第玖話 会敵! ハイ・ウィッカムの戦い!
USSR,UK ,DE連合(旧国連合)
旧国連合とは太陽系連邦設立時に母国が解体されることに反発した、一部の民衆が蜂起し結成されたテロ組織。ただのテロ組織にしては、財力、兵力、人員が異常に多いため、上位組織が存在すると考えられている。
追記
[最高権限閲覧制限情報]との接触を多数確認。監視、警備を強化。
2485/9/23
旧国連合戦闘艇
連邦軍の四角張った形とはかけ離れた、円柱を中心とした形状になっている。
回転式磁力エンジン二基による、比較的低コストの連邦製に対し、連邦製より高コストと思われる8方向に伸びた磁力エンジンにより瞬発的な機動が可能になっている。
追記
無人機を指揮していると思われる隊長機には、各機には専用のペイント、武装の独自強化、根本的な位置の改造がされていることが確認されている。
2504/7/21
モニターには草原の中に人工物が多数みえ、その先に爆炎が広がる。
爆炎の内側には機械の巨人が三つ見えるが立っていたのは一機だけだった。
巨人の他には、独特の迷彩模様がペイントされた戦闘艇が3機漂う。
おそらく隊長機だろう。
「クッソ、テメェを倒したら終わるんだよ。」
回線に流れてきた声は、虚勢と悲鳴まじりの少し情けない声だった。
ナイフを振るい、戦闘艇の集まっている位置を狙う。
3機は三方向に急発進し回避すると、そのまま巨人を囲い光線を放つ。
関節部を的確に貫いた光線は破裂し、関節を抉り、倒れさせる。
「マスター、このままでは、彼らのコックピットを破壊されてしまいます。」
「今現在で可能なことは?」
「パイルランチャーによる狙撃のみです。」
「そのパイルランチャーてのは?」
「パイルバンカーの射撃形態の名称です。今決めました。」
「いいかげんだが、これしか方法は似ようだなぁ。」
彼が指を曲げ、発射形態に移行する。
「他ノアとのデータリンク、弾道計算、位置情報確認、エネルギ配列変換、全て完了。オールクリア。今撃てば、当たります。」
「発ッ射ァ」
ノアの腕から、光の弾丸が目に見えないほどの速さで放たれる。
光の球はまだ気づかれる前の、戦闘艇にあたり、破裂する。
「着弾確認、敵、残り二機。」
「次はいつ撃てるんだ?」
「位置情報再確認。もう撃てます」
中指をもとに戻すと、また光の弾丸が放たれる
残った二機はこちらに向かってきており、弾丸に気づくと二方向に広がり避けられる。
「敵の射程圏内にいれられます。気をつけてください。」
彼女の忠告に少し耳を傾けながら、交戦状態に突入する。
至近距離に入った戦闘艇に構えていた刀を振るう。
刀は戦闘艇を捕らえ、切り裂くはずだったが、空を滑るように避け、光線を刀に向かって放つ。
刀は弾かれ機体の側に地面に刺さる。
間髪容れずに光線が飛んでくる。
「ちょっと借ります。」
マキアがそういうと、機体の制御を失う。
勝手にノアが横にステップして、光線を回避する。
「どういう事なんだ。」
「回避が間に合わないと判断したので制御権を一時的に私に移行して、回避しました。」
「じゃあ、回避が必要な時に、俺が操縦していても、回避させることはできるか?」
彼は腰の後ろに手を回すと拳銃を二丁取り出す。
機体は跳ねるように動き、拳銃を敵に向かい連射する。
地面を蹴って、敵の光線を回避し、撃ち返す。
宙をも蹴り、回避し、打ち返す。
「テメェが避けるならよぉ、
俺が当たらねぇでよぉ、
テメェに撃ち続けたら、
いつかは当たるよなあぁ。」
「考え方は幼稚ですが、いい考えですね。」
「そうだよなぁっ!」
拳銃からは弾幕が広がる。
弾は地面に当たると、拡散し散る。
数え切れない程の弾も、当たることなく、敵が回避する。
銃は、帯熱してシリンダーが飛び出す。
シリンダーごと関節部に差し込むことで、シリンダーが冷却され、シリンダーが再収納される。
また拳銃を連射する。
回避する。
敵の攻撃が機体の表面をなぞる。
彼の攻撃は、当たらず、敵の攻撃が掠る。
その時だった。
ダダダダッ
「おやおやおやぁ、またやられかけてるじゃぁないかい。」
「おっと、ありがとうなラペイシャス。」
ラペイシャス機が少し遠くから、射撃をする。
「さぁ、さっさと立って、私の援護を頼むよ。」
そういうと、一機は二対の戦斧を取り出し、浮遊しているに飛び掛かる。
もう一機は離れた位置で、弾を放つもう一体に弾幕を放つ。
触れたものを無に返すような勢いで斧は振るわれると、軌道上に敵を捉える。
次の瞬間にはスクラップになっているはずの敵は、原型のまま浮き続ける。
敵は雷のような軌道で、飛行する。
ピピピピッ
通信が入る。
「お前ら、拠点の敵はほとんど倒して制圧した。」
「了解です艦長。」
「ノア部隊は帰還するが、そちらは大丈夫そうか?」
「大丈夫です。ちょっと待っててください。」
通信が入った頃に、敵が逃げ出す。
「おい、ジークさっさと撃ち落とせ。」
「人使いが荒いなァ。」
拳銃から放たれる弾幕をすべて回避され機体と距離を取られる。
二体の敵は異常な軌道で回避し、彼らの視界外へと逃げ去る。
「逃げられたか、追いかけるか?」
「いい、こちらも帰還しよう。」
「了解しました。」
マキアの声が、聞こえるとモニター上にマーカーが表示される。
「艦長につないでくれ。」
モニターに艦長の名前と、顔が表示される。
「こちら、ジーク。行動不能のノアが、3機。輸送器具の手配を、頼めますか?」
「こちら、キシベ。了解した。」
しばらくすると、最初にジークたちを運んできたブースターが戦艦の方から、飛んでくる。
「マキア、撃墜した指揮官機から、通信データの情報をスキャンできるか?」
「損傷具合にもよりますが、可能でしょう。」
1キロほど先にあった残骸に、巨大なマニピュレーターで触れる。
「解析完了しました。これで敵無線に傍受可能です。」
「このデータは、艦に送っておいてくれ。」
「了解しました。」
こうして、太陽系連邦の反撃の狼煙となる戦いの幕が降りた。
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