第7話 魔王と勇者はイリア王国に征く。
「どうするの…この娘は…」
「どうしよう…」
僕達は気絶してしまったこの娘を寝かせたあと、とりあえず行く先を決めることにした。
「どこがいいかな…僕達がこっそり住めるところがいいよね。」
「うーん…なら、私のただひとりの友達のところにでも行ってみる?」
「友達?」
「うん。ロリアって知ってるでしょ?」
「え?ロリアって…
「うん。魔族側も有名でこっちでは…たしか
「なんでそんな人と知り合いになったの…?まあ、強敵どうしって理由な気がするけど…」
「前に私とロリアで模擬戦やったら…引き分けだったよ。」
「え?冗談だよね?」
ディレカは、無言で首を横に振った。うわ…マジか…
ディレカのような人がもうひとりいるとか…悪夢だよ。人族側からしたら。
「まあ、それであっちも相手が強くて全力で戦って友達になったの。また、模擬戦やろう!って感じだったわ。」
「そ、そうか…とりあえずその人のところに行くでいいのか?」
「そうね…町も大きめだし私達なら街の中も入れると思う。」
「わかった。だいたいここからどのくらいだ?」
「うーん…あっちの方向に一時間って所かな。空飛んで。この娘は…連れて行こうよ。」
「なんで?」
「だって…ぱっとみた感じだれも魔物だとは思わないじゃん?」
「まあ…たしかに。」
きれいな肌色をしてるし、試しに腕を触ってみても誰もデストレントだとは思わないだろう。この柔らかさだと。
「あとは…この娘の意思がどうなるかかな。」
「うん。とりあえず起こして聞いてみよっか。」
リディアがデストレントの娘を優しく揺さぶると、「う、うーん…」と言いながら目を覚ました。
「はっ!魔王様の前で寝てしまうとは!すみません!」
そして、速攻で土下座した。…前まで木だったよな…?なんで、あそこまで人間っぽい動きを…
「気にしてないからいいわよ。それより、私達と一緒に来る気はない?」
「一緒に…ですか?」
「ええ。これから私の友人のところに行く予定なのだけれど…」
ディレカがそう聞くと幼女はタックルするかのような速度で近づいてくると僕達の手を握って答えた。
「ついていきます!いや、ついていかせてくだささい!」
「いいの?こことは比べられないほどに危険かもしれないわよ?」
危険な道になるだろうね。なんせ、勇者と魔王が一緒にいるからね…たぶん、人族は勇者を魔王の催眠だか洗脳やらから開放するのだー!って言いそうだし…魔族は魔族で魔王様が勇者に捕まった!助けるぞー!的な感じで敵対するんだろうな…
「問題ないです!なんかこの姿になってからやる気にみちあふれているんです!こんなこともできるようになったみたいですし!『我が眷属たちよ!我が声に応じ傲慢な蛮族共を喰い尽くすために産まれよ!
魔法を唱えた途端幼女の前に1個の閃光を放つ魔法陣が現れた。そして、少しすると…閃光がはじけた。
「ん…ふぇ!?ど、どこ?ここは?って…お前は!」
うろたえながら僕を見つけた瞬間、指を指しながら恨むような目で見てくる。こんな子知らないんだけどなぁ…新緑を思わせる緑に茶色の瞳。年齢は…だいたい15歳くらいかな。身長換算だけど…
「忘れもしないわ…あのとき私を燃やしてくれた勇者!ここで恨みを晴らす!おらぁー!」
と、言いながら殴りかかってきた。
「いや、わからないから…というか…もう来たか。いまは相手にする時間ないから…ちょっと失礼。
僕は高速で動いて攻撃を避けると、お姫様抱っこをして空へと飛び立った。
「ディレカ!そっちの子供を頼む!そろそろ行かないと斥候部隊が来る!」
「わかった!ほら、行くわよ?えっと…おんぶでいいかしら?|【起動∶飛翔石】」
「はい!恐れ多いですがお願いします!」
「はーなーせー!!」
僕達は空へと飛び出すと目的の方角に向かって飛び始めた。
「さあ、征くよ。目的はイリア王国だ!」
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