第2話 幾つになっても厨二心は擽られる

「俺は冒険者をサポートするギルド職員になりたいんです」


そう言うと神様はなんかめちゃくちゃ鋭い目で見てきた

え??ダメなん???

「ほう?何故だ」

「ただの一般人から冒険者になる度胸も勇気もないですけど、憧れというロマンを捨てられないから…ですかね」

「ほぉ、ロマンか。

男たるもの、ロマンを追わずには入れんからのう…

よぅし、気に入った!ちょっぴり転生特典に色を付けてやろう!」

「え?いいの?怒られないの??」


誰か贔屓とか神様的には良くないんじゃ…

と思ったがそんなの関係ないと言うように神様はハッハッハと口を大きく開けて笑った


「神とはそんなもんじゃよ

お気に入りは贔屓したいもの。

ほぉら、よく聞くじゃろうて、早死は神に気に入られ連れていかれた者と」

「それガチなんですか?!」


そんな今どき昔話で聞くような例えがマジモンだったと聞かされあんぐりと口を開いてしまう


「皆がそうではないがな、

ほとんどがぬしのような事故だったりするが

やん、やんでる…?やんでれ?じゃったか?そういう気質のものはさっさと連れ帰って閉じ込めてしまうそうじゃよ」

「神様こえぇ…」

「ま、そういう者は大体が自らの領域に引きこもっておるからそうそう出会わないだろうさて」

「はぁーやっぱ領域とかあるんですねぇ

神っぽい」

「神様じゃからな

さて、世間話はここいらでやめにして

転生特典などを決めようかのう」


あ、そうだ。スキルとか決めんのかな

チート能力とか貰えるって言ってたよなぁなんてグダグダ考えているとブォンと音がなり目の前で青いディスプレイ…ゲームやアニメなどで見るステータス画面のようなものが浮かび上がる


「えっ!!!めっちゃテンション上がる!!!

なんっすかこれ!!やべぇ憧れのステータス画面…」

「そうじゃろうそうじゃろう…

わしも開発部から聞いた時はテンション爆アゲでのう、これぞ男のロマン…いや、オタクのロマンが詰まっておる…」

「まさかの神様もいける口ですか」

「孫がのぅ、同人誌を作っているからたまに手伝わされるんじゃよ」

「お孫さん何者…

おじいちゃんに手伝わせるなんてメンタル強すぎでは…??」


ほんとにそのメンタル人間か…?

あ、違う神か、孫っていってるし…いやでもそれでもメンタルつよ…


「あぁ、また話が逸れた

戦わないのなら、まぁ平均のステータスに設定するがどうするかの?」

「あー…一応護身用で戦う戦わないの前に身を守れるぐらいの身体能力は欲しいんですが…

何も出来ず死ぬのはさすがに男としてかっこ悪いじゃないですか」

「ふむ…それもそうじゃな…

まぁ、向こうの世界の…ギルドランクBぐらいの強さに設定しておこう

それと、このステータスは最低はこの位という目安じゃから、鍛えれば強くなるからな」


へぇ…鍛える鍛えないにしても普通に動ける練習はしとかないとだよなぁとか思いながらスキル画面を覗いているとお目当ての物が見つかった


「神様!チート能力ってスキルを普通より強くするとかに使えたりします?」

「うん?まぁ、出来なくは無いが…

そのスキルとはなんじゃ?」

「鑑定スキルなんですけど…」


そう言って説明欄を展開して画面を見せると神様はなぜだかうんうんと唸り出していた


「確かおぬしの転生先は鑑定持ちがあまりおらんくてな、レアリティの高いスキルゆえ、チート無しでも普通に強かったはずじゃ。

見ようと思えば他人のステータスなんて丸裸じゃよ」

「思ってたよりも強かった…

辞書みたいな感じで使いたかったんですけど…」

「それなら…ほら、このアカシックレコードはどうじゃ?大体の知識はあそこに詰まっておる」


ずいっと差し出された画面の説明欄を読んでみるがあんまりしっくりとこない


「説明欄に書いてあるんですけどデメリットにめちゃくちゃ疲れやすいってあるじゃないですか

知りたい時に知れるみたいな気楽な感じで使いたかったんですけど…」


それに鑑定チートって普通に生きていく中でかなり使えそうだし、なろうでも鑑定チート系の話あったしなぁ


「うぅむ…ならば、統合させるか?

鑑定にアカシックレコードを付属させれば行けそうだと思うんじゃが…」

「お!出来るんですか!!

