第34話 淳の嘘
淳と知らない女性が渋谷でデートをしている所を見てしまった。
奈緒の心は揺れ動きます。
――――
奈緒は、夕飯を食べると急いで二階に上がった。母親が娘の姿に心配して声を掛けたが、
「なんでもない」
と言うだけだった。
まだ、二四歳。色々あるのだろうと思うとあまり干渉しない方が良いと思った母親は、それ以上言わなかった。
「返事が来ない。何故」
独り言を言いながらスマホの送信メール見ている。その時だった。いきなりスマホが震え、スクリーンに淳と言う文字が映し出された。
あっと思って、急いでタップすると
『奈緒、ごめん。昼間のメール受け取れなかった。どうしたの』
急いで返信した。今、スマホを持っていることが分かったからだ。
『どこにいたの。今日のお昼』
『どうしたの。渋谷で明後日から行く仲間と会っていた。仕事の話していた』
そのメールに奈緒は、あの人がシンガポールに一緒に行く人と思うと
『今日、渋谷に行った』
これを送れば意味が分かるだろうと思った。
僕は、奈緒のメールの意味を悟った。瞳と一緒に居るところ見られたんだ。
どうすれば心の中で逃げる言葉しか思い浮かばなかった。
・・・・・少しだけ間が空いた。
やっぱり。
奈緒は、今言った言葉が当たっていたと思うとたまらず、メールを電話に変えた。
ずっと呼出し音がなっている。そのうちただいま電話に……。メッセージが流れたとたんに切った。
やっぱり、ただの同僚じゃないそう思うと涙が出て来た。グッと我慢しても流れ出てくる。
僕は、奈緒の電話を意図的に取らないでいた。なぜ奈緒が渋谷に。
とにかく電話しないと。スマホにタップした。
奈緒は、手で顔を覆いながら、そのままにしているとベッドの上に置いたスマホが震えた。
スマホのディスプレイを見ると淳と表示されている。
淳からの電話。すぐにオンにすると
『奈緒、どうしたの』
『メールが途中で切れた』
『あっ、ごめん。トイレ我慢できなくて』
『えっ、トイレ』
『ごめん』
『ばかあ、心配したんだから』
頭の中が何も考えられないまま、淳の声を聞いて心が落ち着くと
『淳、誰、あの人』
『あの人って』
奈緒は、明らかに瞳の事を言っている。
『昼間、デパートで一緒だった人』
……。
『ああ、会社の同僚。他の仲間との打ち合わせに少し時間があるからと付き合わされた』
『えっ、そうなの』
『まさか、何か勘違いしている』
淳の言葉に疑いを持ちながらも
『でもその後のメールでなかった』
『だって、レンタルMtgルームって、電波届かないし』
心の中に嘘という言葉が浮かびながら言うと
『えっ、そうなの』
『もう、奈緒、大丈夫』
スマホの向こう聞こえる淳の言葉に段々自分が勘違いしているのだと思うと
『でも、心配したんだから。ねえ、明日会えない。少しでもいい。だめとは言われたけど』
奈緒の気持ちが、体に入って来た。
『ごめん、明日も今日のメンバとMtgする。明後日の出張準備ぎりぎりなんだ』
瞳との約束が頭に浮かび、仕方なく言うと
『そう』
寂しそうな声に
『分かった。金曜日空港に着いたら、すぐに奈緒に電話する』
『うん、うん、いいわ。それで許してあげる』
奈緒の言葉に心の呵責を感じながら
『今からお風呂入るから』
『分かった。私もお風呂入る。ふふつ、一緒』
奈緒の言葉にうわっと思うと
『じゃあ、金曜日』
『うん』
そう言って、スマホをオフにした。
良かった。淳だもの。心配しただけ損したかな。
彼の言葉を聞いて急に今までの事が頭から消えると急いで一階に降りて
「お母さん、すぐにお風呂入れる」
「大丈夫ですよ」
ふふっ、淳と一緒と思う、心が急に軽くなった。
バスルームの脱衣所に行く前に、渋谷に行ったままになっていたワンピースの後のジッパーをゆっくりと降ろした。ドレッサーの前でワンピースの右腕を取って左腕も脱いだ。
そのまま、ワンピースを下に置くと、少しだけ微笑んでワンピースをウォーキングクローゼットの手間にあるハンガーにかけて一階に降りた。
もう両親は自室にいる様だった。バスルームの前の脱衣所でキャミソールを外すと可愛い薄黄色のブラとパンティが現れた。
ふふっ、淳も一緒かな。
そう思いながら後ろに手をやり、ブラのホックをはずすと右腕の紐を外し、左腕の紐も外した。体には大きめの胸が現れる。
自分のトップの色が、妊娠する前と明らかに変わっているのが分かる。お母さんに見られたら、ばれるかな。
でも淳が…。答えがはっきりと言えないままにブラを洗いかごに入れてパンティに手を掛けた。
最初、シャワーを手にかけて、暖かくなるのを待つと、ゆっくりと自分の体にかけた。一瞬だけ吉岡の事が頭に浮かんだ。何故と思ったが、すぐに消えさせるとフェイスクリームを手に取った。
顔を洗い、髪の毛を洗うとボディブラシにボディシャンプーを付けた。
首の周りを洗った後、腕を洗う。泡だらけになった腕を見ると今度は、お腹にブラシを向けた。
自分が見ても透き通るような肌だった。お腹にブラシを当てると、一瞬だけ思うところが有ったが、そのまま洗った。
やがて綺麗な形をした胸を下から洗うと一度手を止めて淳も入っているのかなそう思うとふふっと笑って、そのまま洗い続けた。
湯船に入ると形の良い胸が軽く浮いている。淳と体を合わせた時、最初に感じるところだ。ちょっとだけ、トップを触ったが、何も感じない。当たり前かと思うと首まで目一杯湯船につかった。
―――――
奈緒は、淳への誤解が解けた事で心が軽くなりました。
淳、本当にこれでいいの?…私は思います。
次回をお楽しみに
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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