって何が元ネタなんだろう?昔の絵を見たことあるんだよなと思って調べると、もともとはインドの逸話だそうです。
・今作では、鵺は、一代限りの突然変異、つまり放射線の影響で生まれた奇形ではないかという説を取っているようです。鵺自体、「よくわからない」生き物ですしね。
・そう、つまり放射線を放つ鉱石が原因だったんだよ!!っていう流れ、創作界隈において、放射線はやたらと便利な使われ方をします。怪獣だってでっかくなるのだ。ルパンにも放射線を放つ鉱石ネタが出てきたの思い出しますね。(あと、犯人は隕石だったんだよ!ネタもルパンでやってましたっけ)
□総評
そういえば、今作は修学旅行の栞がついているとのこと。今回電子版で読んだので解らなかったのですが、これ確か本当に小さな冊子が別についていたような記憶も……、前作の袋とじといい、図書館泣かせな仕様です。
今回気がついたんですが、はやみね先生、昭和のネタが結構多いです。(執筆当時はもう21世紀なのに!)「時代に合わせて常に最新の情報をリサーチ!」というスタイルでいく作家もあるとは思うんですが「どうせ、数年で古くなるし、子どもにわからないネタでも親に聞いたり自分で調べたりしてくれるだろ」と考えて、あえて自分の好きなネタを仕込むのもありだと思うんですね。
少なくとも子供の頃の私は、わからないネタが出てきても楽しく読んでました。
さて、はやみね先生はもともと教職との二足のわらじだったこともあり、学校を舞台にすると、やっぱり気合が違う感じがします。
今作は様々な変人が出てきて、ドタバタを繰り広げますが、先生方もとやかく言わないのは「生徒の自主性に任せたい」ってことで、これ、きっとはやみね先生が思ってたことそのままなんでしょうね。
あと、何気に自分がいいなと思ったのが「家族のこと嫌いでもいいんだ」って所ですね。「悪い子でもいいんだ」って考えてそれで、ふっと力が抜ける感じ。児童文学でやったからとても意味のあることだと思うんです。
最後の展開は「名探偵ってのは、難事件を皆が幸せになれるように解決する人のことです」という言葉がこれ以上ないぐらいぴったりハマっています。
さて、修学旅行編はいかがだったでしょうか? 次回をお楽しみに!
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