第弐拾陸話 才能! サブロウ少佐の力!

 30


「攻撃開始まで、残り30秒です!」

 サラが報告する。


 しかし、その時起きてはいけないことが起きた!


 巨大な機械と岩石の混合体である、衛星は機械と岩石の隙間から光を放ち始める。

「どうなってるんだ!?」

 衛星の表面で対空砲を攻撃する、ハリスは咄嗟に叫ぶ。

「サラ中尉!情報を観測開始!」

「了解!」

 元通信士である、サラ・リー・ラッセル中尉は機体中に増設されたレーダー・アンテナ・カメラアイを駆使し、情報という情報を全て観測する。

「エネルギーが増幅しています!エネルギー増幅は、大地の女神の瞳リュシテアーズアイの充填による物です!この増幅量、10秒もあれば、この宙域を消し飛ばすほどの威力の砲撃が行えるほどのエネルギーが充填されます!」

「なに!?衛星に取り付いてるレッグ隊に下がるように連絡しろ!現在の戦力で可能か!?」

「主砲の中心部に圧縮荷電粒子爆弾を直撃させると可能です!」

「そうか!では私は大地の女神の瞳リュシテアーズアイを破《・》壊《・》する!お前は、帰還しろ!」

『了解‼︎』


 方舟へと進む光の線の中、光を放つ衛星に、一つの線が進む。

 光のなかに紛れちかずく閃光を回避して、光の元凶の中心に照準を定める。

 照準は、機械の補正と彼の才能によりすぐさま定まる。


 ピシュ


 静かで素朴な音で発射された弾は、すぐさま帰還するため反転した彼の視界外で、進み続ける。

 反転、そう言ってもサブロウ少佐における反転は異なっていた!

 一般的な反転は推進機関の片方を逆向きにし、反転するものだったが、サブロウ少佐は機体中のサイコカーボンを機体後方に寄せることにより、一瞬で反転したのであった!


 静かな音を伴い放たれた弾は光を放つ衛星の中心にあたる。


 当たった弾は、衛星を抉るような閃光が発生する。


 閃光は衛星内のエネルギーと交わり閃光は、輝きを拡げる。


 美しいともとれる閃光は、破壊の権化として拡散する。


 宇宙空間に存在するエーテル、圧縮粒子砲を使用するための粒子を震わせ、衝撃波が伝わり始める。


「まずい!」

 サブロウ少佐は、彼1人以外、周辺にはいない宇宙空間で叫ぶ。


 推進機関を中心的に背後に集め、加速する。


 彼が横目に見た、デブリは衝撃に飲まれ崩れる。


「なに?!」

 彼の想定以上の早さで、衝撃波は伝わり、触れたモノを飲み込み破壊する!




 アークイド ブリッジ内

「第十二航空隊、隊長のサブロウ少佐を除いた5名の着艦許可を求む。」

 サラ中尉はかつて自分がいた場所へ、通信を入れる。

「了解した、着艦を許可する。サブロウ少佐の状況は把握している。」


 その時だった!


 戦艦の前方、もしくはボディ隊の後方から存在しない爆音を伴い爆発が起こる。

 爆発の数瞬後、ブリッジから嬉しさが込められた声が広がる。

「サブロウ少佐が圧縮荷電粒子爆弾を発射!爆弾は大地の女神の瞳リュシテアーズアイの中心部に着弾!大地の女神の瞳リュシテアーズアイが崩壊を開始します!」

 通信回線を歓声が支配する。

 しかし歓声の中に冷静な声が差し込まれる。

「第十二航空隊!至急着艦しろ!」

 艦長であるキシベの声が響く!

「なんだ!?」

 ブリッジから、不穏な声が発せられる。

大地の女神の瞳リュシテアーズアイの破壊時の衝撃が広がっていきます!」

「じゃあ、少佐が!」

 すぐさま反応したのは右腕と称されるアニー・E・ジェンキンス中尉だった。

「助けにくのは、難しいだろう。」

 冷静にマイケル・F・ヒューレット中尉が言う。

「仕方ありません。着艦しましょう。」

 サラ中尉は落ち着いて言う。

 五機は、静かに着艦シークエンスを行い、帰還する。


「総員、耐衝撃防御!」

 五機が着艦してから、数秒後に威力が落ちた衝撃波が艦体を揺らす。

「サブロウ少佐を捜索しろ!」

 衝撃波を乗り越えた数瞬後にキシベ艦長が指示する。

「サブロウ少佐の機体反応が検出されました!」

 オペレータの一声で艦内は歓声に包まれる。

「私が助けに行きます!」

 すぐさま反応したのはアニー中尉だった。

「抜け駆けはずるいんじゃないかな、アニー中尉?」

 そのように言ったのはマイケル中尉だった。

「キシベ艦長。第十二航空隊の発艦許可を申請する。」

 すぐさまハリス中尉が申請する。

「わかった。許可する。」

 五機は暗闇とも形容される空間を切り裂く。

「サブロウ少佐!大丈夫ですか?」

 アニー中尉が通信を送る。

「大丈夫だ。」

 素朴な返事が返ってきたところで、彼らはサブロウ少佐の機体を確認する。


 しかし、その姿は彼らが驚くべき物だった!


 意外!それは球体だった!

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