一目惚れした勇者と魔王は逃げてゆっくりする。

そこらにいるウナギ

プロローグ

第1話 勇者と魔王は戦い…恋をする。(勇者said)

「はぁ…はぁ…やっとついた…」


 僕は勇者。名前は…忘れてしまった。今、僕は魔王城の最深部…魔王がいる部屋の扉の前にいる。魔族の王に君臨する魔王か…どれだけ強いんだろうか…はやク…ハヤく…タおサナイト。マゾクハテキダカラネ。そして、僕は扉に触れた。


「ほんとに僕はつまらない人生だったよ。」


 僕は産まれたときに聖痕…つまり、勇者の印が肩に刻まれていた。そして、僕は教会に

 それは、しょうがないことだと思っている。教会は人族の中で一番広範囲で影響力を持っている。逆らおうものなら社会から孤立してしまう。だから、僕を売った…らしい。産まれてすぐだから記録でしか見たことがない。

 それからすぐに僕は飼われた。魔族を殺すだけの殺人機械キラーマシーンにするために。     

 …昔話はこれくらいでやめよう。さあ、逝こうか。


 僕は扉を開けた。そこには…


「よく来たな。勇者よ…」


 禍々しい椅子に座ったすごく綺麗な魔王がいた。魔王の姿を見た瞬間景色が変わった気がした。紅色の髪に黒色の瞳。装備は禍々しさがあるがどこか質素な…大人びた印象を受ける。一番目を引くのはそばにある杖。漆黒のオーラが揺らめいている。

 しかし、そんな魔王の姿を見た僕の中から魔族を殲滅するという意識は消え去り、代わりに魔王と…


「勇者よ…貴様はこの私を倒して、何を望む?私を倒せるはずもないがな。」


「何を望む?決まってるだろ…それは…」


 なんだろう。心臓が破裂しそうなくらいドクドクしてる。こんなこと遠い昔になくなったのに。


「ふむ…やはり、人族の平和のために…か?それはそれ…」


「貴女を倒して!僕のお嫁さんになってください!」


「はい?」


 すごく顔が熱い…何なんだろう…こんなことは知らないよ…

魔王の顔も赤くなってるように見えるけど…遠い上に暗くてわからないな。


「おもしろい冗談だ。勇者よ。ああ、本当におもしろい。いいだろう、私に無事に打ち勝つことができたのなら嫁にでも何でもしてやる。だが…私に勝てるはずもなかろう!」


魔王がそう言うと…そばにあった杖を手に取り構えた。僕も自分の剣を構えて宣言する。


「僕は貴女に勝って!貴女をもらう!征くぞ!|【起動:聖剣ヴィレルナル】!」


「その蛮勇…後悔して逝け!【起動:魔杖ルナル=カノル】!」


 そして、僕と魔王の終わりと始まりの戦いが始まった。

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