お笑い芸人ランキング Aランク編 東野幸治

東野幸治 Aランク


ボケ 75 Bランク

ツッコミ 87 Aランク

トーク 92 Sランク

コント 85 Aランク

ひな壇 95 Sランク

キカイノココロ 100 Sランク+

深遠なる闇 100 Sランク+


【解説】

という訳で、久しぶりの芸人ランキング、今田耕司と共に、時に『Wコウジ』とも称される芸人、東野幸治の解説である。


Aランク芸人の格としては、先に関根や板尾などを優先すべきなのだが、今田とのWコウジの流れから、今田の後の方が自然な流れかと判断し、今回の解説となった。


前回からあまりに日が開きすぎたため、筆者も読者の方も採点の基準を完全に忘れていることが予想されるため、ここで今田の採点を今一度振り返っておきたいと思う。


今田耕司 Aランク


ボケ 88 Aランク

ツッコミ 86 Aランク

トーク 94 Sランク

漫才 80 Aランク

コント 90 Sランク

器用 100 Sランク+

お笑い界のスネオ 100 Sランク+


……なるほど。


よし!!今田のランクが身体中に染み渡るみてぇだ!!


Sランク+なみに以前の俺を取り戻したゼ!!


みんな!!Bランクぶりにランク野郎が帰ってきましたよ!!


こんなに待たせて悪いお人だねぇ、ヨっ!!この千両役者!!


……。


……。


……。


……東野の芸風を一言で表すのは難しいが、今田と共に笑いに関するほぼ全ての能力が高い次元にある、非常に安定感のあるオールマイティーな芸人だと言えるだろう。


唯一、漫才に関してはあまり経験がないようだが、東野ほどのスペックであれば、本腰を入れて取り組めば相当に高いレベルまで行けるはずだ(S型の芸人であるため、適性はツッコミ)。


だが、東野はネタ作りに関してあまりやる気があるようには見えないため(勿論、お笑いを天職とは感じているのだろうが、お笑いを心から愛しているというより、儲かるから仕方なくやっているようにも見える。事実、若手時代は吉本新喜劇行きを命じられたことを苦にして、一度は植木屋への転職を考えている。この事実から分かる通り、東野は当時新喜劇の笑いを小馬鹿にしていたと思われる。結局東野が植木屋になることはなかったが、植木屋さんも木が全部チリチリにならなくて済んだと、胸を撫で下ろしていることだろう)、東野が漫才に本腰を入れることは永久になさそうだ。


ちなみに、あの『探偵ガリレオ』や『白夜行』などで有名な作家東野圭吾は、東野の父方の親戚である。


ある意味芸人以上に浮き沈みの激しい作家稼業、圭吾が作家を目指すと宣言した際には、幸治を含めた親戚一同で親族会議が行われたらしい。


幸治は圭吾の作家としての才能を高く評価していたらしく、既に芸人となっていた幸治の説得もあり、圭吾は作家になることを許されたそうだ。


そこでの幸治の必死の説得がなければ、圭吾の多くの名作が生まれることもなかったはずであり、圭吾は幸治に感謝していると聞く。


そんな縁もあり、今も芸人と作家、形は違えど、両者は円満な関係を続けているらしい。


まぁ、嘘なのだが。


……。


……。


……。


……さて、気を取り直して能力の採点についてだが、ボケは75のBランク。


以前、とんねるず石橋のランキングで付けた、ボケ76点を参考にさせて頂いた(頂いたも何も自分が勝手に付けたのだが)。


ツッコミタイプの石橋より下というのは意外に思われる向きもあるかもしれないが、時に自ら危険を冒してボケることもある石橋の男気に対して、東野はスベる危険を冒してまで自らボケることはなく、完全に冷めたスタンスの芸人であることから、今回の評価に落ち着いた。


東野は今田のように、自ら率先してボケもこなしていくタイプではないため、どちらかというとトーク、ツッコミ先行型の芸人と言えるだろう。


ダウンタウンや紳助などの先輩からイジられることで、その持ち味が滲み出てくる種類のボケと言える。


このあたりの採点は本当に微妙で、筆者も毎回頭を抱えており、風が吹けば評価が逆転するほど繊細なものなので、それはちょっと違うんじゃないかと思われる方も、どうか生暖かい目で見守って頂ければと思う。


ツッコミは87のAランク。


東野は正統派のツッコミも器用にこなすのだが、その本領が最も発揮されるのは、主に『旅猿』や『本能Z』で見られるような、自分より弱い立場の者に対するイジリツッコミだろう。


SかMかで言うと、東野は間違いなくSタイプの芸人であり、イジメとイジリのギリギリの線を狙うようなツッコミ(というか難癖)をさせれば、全芸人でもかなり上位の力を有していると言える。


