第1話 神様はシルバー派遣

拝見、父さん母さん

俺、高梨巡は、何故か目を覚ますとそこは真っ白な…

なんてことは無く、誰もいない会議室のような場所で目を覚ました


「…は?????

転生あるあるの謎の白い空間じゃなく何故会議室(仮)???????

てかここ何処だ????」


そう、なろう小説だと真っ白な不思議空間で神に会い、チート能力を貰い新たな人生の1歩をあゆみ始める場面だっただろう。

しかし、会議室(仮)と言っても見知らぬ場所で何故か面接するかのように俺は椅子に座っていた。

と言うか、俺は本当に転生したのか?

死んだ記憶がまずない…最後の記憶はベッドに横になり布団に潜り込んで…


「いやでもマジで何故??

死んでなくてもそれはそれでさらに謎が深まるんだが…」


そうこうしているとガチャりと会議室(仮)の扉が開いた

てかやっぱここ会議室だよな???


「はいはい、遅れてすまんのぉ…」

「え、そこはガチめに神様っぽいのかよ!」


現れたのは日本人が大体イメージするような髭を生やし、白い服を着たおじいちゃん系の多分神様?が何故か辞書片手に立っていた


「お?よくわしが神様と見抜いたのぅ

飴ちゃんやろう」

「あ、どうも…よく見る市販の黒飴だ…!!」


しかも田舎の爺ちゃん婆ちゃん達がくれるなんか異様に美味い黒飴…素直に頂いておこう…ウマっ


「えーと?高梨巡さん?じゃな?

とりあえず死因の確認なんじゃが…

寝返りを打ってベッドから落ち、頭のうちどころが悪くて死亡…

あら〜これは痛そうな…

大丈夫かの?変に頭痛いとかあったら医神部門に連れていくから何時でも言いなさいな」

「うっわやっぱ俺死んでたし死因ダサい!!ベッドから落ちてとか恥ずかし…

てかやっぱなんか頭痛いのそう言う事か…?!」


これでさ、だったなんか体調崩して死んだとかならさ、まだ仕方ないて終われたけど…

布団から落ちて頭打ってとか…クッソ恥ずかしい死因じゃん…


「やはり医務室に行くか…?」

「いや…ダイジョーブ…デス…」

「そうか…?

話は戻すがわしが神と気がついた察しのいいお主ならわかると思うが、今回の件については運命力を司る部署でのミスじゃ

申し訳ない」

「あ、いやそれは別に…いや別にじゃねぇけど…??

もうどうしようもないので…ハイ…」


まぁ、過ぎてしまった事は仕方ないし…うん…

いやでもめちゃくちゃ死因ダサい…


「ん?頭を抱えてどうした?

やはりどこかまだ痛むのか…?」

「アー…いやあの大丈夫デス…

話を続けてクダサイ…」

「そうか…あまり無理はするんじゃないぞ?

死んだと聞いて体調を崩してしまう子も居るからのぅ…

あぁ、えーっとマニュアルは何処じゃったか…

あ、あったあった」

「え、なんか辞書みたいな本持ってるって思ったらそれマニュアルなの?!」

「そうじゃぞ〜

わし、シルバー人材からの派遣なんじゃよね」

「え?神なのに??」

「神にも色々あるんじゃよ

わしの前の受付の人、何でも今故障…?かなんかで入院してるとな、わしが派遣されたんじゃよ」

「それ、人間…?え?いや神…人型…???」

「神も昔はだいたい人間じゃったりすんじゃぞー」


なんか神様界が結構俗世で驚く。

こっちにもシルバー派遣みたいなのあるんだ…

もっと神秘的なイメージが…


「で、話を戻すんじゃが」

「ア、ハイ」

「高梨さんには、えーっとほら、現世で流行っとるなろ系?なる?なろう?みたいなチート能力を選んでもらったり、ステータスを決めて貰うんじゃが…」

「え、アッ、なろうです。なろう系。

まさかのなろうの名前を聞くとは…

あ、てかチート能力貰えるんですね?」

「あーそうそう

今若い子の間で転生系の神に対しての考察やらなんやらが流行ってるらしくてのぅ

というかお主チート能力についてはあまり驚かんのだなぁ、珍しい子じゃのう」


いや、まさかの名前にチート能力を貰えるというロマンの喜びよりそっちの驚きが先に出ただけです…

なんて言える訳もなくははは、とただ乾いた笑いで誤魔化した


「それで何か質問とかあるかの?」

「えーっと、転生先の世界とか、この仕事に付きたいとかっていう希望がある場合は…」

「あぁ、世界、世界…お、あったこれじゃ。

ふむ?魔物が居たり魔法が使えたり…

うむ、至って普通のファンタジーの世界じゃな」

「おぉ、テンプレ!

あ、で、冒険者ギルドとかってあります?」

「えー、あぁ、あるな。

冒険者になりたいのか?」


…確かに冒険者という職業は憧れるし、ゲームに夢中だった時代は成りたいと本気で思っていた。

でも、今の俺はあの頃のように無鉄砲に突き進んでは行けないのは自分自身がいちばんよく分かっている

それに、ただの一般人だった人間に命を殺すなんて度胸も自らの命をかけ何かを守る勇気もない。

だから俺は……


「いや、俺は…

冒険者をサポートするギルド職員になりたいんです」

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