第8話 勇者と魔王はイリア王国に入国する。

僕達がイリア王国に向かって飛んでいると、ディレカがこの娘達の名前をつけようと提案してきた。


「いいんじゃないかな?名前があったほうがわかりやすいしね。」


「本当ですか!?」


「いらないわよ!それより、はーなーしーなーさーいー!!」


「そうだね…うーん…」


この子たちって双子みたいに外見が一緒だからな…喋り方くらいしか変わらないんだよね…


「じゃあ…ディレカの方にいる娘がヘリア、僕の方はヘリカでいい?」


「はい!大丈夫です!よろしくおねがいします!」


「それでいいから早くおろしなさーい!」


「はいはい。あとでおろしてあげるからちょっと大人しくしててね?」


「そうですよ!ヘリカ!大人しくしてなさい!」


ヘリアがそう言うと急にヘリカが大人しくなった。


「う、動けない…」


「…ソヴィラ。たぶん…ヘリカが固有進化してる…」


「へ?固有進化って…なにそれ?」


「詳しくはついてから話すわ!速度上げるわ!そろそろ国境付近だけど多分私達を落とそうとしてくるわ。強行突破して直接屋敷に行くわ!」


「え?不法侵入にならない?」


「ならないわよ。というか、がいる限り無駄だからね。」


「あの人?ロリア様のことか?」


「いいえ。違う人よ。そろそろよ。準備はいい?」


確かに国境の壁が見えてきた。色々気になるが仕方ないか。


「「飛翔石∶モード#トップ!!」」


「「え…ちょ…きゃぁぁあー!」」


僕達は飛翔石の性能ギリギリの速度で国境侵入をおこなった。にしても、ふたりとも同じ叫び声あげてるね。とりあえず、これで大丈夫だね。



「魔王嬢…もう少し穏便な方法はなかったのですか?」



は?どういうことだ?気づいたら壁の前に倒れている?体に痛みは無いし意味がわからない。

混乱の極地にいた僕だが、ディレカはすでに立っていて、ヘリアとヘリカはまだ倒れていた。


「あのね…前にロリアが強行突破できるならしてみろって言うからしただけですよ?」


「はぁ…またお嬢様ですか…私の胃を何回壊したら気が済むんですかね…」


レインと呼ばれた男は疲れたような顔を浮かべ胃のあたりを擦る。苦労してるんだな…


「それで…孤高の魔王と呼ばれた…お嬢様の言葉を借りるとボッチの魔王嬢が人を連れているとは…天変地異の前触れですね。」


「よし、殴っていい?いや、殴るわね?」


「ハハハハ、面白い冗談ですね?寝言は寝ていってくださいよ。」


なんか仲悪そうだな…この二人…


「おっと、それでこの人たちは?」


「知ってるでしょ?貴方の力なら。」


「そうですけど、一応聞いとかなければいけないですから。」


「はぁ…夫と私達の子供よ。」


そう聞くと満足そうにうなずくと


「ふふっ…これでお嬢様も焦ってくれるでしょう…いいお相手が見つかれば…の話ですが…」


…苦労してるんだな。


「おっと、放置してしまいまい申し訳ありません。私はお嬢様の所で執事として働いているレインと言います。あなた方のお名前を聞いても?」


「僕はソヴィラ。この子達はヘリアとヘリカです。それで…なぜここに?」


色々気になるが一番気になるのはなぜこの場にいたことだ。あとは…その力と言うのも聞いてみたい。


「企業秘密ですよ。それより…なぜここに?魔王嬢の夫…つまり、夫婦ということですが…本当ですか?」


「ええ…まあ、僕から結婚を申込みましたけどね。」


思い出すと恥ずかしいな…あのときよくあんなこと言えたよ…


「それはそれは…ということは勇者…ですね?」


「そうですね…勇者は辞める予定ですけどね。」


「そうですか…それよりお嬢様の屋敷に案内しますよ。ここだと気が休まらないでしょう。」


「いいんですか?」


「ええ。私に触れてもらっても良いですか?」


「…?わかりました…」


僕とディレカとヘリアは素直に掴まったがヘリカが掴まらなかったのでヘリアが言って掴まらせた。


「では…しっかり掴まっていてくださいね…【転移】テレポート


こうして、僕達はイリア王国に入国したのだ。


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