第漆話 開始! ハイ・ウィッカム基地奪還作戦!
ノア 補遺※1
新型モビリティスーツであるノアタイプには戦況に合わせて各英単語の頭文字が冠された簡易換装が可能な特殊装備が装着可能になってある。
作戦の詳細を伝達するためにミーティングルームに集まるよう連絡が来る。
彼がミーティングルームに入った時にはキシベ以外の全員が揃っていた。
少し待つとキシベが入ってくる。入ったぐらいのタイミングで全員が敬礼すると机から資料が出てくる。
「今回のハイ・ウィッカム基地奪還作戦の詳細について話させてもらう。
まず資料にあるように基地に奇襲攻撃を仕掛ける。
作戦の段取りとしてはまずアークイドの荷電粒子圧縮砲と戦闘艇の爆撃部隊による基地中枢を爆撃。
次に混乱に乗じて超高高度からステルス機能のある輸送機でノア一個小隊を投下。
最後に残りのノア四個小隊と戦闘機小隊により包囲し性圧する。
投下されるノア一個小隊はシュミレーターと実戦データを考慮してジーク、ラペイシャスそして私が所属する第八小隊を投下する。
第八小隊は基地の中枢部に突撃するため近接専用の装備であるD装備。
その他のノア小隊は火力を底上げするためH装備を使用する。異論はないな。
仕様変更部分は各機のコンピューターに保存されている。又シュミレーターの挙動もこれらの仕様になっているため、確認しておけ。では解散。」
彼は個室に戻るとシュミレーターを起動する。
「2日ぶりですね。マスター」
元気な声が響く。
「シュミレーターがアップデートされたことによって私もこれにアクセスできるようになりました。
これでシュミレーターでも私のサポートが可能になりました。」
シュミレーターの開始ボタンの前に選択ボタンが追加される。
「これがD装備です。」
その機体は右手に杭が飛び出ており、至る所に装甲が追加されている。
「では、始めますか?今回の作戦に合わせたシュミレーションもできるようになっているのですが。」
「作戦に合わせた仕様の方で頼む。」
「分かりました。シュミレーションを開始します。」
細い線が至る所に行き渡ると、写真で見た基地が再現される。
「言い忘れてたのですが、薬指を曲げると、特殊パイルバンカーから通常の手に変形します。」
説明が終わった頃には、彼の体は浮いていた。
正確にはシュミレーター内で輸送機に運ばれているだけなのだが、精巧に作られた空間が、彼にそのような感覚を与える。
「砲撃開始まで約1分、投下まで約1分15秒。」
彼女が読み上げる。
超高高度でモニターに写されるマーカーに向かう輸送機につられて向かう。
「砲撃まで5,4,3,2,1,砲撃開始。」
「投下まで15秒」
光の柱が基地の一部を覆う。飛び起きたかのように、敵の戦闘艇が少しすると出てくる。
「投下まで3,2,1,投下ッ!」
彼らの機体は切り離されると、風を切って落下する。
ブースターを吹かせ落下するより、早く落ちる。
自動制御により、落下する直前にスピードが殺されるようにブースターが吹かれる。
「敵は何機だ。」
「視覚的検知数は約725機です。」
慌てるように彼女が言う。
この切迫したような雰囲気は彼にシュミレーションだということを忘れさせ、実際の戦争だと感じさせる。
「すいません、もうひとつ言い忘れてる事がありました。中指を曲げるとパイルバンカーが粒子圧縮砲形態に変形します。また伸ばして曲げると打てます。伸ばし続けると元に戻ります。」
杭を近くの敵に向かい殴りかかるように向けると、回転し飛び出す。
データ上の敵を抉り落とす。
彼が中指を曲げるとモニターに照準が写し出され、右腕はの先端は杭がひっこみ筒状になる。
元に戻すと光の弾が飛び出す。弾もまた敵を抉り落とすわと右腕が杭に戻る。
薬指を曲げ通常の手に戻した彼は、バックパックに懸架された刀を取ると合理的な軌道で振り回す。敵を切り落とすと、次の標的に向かう。
彼は止まることなく流れるような軌道で切り落とし続ける。
「やっぱ、こっちの方が使いやすい。」
「わかりました。デフォルトは手に設定しておきます。」
敵機が距離を取り始めるも彼は銃を取り出す。
その銃はアサルトライフルよりも拳銃に近く、連射力・装弾数は劣るものの、近接戦では有効だった。
拳銃は小さな光の弾を放つ。小さいながらも敵を破壊するには十分だった。
拳銃は18発撃つとマガジンの部分が展開する。展開した物からは蒸気が噴出する。
オーバーヒートした所から冷却を開始する。
電子世界で想定された戦いは機会によって動く仲間の支援によって終わった。
シュミレーターから出た時には夜になっていた。
食堂の自販機からハンバーガーを買い部屋に戻ると、シュミレーターから光が投射されると、マキアが出てくる。
「なんとですね、シュミレーターのアップデートでアクセスできるだけでなく、プロジェクターとして使うことができるようになりました。」
「そうだマキア、艦長に通信を入れられるか?」
「もちろん、できますよ。ちょっと待っててくださいね。」
「繋がりました。」
「艦長、今大丈夫ですか?」
「あぁジークか。大丈夫。で用事はなんだ?」
「明日の作戦のシュミレーション中の降下時にミサイルで爆撃しながら落ちるとかできないか気になったのですが、可能でしょうか?」
「可能だ。なんならD装備にミサイルポットをつけて降りながらパージ可能だ。」
「配備して貰えますか?」
「頼んでおこう。話はそれだけか?」
「はい、では。」
「マキア、ミサイルのロックオンは可能か?」
「もちろんです。」
作戦を行う次の日には、肩から羽のように伸びたミサイルポッドが取り付けられていた。
「ノアパイロットはミーティング室に集まってくれ。作戦の再確認を行う。」
「作戦は前日言ったように爆撃、奇襲、包囲で制圧する。
各々シュミレーターでの成績は完璧だったが、実戦には不足の事態が起きることはよくある。作戦に縛られず、臨機応変に行動してくれ。
では出撃準備に移ってくれ。」
キシベがそういうと部屋から出る。他のパイロットも待機室に移動する。
彼らは先行隊のため先に機体に乗り込む。機体には羽の上にステルス戦闘機の形状に近い輸送機が装着されている。
機体が横に寝かされカタパルトに固定される頃には、他のノアパイロットも乗り込んでいた。
カタパルトのライトが全てつくとかか彼の体にとてつもない重力がかかる。
「少し耐えてください。射出し切ると少しマシになるので。」
少しすると彼女の言う通り体が少し楽になる。
後ろではカタパルのレールが展開し少し角度がつけられノアが射出し始める。
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