以前解説した芸人のSとMの相性で言えば、Mタイプの今田とは正にうってつけのコンビであり、テレビで二人セットの姿を見る機会が多いのも、納得の結果と言えるだろう。


ツッコミの力は今田とほぼほぼ同等なのだが、本質的に東野の方がツッコミに向いているのと、今田より上の陰湿的なイジリの力を評価して、点を一点高く付けさせて頂いた。


トークは安定のSランク。


司会業や先輩芸人のサポート役など、どこでもマルチに、しかし確実に爪痕を残すその卓越したトーク力は、十二分にSランクに相応しいものである。


特に、紳助失脚後の穴を今田と共に見事に埋めたトーク力は、世間的には大した評価を受けていないが(コラ)、業界的にはWコウジの力を再認識させる結果となり、今の両者の安定した仕事量に繋がっていると言えるだろう。


点数自体は今田との比較で92となったが、どんなコンセプトの番組でも器用にこなせるだけの、非常に安定したトーク力がある。


コントはその今田より若干下のAランク。


東野の代表作に、ごっつの『辻武司(つじたけし)』がある。


「俺や、辻武司や」のフレーズでお馴染みの、ごっつの名作コントだが、あのキャラは板尾でも今田でも成立しない、正に東野の空気感だからこそ成立した奇跡的なキャラだと言える。


本ブログに目を通されるような、筋金入りのお笑い通の方には言わずもがなだが、一応コントの内容を解説しておくと、辻武司という地方のマイナープロレスラーが、試合中に小馬鹿にするような感じで観ていた客に腹を立て、試合後に客の家に来て怒りをぶちまけるという、今考えてもよくそんなコント思いついたなという、松本の全盛期に作られた本当に凄いコントである。


通常このようなシチュエーションを笑いにしようなどと思う者は存在せず、そこに目を付ける時点で松本の極めて優れた天才性が伺えるのだが、今回は東野の解説であるため深くは言及しない。


東野は実はかなりの緊張しいであり、ドラマなどの役柄に入ると、ガチガチになってセリフもほとんど棒読みのような感じになってしまうらしい。


そういう意味では東野は、いわゆる憑依型の芸人ではなく、コントには向いていないと言えるため、評価は厳しめになったが、その棒読みのような空気感と、東野の非常に冷めたドライな感じが、奇跡的なレベルで作用しているのがこの辻武司というコントであり、その分を5点加味して評価は85となった。


何故東野でなければ成立しないキャラなのか、かなり感覚的な話になるため、はっきりした説明はおそらく制作した松本や東野本人にすら不可能だと思われるが、筆者にただ一つだけ断言できることは、東野の顔、声、背格好、空気感でなければ、それは辻武司ではないということだ。


ひな壇の実力は95のSランク。


本ランキングに初めて登場したひな壇のランクだが、『ひな壇芸人のお手本』とも呼ばれる東野のランクは、当然Sランクに相応しい極めて高いレベルにある。


前回の今田も元ひな壇芸人として、東野と同等の力を有しているが、その部分は器用のSランク+に含まれているとお考え頂ければと思う。


今後はこの東野の95を基準に、ひな壇芸人はその実力をランク付けされることとなるだろう。


最近では司会業が多く、ひな壇に座ることも少なくなってきた東野だが、まだまだ後輩の番組にゲスト出演してもらって、そのひな壇の実力が健在であることを見せつけてほしい。


最後の『キカイノココロ』『深遠なる闇』最高評価だが、以前トーク力Sランク+の陰のトーク王島田紳助は、行列で東野の本質をズバリ的確に言い当てていた。


『東野には感情がない』


先程のボケやコントの解説にも通じる部分があるのだが、東野はとにかく冷たくドライであり、感情の起伏が少ない(ように見える)。


まるで感情を司る大切なスイッチが壊れているかのようであり、徳永英明の歌ではないが、何も聞こえない、何も感じない、鋼鉄のキカイノココロからは何も生まれず、無表情、無感情、無感動、およそ人間に与えられた全ての感情が死滅しているかのように思えるのである(言いすぎ)。


銀河鉄道999で鉄郎が機械の身体を求めたのとは逆に、東野には何か人として大切な部分が欠落しているとしか思えない(言いすぎ)。


ある意味ではそれこそが東野の代えがたい『個性』『芸風』であり、東野の最大の強みとなっていることは確かだろう(ヤな強みだな)。


すべらない話で披露した、ペットの亀を土に埋めた話からも伺える通り、東野はその心の奥底に深遠なる闇を抱えている。


芸人になっていなければ、一体どんなモンスターに変貌していたかわからない。


ひょっとすると家族にも理解できないかもしれないような、何か非常に屈折した、とてつもない狂気、内に秘めた暗黒を感じるのである(言いすぎ)。


もし遊戯王で東野のカードが出たら、確実に闇属性であることは間違いない。


東野のキカイノココロ、そして深遠なる闇が生み出す笑いとは、一体どういうものなのか?


そこに思いを馳せた時、筆者にはある一つの答えが見えた気がした。


前述の『辻武司』のキャラが、何故東野でしか成立しえなかったのか。


それは、ごっつのメンバーで唯一東野だけが、深遠なる闇を孕んだ、キカイノココロを持っていたからなのかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る