第拾伍話 破壊! 女王ラペイシャス!
ナンスオード
旧国連合に鹵獲された、太陽系連邦の小型駆動装甲、ビック・デービッドを改造して運用された。
本機のデータは、旧国連合ネットワークに流れたため、今後、旧国連合製駆動装甲の開発が進むようになっていた。
スペックは、改造元のビック・デービットと一切変わらないが、接続された旧国連合製の戦闘艇の多方向指向製磁力エンジンにより、本来のものより機動性が向上されている。
スペック
頭頂高・3.47m
全高・3.75m
本体重量・6.6t
全備重量・7t
スラスター総推力・10t
推力重量比・約1.4
ジェネレーター出力・500kw
装甲材質・特殊圧縮カーボン
「突っ走って、また救援に向かわせるようなことはしないでもらいたいねぇ。」
新装備の、A装備に搭載された、U.A2を使用して突っ走るジークに対し、注意も兼ねて冗談を言い放つ。
「わかりましたよ。」
「お前ら、気を引き締めろ。俺たちが、この作戦が成功するかを、担っているんだからな。」
キシベが、士気を上げる。
「全機散開!基地に侵入し制圧と行こうじゃないか!」
「そうだな!ラペイシャス。」
ジークが威勢よく言い放つ。
「エミット、基地内に入った、機体の割合はどうなっている?」
ノアに搭載された人格を持つAIに質問する。
「約4割です!」
聞かれた瞬間に、答える。
「そうか、なら基地外の敵の敵の殲滅の方が良さそうだねぇ。なら、敵の密集しているところはわかるかい?」
「少し待ってください。他機とデータリンク、カメラデータ取得。演算機能高速化。多目標同時補足。レーダに、敵機位置情報登録。密集地点にマーカー設置。」
「そうか。ではエミット、艦につないでくれないかねぇ。」
「わかりました。」
「こちら、第八小隊のラペイシャスだ。本機は基地外の敵の殲滅を開始したい。」
「わかりました。少し待ってください。半数は侵入しているようですね。許可します。」
「感謝するよ。さて、機械どもに地獄を見せてやろうじゃないか。」
ビュン
バックパックから、取られた戦斧が空を切る。
タタタッ
巨人は機体の半分ほどある戦斧を持ち、地上を駆ける。
グッシャン
巨人の近くにいた敵を、戦斧を鈍器として、叩き落とし破壊する。
ダダダダッ
機銃を掃射して、敵を打ち払う。
ピピピピピシュンー
スカートに当たる部分伸びたレールから、自立型の戦闘艇を射出する。
ビジューン
無人機が一斉に射撃し、彼女の死角の敵を討つ。
太陽系連邦のエースパイロット、マクガイア少佐は後にこう語った。
「駆動装甲のサイズは、大きくなればなるほど、精密な操作が要求されます。エースパイロットと褒め称えられた、私でも活躍できるのは大型まででしょう。また、例の戦斧の重量は、ノアの半分以上の代物で、これを持って走る。この行為だけでも、一般的なパイロットは無理です。あの戦斧の重量は、使い方を間違えると機体ごとネジ切れます。本来なら、丁寧に使用することが、想定された運用方法なのでしょうが、彼女は逆に半分以上の重さを生かし、慣性で振り回し、機体を捻ることで、引き千切られないような立ち回りをしています。勿論、彼女単体では無理だったろうが、それでも彼女の比重は大きくなっています。」
ギュイン
巨人は、回転し、身体を捻り、戦斧を振るう。
シュウィン
一見乱雑に見える、太刀筋は、巧妙に敵を捉え、叩き落とす。
ズサッ
飛び上がり頭上に逃げた、敵を切り裂く。
ピュイン
飛び上がりきった、巨人の背後にいる敵は弾を放つ。
ピシュンスタッ
巨人は、自らが生み出した閃光を蹴り、さらに跳び上がる。
スタタタタッ
バックパックから、機銃を取り出し、撃ち放つ。
ギュイン
捻った勢いで、回転し、周囲を切り裂く。
ドワオ
切り裂くために、振り回した勢いのまま、振るう。
巨人は、神懸かったようで舞のように、戦斧を振るい、浮遊する敵を殲滅する。
敵は反撃するも、躱す。正面から来ても、躱す。死角である背後からの攻撃も、躱す。
華麗な舞は、彼女の暴力と、ひ弱な敵の攻撃を、躱す事によって、成り立つ。
「…シャス大尉!ラペイシャス大尉!応答してください。」
いつの間にか、オペレーターからの通信が入る。
「こちら、ラペイシャス。熱中しすぎていたようだ。」
答え終わると、音声だけじゃわからないほどの微笑する。
「付近で侵入していた、イブキの第三小隊隊長と、所属不明機が接触、撃墜されたようです。至急、増援に向かってください!」
「エミット、どこだ!?」
「モニターに出します!目標、距離約1km先です!」
「この距離なら、狙い撃つ!」
モニターには、マーカーが表示され、その地点を中心にズームする。
鮮明には見えないもの、付近では爆煙が起きている。
「距離補正完了!いつでも撃てます!」
機銃を両手で抱えた、巨人は、意味もなく、狙撃体制になると…
ピピピピピシュンー
ドヒューン
爆音は、必要な音として機械音声で再現され、彼女の耳だけで響く。
「エミット、呼びかけようの回線にしてくれ。」
「わかりました。」
マーカーの奥に爆煙が立ち込める。
マーカーを中心に更にズームされる。
「おやおやぁ。その機体は、私達の軍のものじゃないか、返して貰おうじゃないか。」
モニターには、小型駆動装甲が大きく映し出される。
ピピッ
「私は、USSR.UK.DE連合のグラハム中将だ!貴女らと騎士道に則って決闘を挑もう。」
「面白いことを言うねぇ。だが嫌いじゃないよ!」
スタタタッジュバッ
巨人は駆け出すと、小人に戦斧を振るう。
ヒュイン
小人は、足を使わずに浮かび上がる。
スーチャキン
小人は浮遊したまま剣を引き出す。
ダッ
巨人は、小人の攻撃を回避するため、後ろに蹴り下がる。
ドワオ
またしても巨人は地面を蹴り、戦斧を振り下ろす。
ヒュイーシュウン
戦斧を避けるため、浮遊したまま巨人の横にまわり、剣を横から、薙ぎ払うように振るう。
バチッピシィーン
粒子圧縮装置
電磁防壁などに使用される装置。
装置の付近に電磁波を放出することで、異常な反発力を一瞬だけ発生させ、その力で大気、もしくは宇宙空間に存在、充満する、エーテルを圧縮し、空間を固定することができ、ノアは固定した空間を蹴ることによって、宙を駆けていた。
宙に現れた、閃光は小人の剣を受け止める。
「エミットか!?」
質問した瞬間、回線が割り込まれる。
「貴女、やるな!しかし、名前ぐらいは言ってもらおうかな!」
「ラペイシャス・A・クイーンだ!」
「凶暴な女王様ってところか。」
タタタタ
巨人は宙を蹴り、距離をとる。
スタタタタッ
機銃を放ち始める。
ヒュインヒュイン
小人は、閃光に包まれた弾丸を剣を構えたまま、飛行して回避する。
巨人は戦斧を構えると…
ピピピピピシュンー
無人戦闘艇を射出し…
ヒュウズガン
空を切りながら、戦斧を叩きつける。
ヒュイン
小人は、華麗にかわし、剣を振るう。
ビジューン
回避先に、戦闘艇が射撃する。
ヒュイー
爆煙から、小人が飛び出す。
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