いや…それデメリットって…」

「あくまで付属という形じゃから、完全にはアカシックレコードの機能を使えはしない。が、鑑定に関してはあんまり変わらぬからデメリットという程のものはないじゃろう」

「なるほど…じゃあ俺のチート能力はそれでお願いします!」

「ほうかほうか、ではちょいと作業するから他に幾つかスキルを選んでおきなさいな」


目的は達成出来たし、他にもスキル選べるみたいだから見てみるか…


「うーん…生活魔法もあるのか…

魔法は取るとして…剣術…うぅーん物理攻撃か。

護身用として必要…?あ、ナイフもあんのか…」

「おや?何に悩んでるのじゃ?」

「お、わっ!え、もう終わったんですか?!」

「いんや、片手間でも出来るのでな。

それで、どうしたのじゃ?」

「あー、剣術とるか、暗器?とか取るか迷っていて…」

「ほうほう、ふむふむ。

魔法と?錬金術?は取るのじゃな?」

「魔法は生活魔法があるらしいですし、錬金術は回復薬が作れるって書いてあるのでもしクビになっても手に職はつくかなと」

「まだ転生してすらないのにクビの心配か?

心配性じゃのぅ」

「まぁ、日本人は保身に走るんで…」

「それで?剣術か暗器?」

「んーまぁ、説明読んで想像つきやすいスキルがその2つかなって」

「どちらも取れば良いのでは?」

「戦う気ないのにスキル枠を戦闘で埋めるのは…ちょっと…」

「ステータスでも言ったが、使い、経験せねば強くならぬ、使わなければ使わないで転生した時にでも別のスキルと入れ替えれば良い」

「え、入れ替えとか出来るんですか?」

「おや?そこの解説機能に乗っ取らんのか?」


そう言い神様がはてなマークを押すと転生先のステータスやスキルのルールなどが書かれた一覧が出てきた

うわ、言われないと絶対見落としてたよこれ…


「気付いて無かったです…」

「あれま、なら読んでおくといいと思うぞ」

「はぁい、じゃあ入れ替えも出来るなら両方取っておきます。」

「うむうむ、それが良かろう」

「んじゃこれで完成って事で!」

「ん?!キャラクリとかせんでいいのか?!」

「キャラクリ?いや別に…

あー見れないほどの容姿なら困りますけど、特に希望は無いですけど…」


何故か凄い狼狽えらる。

キャラクリした方がいいの…?ランダムはオススメ出来ないとか…??

転生先の一般的な容姿分からないし親と似てなくて余計な火種にはなりたくないしなぁ…


「いやぁ、他の子らはキャラクリに力を入れるからのぅ…

しかし、せんのか…うぅむ…ならばおぬしの幸運値を少し上げるか…」

「幸運値?そんな項目あるんですか?

てか、俺まだステータス見てないや…」

「幸運値は、えぇと、俗に言う隠しステータスって奴じゃよ

目に見えて、いじる事の出来るステータスは

攻撃力、防御力、生存力、俊敏力、魔力

この5つでな。

幸運値は普通は上下出来ないのだが、キャラクリをしないで誰にも似ず悲惨な事にならない為の救済処置とわしのお気に入りへの贔屓じゃな」

「贔屓って言ったよこの神様!!」

「まぁ、救済処置は建前なんじゃけど」


完全に贔屓って言った!!!

いやでも貰えるなら有難く貰っとこう…うん…


「さてまぁ、スキルも完成したぞ

もう鑑定の枠組みには入らないし、名前は…うむ元始の観察とかどうじゃろう?」

「めちゃくちゃかっこいい感じっすね??」

「じゃろ??厨二心擽られてしまってのう…」

「これは擽られる…なんか漆黒とか見たいな感じじゃなくてシンプルでかっこいい…

神様天才っすね」

「じゃろ?わし天才!

あぁ、そうだ。あとは転生後の名前決めるだけなんじゃが…」


そうだわ。転生すんだよ俺

めちゃくちゃかっこいい名前で盛り上がってる場合じゃ無かったわ…

名前…名前なぁ…

あっ


「ギル・ロール…?」

「ほう?ギル・ロールで良いのか?」

「んぇ、あーギルドからギル、ロールは役職、ギルド職員だからって感じで…

俺ネーミングセンス無いし、安直過ぎますかね?」

「ふむ、いいんじゃないだろうか?

安直ではなく、それこそシンプルでわしは良いと思うぞ」

「んじゃ、それで」

「あいわかった。

…これで設定終わったら直ぐに転生じゃが大丈夫かの?」


そう聞いてくる神様に俺は深く頷いた

いよいよファンタジーの世界か…

心配事は沢山あるが、それよりも夢にみた世界…ワクワクが止まらない!


「それでは、良い人生を。

ギル・ロール」

「ありがとうございました。

神様も、良い日々を」



目の前が眩しくなり目を閉じる


暖かな暗闇でどこかから音が聞こえる


引っ張られ、光に包まれ産声が上がる






さぁさぁ皆様これより始まるは

世界を戻した男、ギル・ロールの物語

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