第9話 勇者と魔王はロリアに会う。
「到着しましたよ。」
その声とともに見えたのが優雅なデザインの屋敷だった。
「ここは…?」
「ここは、お嬢様がお住まいになっているお屋敷です。国でいう王城にあたります。」
「え?さっきは壁の外にいましたよね…?」
しかも【転移】なんて聞いたこともない…
「レインさん…?さっきの魔法は…?」
「【転移】というものでして離れた場所に一瞬で移動する魔法ですね。」
へー…そんな魔法があるのか…
それにしても…城よりは小さいけど…屋敷としてはすごく大きいな…
「なんで城ではないんですか…?」
「そうですね…王国の定義って何だと思います?」
「そう…ですね…統治する領地の広さですか?」
政権とか興味なかったからな…魔族を倒す!ってずっと考えてたから…
「もちろん、それも大事です。ですが、私達イリア王国は貴族が統治する程度の広さしかありません。なのに、なぜ王国を名乗れるのか…それは、武力です。」
「武力…?ロリア様のことですか?」
「ええ。結局守れなければ取られてしまいますからね。確かにお嬢様がこの国における最強の戦力でしょう。ですが、その他にも屈強な戦士たちが多いのです。問題が多いのがたまに傷ですけど…思い出しただけで胃が…」
問題?まだ領民を見てないからなんとも言えないけど…たぶんすごいんだろうな…
「レインさん?自分たちの国自慢はどうでもいいので案内してくれますか?」
ディレカが早く案内しろって言ってるよ…
「おっと、失礼しました。皆様方。どうぞお入りください。」
僕達はレインさんのあとに続きながら屋敷に入り2階に向かった。レインさんが両開きの扉の前で立ち止まると
「ここがお嬢様の執務室です。」
そして、レインさんが少し開けて中を見ると明らかに疲れたような顔をしながら僕達に言った。
「…すみません。少しお待ち下さい。」
そして、レインさんが中に入っていった。
「どうしたんだろう…?」
「たぶん…ロリアのことだからなにか見せられない格好でもしてたんじゃない?」
と、ディレカが言うと中から声が聞こえてきた。
『お嬢様…魔王嬢が来ましたよ…だから、起きてください…って、なんで毎回毎回全裸で寝ているんですか!?毎回言ってますよね!?服は脱がないで寝てくださいって!ほら!今日ぐらいはしっかりしてください!って…言ったそばから寝ないでくださいよ!魔王嬢が扉の前にいますから!って、服着るの早いな!?いつもそうしてくださいよ!?』
すごく苦労してるんだな…
少ししてからレインさんが部屋から出てきて
「すみません…おまたせしました…胃が痛い…」
「えっと…大丈夫ですか?」
「ええ…いつものことです…どうぞ…お嬢様がお待ちです…」
僕達が中にはいると執務室らしき机からこちらを見ている少女がいた。だいたい…12歳くらいかな?この子が…ロリア様?
僕がそう思っているとロリア様らしき人がリディアに向かって話しかけてきた。
「来たようね…魔王…勇者に負けた敗北者がここになんのようかしら?」
「ふん。負けてないわよ。そっちも人族ごときに随分領地を取られていたわよねー?天下のロリアがねー?」
「は?とられてないわ!戦略的に放棄しただけ!そなたとは決着がついてないからね…いまここでつけてもいいのだけど?まあ、私が圧勝しますけどね。」
「はっ!まだ寝てるのかしら?誰が誰に勝つですってー?」
このやり取りでわかるね。仲悪いなこの二人。
というか…レインさんとも仲悪そうだし大丈夫かな?
「双方落ち着いてください!」
レインさんが大きな声で静止をかけた。二人ともこちらを向いて「?」の顔をしていた。
レインさんは言い聞かせるように
「お嬢様…?久しぶりの再開を喜ぶのは結構ですが明日からお菓子を一週間抜きと寝るときにそばにいませんよ…?」
「うっ…それは…」
ロリア様…おかしは年齢にあってるけど…そばにいないと寝れないのって…意外だな…
「魔王嬢もなにか目的でここにいらしましたよね?お嬢様の挑発にすぐに乗らないでください。なんですか?魔王嬢もお嬢様のようにお子様なのですか?」
「うっ…それは…」
ディレカにだけやけに冷たい気がするけど…当たり前か…僕も少しだけ注意しておこうか。
「ディレカ…?はしゃぎすぎだよ…?」
「うん…ごめんなさい…」
ディレカは反省してるみたいだし大丈夫かな。
そして、ロリア様が僕達に目を向けてこう言った。
「なに?そこの人族は。奴隷?たしか、アナタって奴隷なんてもの持ってなかったわよね?しかも男…男嫌いというか人嫌いのアナタが?」
「違うわよ!そうね…アナタが一生手に入らないものよ?」
「なに?私が一生かかっても手に入らないもの…ですって?」
「簡単よ?夫よ?旦那。」
「だ…だ…旦那〜〜〜〜〜!?」
これ…いつ話始められるのかな…
ディレカに問い詰め始めたロリア様を見ながらヘリア(すごく嬉しそうな顔)とヘリカ(屈辱的な顔)の頭を撫でながら待っていた。
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ヘリアとヘリカの出番が…
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