間章「小認と幼求」
※完全に余談なので、ワナビに関係ない部分は読みたくねぇ! って人はスルーしてくれ。
幼少期の僕は、常に姉と比較される存在だった。
運動も出来て芸術にも明るく頭の回転も早い姉を、両親はとても大事にしていた。一方僕はこれといって優れたところもなく、両親はそんな僕を無視していた。
子供の頃から僕はずっと、愛情に飢えていた。誰かに認めてほしくて、見ていて欲しかった。だから普通じゃダメだ。特別な人間にならなきゃダメだ。そうでないと誰も僕を愛してくれないから……という意識ばかりが先行していた。
幼少期の僕はハッキリ言って道化だ。
親に少しでも認めてほしく、喜んでほしくて、一人で朝起きて、掃除して、洗濯して、料理をつくって、誰もいない家で待ち続けて……。我儘を言わず迷惑をかけず、そればかりを考えていた。
優秀な姉から馬鹿にされ、暴力をふるわれても、それが自分の存在理由であるならば文句も言わなかった。
学校でも、自分から率先して馬鹿なフリをして笑いを取った。
みんなが笑っていてくれるうちは、自分もここに居ていいんだって思えた。
でも、どんなに僕が尽くしても、それが報われることはなかった。
僕が誰かに好かれようとしても、誰かを好きになっても、相手は僕のことを好きにならない。
なぜなら僕が特別な人間じゃないから。
ホントは、特別じゃなくても君はここに居てもいいんだよって言って欲しかった。
ただ生きているだけで存在を否定されるのが嫌だった。
でも特別じゃない僕には何の価値もない。
価値がないものを、人は愛さない。
だから、
『小説面白かったです! キョウトさんならきっと小説家になれますよ!』
この一文を見た時。
こんな僕でも特別になれるのか? 特別な何かがあるのか? って嬉しかったんだ。
もしも小説を書くことで僕が認められるならば、それだけが僕の存在理由だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます