第3話 世界

《魔導適性について》


D級魔導適性:日常生活の多少の利便性がある程度の適性。


C〜B級魔導適性:魔道士の適性あり。


A級魔導適性:魔道士の適性おおいにあり、魔導騎士団入団試験の免除。


S級魔導適性:至急、魔導騎士団への入団モトム。


E級魔導適性:魔力の反応、皆無。


《魔道士の階級について》


C級魔道士:通信術式による、補助魔道士の適性を認める。また、C級以下の悪魔退治に派遣。


B級魔道士:一個小隊、大隊の指揮官の資格あり。B級〜A級の悪魔退治に団員を率いて派遣。


A級魔道士:一個師団の指揮官の資格あり。B〜A級の悪魔退治に派遣。


S級魔道士:町や村におこった災害級の事案に対する派遣、または隠密の資格あり。



「……と、まぁそんな感じ。『治安維持組織S』が公表してる情報。」


「B級魔導適性ってすごいんすか?じつは」タロウマルくんは嬉しそうにシグロにきく。


「まぁ、頑張ればA級魔導師にはなれる程度の適性かもね。それは君の頑張り次第」


「へ〜、S級にはなれないんすか?」


「S級からは魔導適性がほぼ9割を握る。才能の世界、A級までは小手先の技術と経験、練習量とかで十分なれる。」



「シグロさん、なんでそんな詳しいんすか」



「いちおう、魔道士の端くれだからね。」



彼女はあれから毎日この『フラワーズノウ』に通っている。世界の色んな所に行き、その地の植物を調べる、どうやら植物学者らしい。


「フロアーさん、コーヒーおかわりもらえる?」


「はーい」


 ミルクを注ぎ、自慢のコーヒーをアンティークカップに注ぐ。薫りはよい、とても。


「シグロさんは、『S』にははいらないんすか?」タロウマルくんは不思議そうにきいた。

 魔導騎士団の元団員(?)に、KOをきめられる強さ…


「そういう時代もあったかもねー」なんて、はぐらかすと、シグロはコーヒーを口に運んだ。


 両目の黒い女、黒と白のツートンヘヤーカラー。なんだかどこかで聞いたことがあるような。わたしはうーんとうなると、頭の中の引き出しを開けしめし、昔の記憶をさぐる。


「その目、見えるんすか?」

たしかに。


「見えるよ、全部黒いからって見えないわけじゃない。むしろ君たちよりも見える。」 


「ふしぎっすね〜」

タロウマルくんは食器を拭きながら、じっとシグロの瞳を見た。


「君たちから見て左が黒視眼、右が黒眼。黒視眼はある人から貰ったものだ、黒眼は生まれつき」


「聞いたことないっす」


 タロウマルは不思議そうにシグロの瞳をじっと観察する。


 コーヒーの薫りが漂う。午後の風は暖かく、花がなびく。出会ったことのない、不思議な人だ。


 黒く漂う魔法の粒子が彼女を覆っている。常時、魔法で自分の体に守護魔法シールドをはっているようだ。

 何かから自分を守るためなのだろうか?

 それにしても、いつも守護魔法シールドを纏えるだけの魔力放出量…内に秘める魔力は想像できない。


「なんで、シールド魔法なんか使ってるんですか?」


私は彼女に尋ねる。すると、少し驚いた様子で「君は分かるのか…」と言った。


「子供の頃から、魔力の粒子が鮮明に見えるんです。私の特性魔法オリジンです。」


「珍しい特性だな、これは癖だよ。いつ狙われるか、わかんないだろ?」


「ねっ、狙われてるんすか!?」ぞっと、驚き、タロウマルくんはあたりをきょろきょろと見渡す。

「実は、常連のリビィールさんがスパイ…とか、裏町のマイクとバイクが実は裏で活動してる諜報員なんて、聞いたことも…」


「だれだよそれ!どこできくの!?そんな情報!?」


「裏町のゴリラくんっす」


「だれ!?そいつ怪しいだろ!」



「魔導師だった頃の癖だね。でも、あんまし必要はないけど、安心して、一応ってだけ。半径約1kmの事は鳥の目を借りるように認知できる。どのくらいの魔導適性、あるいは魔導師のランクを持ったものがどこにいるのか。黒視眼と黒眼の能力だよ。だから、狙ってきた奴らがいたら、君たちに迷惑はかけない」


そんな自分の特性のことや手の内を、軽々と人に話していいのだろうか。


「へー、便利っすね。どうやって手に入れるんすか?それ」


「ハハハッ、欲しいのか?やめたほうがいいよ、生まれつき黒眼じゃなければ、常に力を維持するために数々の犠牲とリスクを負う。黒視眼は特別で、ほぼ手に入らない。これは人から貰った瞳なんだよ。」


「人から…目を?」


「うん…。大切な人からね」









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最強魔道士と、旅をする。 @Kawa_haru

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