歌って、すずめ
「ねえ、おかしくない?」
「ん? すずめによく似合ってると思うけど。こっちはどうかな?」
ティーとリリーが大きくなったおかげか、二人でいれば少し長い間でも姿が見えなくても泣かなくなってきた。それとセレやベル、ズハリには懐いている。
なので私とヨウはお買い物に出掛けました。
服はもちろんあっちのショップなんてなくて、この国のデザイン。もう少し、あっちの服みたいなデザインが欲しいなーなんて思ったりもする。
「これにします」
まあ、こちらにきてだいぶたつし、もう慣れてきたから別にいいのだけど、そう思ってた。何着か選んでお願いしますと服屋の人に渡す。
「そうだ、今度ナグカルカで麻美が服を作るそうだよ」
「えっ!」
「イソラと組んで一緒に店を出すんだってさ」
「うわぁぁ、いいなぁ! すごく楽しそう」
麻美のファッションセンスはかなりいいと思う。彼女は歌がなかったらたぶんそっちの道に行ってた。
「もし、こういうのが欲しいっていうのがあればデザインを描いてきなさいって言ってた」
「う、私が絵心ゼロだと知りながらそう言うのかぁ」
「そうなんだ」
ヨウは笑いながら包装された先ほど渡した服を受け取っていた。
「流行らせて、神になりますわぁってイソラは言ってそう」
「あはは、そうかもね」
ナグカルカに居られない私の代わりにイソラは麻美の側に居てくれる。
二人で何か始めるのって少し羨ましくも思う。
「ねぇ、ヨウ」
「ん?」
「私達はこれからどうなっていくのかな」
ヨウはすぐに答えてくれた。
「変化はいつだってする。だけど恐れたって仕方ないよ。ただ、ボクはずっと側にいるから」
顔を寄せて、大丈夫と言っているみたいにまっすぐ目を見ながら話を続ける。
彼の真っ黒な瞳に私の姿が写っていた。
「歌って、すずめ。ボクの側で」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます