徳利長屋の怪―名探偵夢水清志郎事件ノート外伝―
刊行日:1999年11月15日
さて、江戸に出てきた夢水清志郎が事件を解決し始めたと思ったら、良いところで終了した上巻に続いて、今回は下巻のご紹介です。
刊行日的にはわずか数ヶ月。上下巻を連続で刊行したんですね。
さて、実際に読んでいきましょう!
□拾われている作品
今回はとくになし
□小ネタ
・冒頭、
・怪盗九印、女王のくいーんじゃなくて、5の方のくいんなんですね。クインテット(五人組)とかの方。ただ、怪盗クイーンの方は明らかにこの人の子孫っぽいんですよね……。
・それはそうと、ルパンの先祖という方にも持っていくんですね。
・大工の二人が仕事をしに行く長谷川勘兵衛なる人物ですが、歌舞伎の大道具で非常に有名な人(襲名制なので現代でもいる)だそうです。
・
・
・柴、亜朱も意味のある名前かと思ったんですがうーむ……。(知っている方いたら教えて下さい)
・『三味線を持った渡り鳥』、これは『ギターを持った渡り鳥』という映画のパロディと思われます。といっても私はタイトルを知っているだけで実際に見たことがないのでどの程度パロられているかはわかりませんが……。
・「同じ天真流でも、闇のほうだ。」このセリフ、人生に一回は書いてみたいですよね。「いいや、闇の方だ」とか言ってみてー!
・今回の話で重要になるのが「江戸城を消す」というトリック。ミステリはミステリですが、探偵ものというよりは奇術側かも。
・江戸城御庭番衆、時代劇だとお馴染みの忍者軍団ですが、作品執筆当時は時代劇も下火だったので小学生に伝わるかどうか?
・「よく黒眼鏡をしていて歩けますね」「闇は、ぼくの友達ですから」のセリフ、ポロッと出てきたにしては異様にハマってます。前からこういうネタで使うつもりでした?
・初めからないのであれば消すのは簡単。シリーズを通じて何度も出てくるネタです。
・最後の一文はシリーズ第一作の冒頭のセリフですね。
・あとがきでは次回は修学旅行編だ!!と言っているものの、実際は……違ったような記憶が……。(うろ覚え)
□総評
幕末……という時代に対して私達は何を思うのか。
新しい時代の幕開け、封建制から自由主義へ。近代の始まり、サムライの時代が終わり、農業国から列強へとひた走る時代の始まり……。日本における明治維新というものは、一種の神話として様々な媒体で語られます。アメリカの建国神話のように。
番外編となるこの前後篇で、はやみね先生はこの時代を舞台にしました。
再読する前のわたしは、ただ単に先生が好きな時代劇パロをやってみたかっただけだと思ってたのですが、読み直して驚いたのが、時代劇ならではのテーマ設定です。
全体を通して
「変わりゆく時代の中でも、未来に希望を持って世の中を少しずつ変えていってほしい」
というメッセージが非常に強く出ているんですね。
夢水清志郎事件ノートは児童文学です。だからこそ、子供に向けたメッセージをしっかりと組み込んだのだろうな……と感じて、「なるほど、だからこの時代が舞台なのか」とすんなり受け入れることが出来ました。
ということで、前編後編と続いてきた番外編もこれで終わりです。さて、次の話に参りましょう!
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