第拾肆話 見参! 騎士グラハム!

「多方向指向性磁力エンジン、接続確認。メインジェネレーター発電率、最高値。駆動率、最高値。レーダー半径、最高距離。武装メンテナンス完了。システムオールグリーン、投下準備完了です。グラハム中将、いつでも発進できます。」

青髪の女性メカニック、エリスが整備完了を告げる。

「ありがとう。磁力エンジンの操縦は、移植元と同じと聞いたが?」

「えぇ。鹵獲した連邦軍の駆動装甲に、連合の空上戦闘艇の磁力エンジンを移植する事で、制圧力と汎用性に長けた、連邦軍の駆動装甲の長所と我々が慣れている、操作性が確保されています。」

「奴らの、機体の方が、優れていることは認めたくはないな。」

「ですが、事実です。」

「わかってるさ。実戦でスペック差は身に染みているよ。上はなぜ新型の開発を進めないのか。」

「技術班も大変なんですよ。」

彼女の経歴が、説得力を持たせる。

そのような事を話していると、連絡が入る。

「もう時間がないです。早く発進準備をしてください。」

「そのようだな。」

固定具に固定された、機械の巨人にグラハムが乗り込む。

「帰って来るのを待っています。ご健闘を。」

「あぁ。」

返事と同時に、コックピットを閉める。

モニターには情報が映し出されると、ルークから通信が入る。

「ルークだな。情報はこちらにも入っている。ピンチなんだってな。」

「話が、早くて助かるよ。」

「では、そろそろ出撃させてもらう。」

「基地を任せた。」

「あぁ。」

「グラハム・E・クーパー ヨクイC DAカスタム出る!」

彼が叫ぶと同時に、背部以外の固定具が外され機体が下向きになる。

機体の正面にある、扉が開き終わると同時に、背部の固定具も外され、機体が落下を始める。

基地がモニター越しに映る。

遥上空からでも見えるほど、基地の付近では爆発が起きる。

「クレア准尉!基地の1番侵入されている、エリアはどこだ!?」

オペレーターに思わず聞く。

「7番ゲート付近です!」

すぐさま、オペレーターのクレア准尉が答える。

「分かった!7番ゲート付近の防衛部隊を、最低限残して、他のエリアに回してくれ。」

「大丈夫なんですか?!」

「こいつの性能があれば大丈夫なずだ!」

「わかりました。あ、それと地面との距離残り200mです。」

「了解した!」

グラハムが、握っているレバーのボタンを押し込む。

その瞬間、少し機体がぶれつつも、空中に静止する。

静止した後にレバーを倒すと、機体が浮遊しながら進み始める。

「敵機と思われる、反応約37機。」

自動音声が淡々と告げる。

「そこの所属不明機、ただちに行動を止めろ‼︎」

突如、通信機から叫び声が響く。

「通信回線がバレたのか?まあいい、この機体の性能を試すにはいい相手だろう。」

「直ちに、返答を行え!さもなくば、攻撃行為にうつるぞ!」

「私は、USSR.UK.DE連合のグラハム中将だ!貴公らと騎士道に則って決闘を挑もう。」

グラハムがそう言い放つと少し戦場とは思えないほどの静寂が生まれ、敵からの通信で消え去る。

「舐めやがって。タチバナ、カナグリは先に基地内に入っていろ!おっと自己紹介されたからにはこちらもしなくてわな。」

(いい騎士道精神を持つ物だな。)

そっとグラハムが思う。

「私は第十三混合艦隊、空母イブキ、第三小隊隊長イズカ・テツヤだ。」

「貴公の騎士道精神に感謝する。貴公からかかって来るが良い。」

「良いだろう。舐めてかかると、どうなるか教えてやろう!」

グラハムの鹵獲した機体と同じサイズの敵は、叫ぶと同時に銃をとりだして引き金を引く。

「なんの!」

叫ぶと共にレバーのボタンを押し込み、飛行して、銃から放たれた弾丸を回避する。

「やはり、付けられているのは奴等の戦闘艇についてるやつか!」

「わかったところで!」

グラハムは機体にマウントされた剣で斬りかかりながら、叫ぶ!

「遅い!」

機体の力を、完璧に使った斬撃は、敵を捉え、シュン、といった音と共に、敵を二つに両断する。

グラハムが剣を鞘に戻した瞬間、機体に向かって、閃光を纏う弾丸が飛来する。

「基地内の敵の掃討と行きたいところだが、そうはいかないようだな。」

「おやおやぁ。その機体は、私達の軍のものじゃないか、返して貰おうじゃないか。」

モニターは人の顔部分に当たる位置に搭載されている望遠レンズの映像を映す。


そこには、銃器を持つ機械の巨人が映っていた。

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