第2話 魔王と勇者は戦い…恋をする。(魔王said)
「あとは勇者と私しか残ってない…か。いい気味だ。」
魔王と呼ばれる私の名前は…とうの昔に忘れてしまった。
私はもともと魔族の中でも特異な存在として妬まれ、蔑まれ、崇められた。魔王軍に強制的に加入させられ、身体を改造され、さらに洗脳…いや、意識の改造が行われた。その時間は一年と長くそして力が強大になりすぎた。
そして、その終着点が魔王…ふふっ…他人に使われてばかりのつまらない人生だったが…今日でそれも終わりだな。この戦いで私は死ぬことにした。もうたくさんだ。
と、そこで扉が開いた。
入ってきたのは幼さを残し、そして歴戦の気配を感じさせる…少年がいた。
ふいになぜか私の胸が疼くような気がした。それを無視して話しかけた。
「よく来たな。勇者よ。」
見た目は空色の髪と琥珀色の眼に白を基調とした神々しさが伝わる服…見た目は強そうに見えないが剣から異様なまでの聖なる波動が感じられる。
「勇者よ、貴様はこの私を倒して、何を望む?私を倒せるはずもないがな。」
「なにを望む?決まってるだろ…それは…」
「ふむ…やはり、人族の平和のためか?それはそれ…」
話続けていると勇者が叫んだ。
「貴女を倒して!僕のお嫁さんになってください!」
「はい?」
なぜか急に私の顔が熱くなった。なにを言ってるんだ…こやつは…それにお嫁さんになってください?そんなこと一度も言われたことない…少し嬉しいと感じてしまうのはなぜなのだろうか?
「おもしろい冗談だ。勇者よ。ああ、本当におもしろい。いいだろう、私に無事に打ち勝つことができたのなら嫁にでも何でもしてやる。だが…私に勝てるはずもなかろう!」
そう言って私は杖を手に立ち上がった。
どうせ、死ぬだけだ。どうせ私が勝ってしまうに違いない。なら、このような遊びがあってもいいだろう。
勇者も剣を構え言った。
「僕は貴女に勝って!貴女をもらう!征くぞ!|【起動:聖剣ヴィレルナル】!」
ここまで言われたのなら返答がなければな。私は杖を構え宣言する。さあ、逝こう。
「その蛮勇…後悔して逝け!【起動:魔杖ルナル=カノル】!」
「そして、私と勇者の終わりと始まりの戦いが始まった。」
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