第4話 使者

 三成との話を終え、聚楽第に向かう準備を左近は始めた。明日の早朝に立っても数日はかかるだろう。前田殿に会えば聚楽第へ入る事は出来るが問題はそこを見張っている者達だ。徳川の忍が見張っているだろう。今回の件はを徳川に利用されるのは避けたい。結果次第では豊臣家の信頼を落とす事になる。厳しくし、豊臣家の天下の安泰を図るのは分かるがやり方次第では信頼を失う事になる。主君の性格を考えれば厳しく対応する事になれば情を感じさせない冷酷な人間のように見られようが確実に遂行するだろう。本来なら秀吉が買うはずであった怒りや憎しみを一身に背負いながら・・・。ただでさえ他の子飼いの将らと仲が悪いのにこれ以上他のものから反感を買う必要はない。北政所様のご意向を反映する形のほうが主にとってはいい。秀吉の意向に反するが、自分にとって大事なのは三成なのだから。



 左近は数日かけてようやく京の聚楽第に着いた。聚楽第を囲っている前田玄以に会い中に入らねばいけいが、対面した前田玄以は自分の顔を見るなり処遇が決定したのかという視線を向けてきた。

「お忙しいところ申し訳ありません。我が主の命により駒姫様にお伝えする事がございますゆえ、この島左近を聚楽第に入れて頂けないでしょうか」

駒姫の件とわかるとほっとしたような表紙を浮かべていた。

「島殿、駒姫の件とは。では姫は太閤様より許されたのだな」

前田玄以にとっても駒姫の扱いは困っていたのだろう。いなくなってくれるのは有難い、いらぬ後ろめたさを感じずにすむと思ったのかもしれない。

「そうではありません。ですが、姫にとって悪い話でないと」

自分の主が動いているということはおおよその扱いが決まったと思われたの聚楽第入城を許された・


 侍女に案内される際に左近は駒姫と会う際には一の台様も同席して欲しい旨を伝えた。ここの主である彼女に話を通すのは筋であると言えば少しほっとしたような表情頷いた。こちらが関白の正室を立てている姿勢を少しはやりやすくなるだろう。

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