第14話 勇者と吸血姫の従者の戦闘訓練
「おや、ソヴィラ様。」
「あ、レインさん。」
「…先程の魔力はレインさんでしたか……」
「どういうことですか…?」
「いえ。お気になさらず。それにしてもソヴィラ様は愛されてますね。」
「え?ええ、まあ…」
「ふふっ…近くでイチャイチャされると精神がさらに死にかけるので憂さ晴らしに付き合ってもらえませんか?」
「えっと…」
「はい。行きますよ。拒否権はありません。」
「え、え!?」
――――――――――――――――――――――
「さて…ここがよろしいですかね。」
「いてて…雑すぎますって…」
「知りませんよ?普段はもっとひどい怪我も追ってますから大したことないですよね?」
「というか…憂さ晴らしって…」
チャキッ。聞き慣れた音とともに刃が僕に向けられる。その瞬間俺のスイッチが入った。
「…【起動∶聖剣ヴィレルナル】」
「おや…雰囲気が変わった…?」
「征くぞ。」
いやはや、久しぶりに意識が出てこれた。僕の方は勝てない相手にしか俺を出さないようにしたからな…長らく眠ってたせいで闘争本能が荒ぶりまくってやがる。
ハハッ。タノシミダ。
「【滅流・両断】」
「おっと…」
「はは、やるなぁ。この技初見で避けるとはすげーな。」
「ふむ…魔力の質が変わった…?それに…あなたの名前は?」
「ん?そんなもんねーよ。俺は俺だからな。」
「そうですか…ならこちらも技くらいは出しますかね。【我流・亜空斬り】」
「おっと…」
あいつが空振りした延長線に斬れやがった…しかも、こいつまでぶった斬るとかバケモンか?
「まさかこいつがぶった斬られるとはなぁ。一応聖剣なんだがな。」
そう言いながら俺の魔力で聖剣を修復していく。
「でしょうね、あなたの技に並大抵の剣では耐えきれないでしょうし。」
だろうな。鉄なんか使った剣なんざ、すぐひしゃげてつかいもんにならないだろうしな。
「おもしれぇ…それならこれはどうだ!【滅流・滅龍乱舞】!」
俺は高速接近しながら斬りかかるんだが…掠りしかしねぇ…一応光速なんだがな…
「流石にかわしきれませんが…これを使うしかないですかね。
あいつは剣を収めると一回後退した。その間全ての斬撃を避けてやがる。
「………【燕返し】!」
気づいたら俺の剣は上に弾かれていた。
「はぁ!?あれ全部弾き返すか!?」
あいつが技を出した瞬間同時に100の斬撃を放ったのを全部弾くかとかマジモンのバケモンかよ!?
「ふふっ…少しズルもしましたけどね…」
「くっそ…まだまだぁ!」
「いえ、終わりですよ。」
どうにか体制を立て直そうとしたが…首に剣を当てられた。
「っ!」
「まさかまさか…私に【空】を使わせるとは…」
こいつ若干キャラぶれてねぇか?なんか道化師っぽい喋り方なんだが…
「こっちも負けるとは思わなかったぜ…やるなぁ。」
負けるなんて今までなかったが…いいもんだな。
「いえいえ…」
「おっと、そろそろ交代か。じゃあな。」
勝負はついたしな。お暇させてもらうとするか。
「ええ。次はもっと強くなってから勝負いたしましょう。」
「へへっ…今度こそ勝ってやるよ。」
そして、俺から僕に意識が変わった。
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