第3話 相談
三成は自分の屋敷に帰ってからも聚楽第の事を考えていた。北政所の気持ちは分かる。せめて幼い子らを助けたいと願っている事、一の台らに責めが及ばないように動いて欲しいと思っている事も。
自分は太閤 秀吉の家臣である。秀吉の意図を汲んで動き豊臣家の天下を守る為に動かなければいけない。今回の件はお拾様の為に起きた事。秀吉が亡くなり、秀次がお拾様に関白の座を譲らず自身の息子に譲る可能性があったからこと秀吉が疑い、秀次が反発した態度を取った為2人の中が拗れたのだ。男児は助けられない。正室や側室の中でも子供を生んだもの達は厳しく挑まなければいけない。その自分の考えを理解しているからこそ北政所は自分に聚楽第へ行くように命じたのだ。
控えている小姓に命じて左近を呼んだ。こういう時は左近に相談するのがいい。自分に足りない視点で物事を見て忠告してくれる。
「殿、お呼びでしょうか」
島左近がしばらくすると来た。
「来たか。聚楽第の件で相談したい」
左近に秀吉の考えや北政所と話した事を伝え意見を求めた。
「なかなかやっかいですね。豊臣家の事を考えるとやはり男児は・・・。正室や側室、女児は尼寺に送るべきでしょう。そして監視を厳しくすると太閤様にお伝えするのがよいかと。流罪は流石に厳しすぎです」
秀吉が厳しくするのを望んでいる。おそらく皆流罪になるのを望んでいる。北政所は流罪は避けたいと思っている以上、出家させ監視し続けるといって秀吉を説得させるしかないだろう。
「駒姫は関白様にお会いしていないのであれば正式な側室ではないので早期に最上へ返すできでしょう。あまり長くいると立場が危うくなります」
駒姫の件は早急に動くように左近が告げた。
「駒姫は出来るだけ早く返したいと思っているが、立場が悪くなるとはどうい事だ」
三成は疑問に思った為、左近に告げた。
「殿、最上は豊臣と徳川を上手く渡り歩いております。これを機に良く思わぬ者が何か仕掛けるかもしれません」
火種になる前に駒姫の件を片付けるべきだと。
「左近、聚楽第へ行ってくれ。急で申し訳ないが、某が訪ねたいと言っていると。そして最上に行き駒姫の現状を伝えよ。ただし、北政所様の件は伏せよ」
左近は一礼するとすぐに出て行った。あの男なら聚楽第を監視している前田玄以を上手く言いくるめ一の台に会うだろう。あちらも断る事はしないはずだ。嫌だと思っていても自分に会うしか現状をしる機会がないのだから・・・・。
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